Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【年末恒例企画#1】ビルボードHot 100年間チャート予想(Part 1、20-16位)

【年末恒例企画#1】ビルボードHot 100年間チャート予想(Part 1、20-16位)


さて勝手に銘打った【年末恒例企画】シリーズ、これから年末~年始にかけてこの時期に関係した企画でブログをお送りします。だいたい毎年やってることなんですが、その年の気分によってやらなかったりすることも多く、唯一ここ10年以上ちゃんと毎年やってるのはグラミー賞予想授賞式生ブログくらいなんですが、ちょっと今年はいろいろやってみようかな、と思って銘打った次第。途中で挫折するかもしれませんが(笑)まあそれもご愛敬と。


で、第一弾は「Hot 100年間チャート予想」。この予想自体は1999年から程度のばらつきは別にしてずっとやっていて今年で19年目という個人的年末恒例儀式みたいなもんでして。数年前まではチャートファンにはお馴染みのCD通販ショップ「あめりかんぱい」さんが懸賞形式で予想を募っていて、当たるとストア・クレジットを頂いたりしてたんですが、それももうなくなってしばらく経ちます。だからといってこの予想やめるのもつまんないし、その年その年の流行り歌の総決算、と言う観点では意義あるということで今年もやってみました。


今年の流行り歌といえば、久しぶりに最長ナンバーワン記録に並んで、かつ外国語によるナンバーワンヒットということでいうとあの1996年の「Macarena」以来ということで話題を集めた「Despacito」やブルーノ・マーズ、エド・シーランらの常連組の大ヒット、そして今年はロック系やらEDM系やら今風R&B系やらヒップホップ・トラップ系の新人達がビッグヒットを飛ばしたりと百花繚乱の趣がありました。まあ個人的に今後も長く聴いていきたいなと思う曲が多かったかどうかは別にして、いくつか注目に値すべき楽曲、アーティストの台頭があり、まだまだ流行り歌、チャートものから目が離せないな、というのが概観。


このブログでは自分がチャート順位等を元に独自の集計方法で集計して予想したトップ20を20位からカウントダウンしていって、それぞれちょこっとずとコメントしていく、ということでお届けしようと思います。ではさっそく2017年年間20位。


20. Stay ▲2 - Zedd & Alessia Cara

(Hot 100 - 31週、Top 40 - 28週、Top 10 - 8週)

2017.5.6 & 6/10-17付 最高位7位


Zedd Alessia Cara 

昨年前半に「Here」(最高位5位)という素晴らしいデビューヒットを、そして年末にかけては「Scars To Your Beautiful」(最高位8位、今年の年間予想でも25位)と2曲のスマッシュヒットを放ちながら、グラミー賞の最優秀新人賞部門からは完璧にシカトされてしまっていた可哀想なアレッシア・カラ嬢。彼女は個人的にはアデルエイミー・ワインハウスの流れを汲む、素晴らしくソウルフルな歌唱ができる逸材だと思っているのでこれには驚いたもんです。その彼女が今デケイドもっともイケているEDM系DJの一人、ロシア系ドイツ人のゼッドと組んで放ったヒットがこの「Stay」。彼女の特徴ある歌声がゼッドの作るちょっと民族的な雰囲気のあるトラックにマッチして、かなり耳残りのいいキャッチーなヒット曲になりました。

アレッシアはこの他にも今年はディズニー映画「モアナ」の主題歌「How Far I'll Go」をカバーして小ヒットにしたり、この秋に話題となったジックのヒット「1-800-273-8255」(自殺相談ラインの電話番号をタイトルにした話題曲、今年の年間予想で35位)に同じく歌声に強い個性のあるカリードと共にフィーチャーされたりと堅実な活動を続けているだけに、この曲くらい今年のグラミーのどっかにノミネートされて欲しいものです。





19. Bodak Yellow (Money Moves) ● - Cardi B

(Hot 100 - 19週、Top 40 - 16週、Top 10 - 14週、Top 5 - 13週)

2017.10.7-21付 3週1位


Cardi_B_-_Bodak_Yellow.jpg


出たな~(笑)という感じでだるそーにラップしながら最初数秒で「f**k」ワードが飛び出してくるといういい意味でも悪い意味でもNYはブロンクス出身の今風女性ラッパー、カーディBことベルカリス・アルマンザー嬢のデビューヒットがこの曲で、秋に嵐のように1位に飛び込んできたテイラーの新曲を蹴落として1位に。

スタイルとしてはリル・キムあたりの流れを汲む派手派手セレブ系ビヤッチ・ラッパーなのだけど、インスタでフォロワーを増やしてセレブ・ステイタスを獲得したり、VH1のヒップホップ番組のキャスト・メンバーになったことをきっかけに天下のアトランティッと契約してこの曲のヒットにつなげたりと、スターパワーは満点のよう。さっそく他のラッパー達とコラボしたヒットを飛ばしたりと最近のメインストリームヒップホップの一つのトレンドである「複数のラッパーが組んで大ヒットを飛ばす」パターンにうまく乗っている感じ。彼女も今年のグラミー賞ラップ部門の台風の目の一つになっていいレベルだとは思うけど、いかんせん今年のラップ部門はケンドリック・ラマー、ドレイクを筆頭にジェイZ、フューチャーなどメガトン級の混戦模様なのでノミネートも厳しいかもね。





18. Mask Off ▲4 - Future

(Hot 100 - 31週、Top 40 - 26週、Top 10 - 12週、Top 5 - 2週)

2017.5.6-13付 最高位5位


Future Mask Off


そのラップ部門のグラミー戦線の一角を占めるだろうフューチャーの5枚目のアルバム『FUTURE』からの先行シングルがこの「Mask Off」。ここ数年ラップの一つのサブジャンルになっているアトランタあたりを発祥とする「トラップ」の代表選手的なアーティストがこのフューチャーで、とにかくここ2~3年は怒濤の勢い。きっかけは2015年の3作目のアルバム『DS2』が初の1位獲得、同じ年にドレイクとのコラボアルバム『What A Time To Be Alive』も同じく1位獲得、そのシーンでのポジションを盤石にしたこと。それから出すアルバム全部1位で、今年に至ってはこの曲の入った『FUTURE』と『HNDRXX』(ロックファンはん?と思うと思うけどジミヘンは関係ないらしい)を2週連続でリリース、見事2週連続アルバムチャート初登場1位という怪記録を樹立してる。

この曲も典型的なトラップのパターンで、不吉なシンセやキーボードの音色をバックにゆったりしたフロウで、チキチキハイハットや複雑パターンのスネアをアクセントにした楽曲。トラップって普通は陰気なトラックが多いけど、この曲は比較的トラップにしちゃ「明るい」(笑)のがヒットの要因の一つかも。この曲、オリジナルバージョンの他にケンドリック・ラマーをフィーチャーしたリミックス盤、こちらも新進のラッパー、マシュメロをフィーチャーしたバージョンなどいろいろリミックスが出てて、そういう意味でも期待されたリリースだったんだなあ、という感じ。本人ハイチ移民の子だから、と言うわけでもないだろうけど他のラッパー達ですら「何を言ってるかよく分からん」(笑)というフューチャー節は健在で、聴いてても「F**k you Mask Off」以外ははっきり聴き取れないのが凄い(何が凄いかよーわからん)。まあ何にしても今の流行りのラップはこれ、とうちの息子もゆーとりますので。





17. I'm The One ▲5 - DJ Khaled Featuring Justin Bieber, Quavo, Chance The Rapper & Lil Wayne

(Hot 100 - 22週、Top 40 - 21週、Top 10 - 15週、Top 5 - 13週)

(2017.5.20付 1週1位

DJ Khaled Im The One


その「複数のラッパーで目指せ大ヒット」の今年の典型的なパターンがこの曲。DJキャレドってもともとDJだからたーくさんラッパーをフィーチャーしてのヒット(というかソロでのヒットはあり得ない)が従来から多かったのだけど、今回は今年の話題のトラップ・トリオ、ミゴスクエイヴォ、去年グラミー賞ラップ・アルバム部門をフィジカル(CDやレコード)リリースなしでかっさらって話題を呼んだチャンス・ザ・ラッパー、今や大御所感漂うリル・ウェインに加えて、今年は「Despacito」にもフィーチャーされた途端に「Despacito」を1位に押し上げた「2017年ポップ界のマイダス王」ことジャスティン・ビーバーまでフィーチャーして、この曲で見事初登場1位を獲得

曲はジャスティンのボーカルがいきなり出てきてそれだけでもリスナーの食いつきが良さそうなスローEDM風トラックで、まあ今の売れ線のおいしいところを上手に使ってこれだったら今の若い衆には受けるよなあ、という出来。

ちなみにDJキャレドは2011年にやはりリル・ウェインをフィーチャーした「I'm On One」という全米最高位10位のヒット(今回はそれ以来のトップ10ヒット)があるが、全く別の曲なので間違いのなきよう(笑)




16. XO TOUR Llif3 ▲4 - Lil Uzi Vert

(Hot 100 - 33週、Top 40 - 30週、Top 10 - 10週)

(2017.6.24付 最高位7位

Lil Uzi Vert XO Tour Lilf3


このリル・ウジ・ヴァートことサイミア・ウッズ君も、ここ数年のトラップ・ブームの中から出てきた若手のフィラデルフィア出身のラッパー。スタイルとしては発声もエフェクタを通したように少し割れ気味の声でラップし、バックのトラックもシンセをバックにチキチキリズムでゆっくり目に(時々早口で)ラップする、と言う意味ではトラップ・ラッパーなんだけど、ミゴスフューチャーとかに比べると何だかあっけらかんとしていて「ネアカ・トラップ」とでも言うべきスタイルなのが受けてるのかな。アルバムジャケとか可愛らしいイラストだったりして、いわゆるトラップやヒップホップ・アーティストにある「ヤバイ感」が結構希薄だったりするのが面白い。こいつも最初に音を聴いたのは、ヒップホップ・ヘッズのうちの息子が「これ最近ヤバイよ」といって聴かせてくれたということで最近この手の情報源としては重宝してます。

今時のヒップホップ・アーティストならではの、まずはミックステープでファンを掴んで、その後メジャーと契約してアルバム・シングルでドン!とブレイクする、というパターンをそのまま行ってこの1年ほどでビッグになったLUV、今年はそのミゴスとコラボした「Bad And Boujee」という特大のナンバーワンヒットがあったがそれが年間予想で何位に入っているかはこの後のお楽しみということで。





まだまだ続く年間チャート予想、お楽しみに。

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#107「Lust For Life」Lana Del Rey (2017)

 #107Lust For LifeLana Del Rey (Polydor / Interscope, 2017)


MLBワールドシリーズもアストロズの感動的な優勝で幕を閉じ、街角に北風が吹き始めて気候も晩秋から初冬の雰囲気が日々強まっていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。12月ももう目の前、年間チャートの予想や年間アルバムの選定、そしてグラミー賞各部門予想と、自分のブログもいろいろと忙しくなる時期でこの時期になると「ああもう年末も近いなあ」ということになるのですが、今年は仕事の方が年末ギリギリまで気が抜けない状況なので、本当に年末にならないと年末感が出てこないのでは、と戦々恐々としているこの頃です。


さて先週お休みしてしまった今週の「新旧お宝アルバム!」は、自分が選ぶ今年の年間アルバムのランキングにもそれなりのポジションに入れることになるのでは、と思っている、最近のアメリカ音楽シーンで「バロック・ポップ」だとか「ハリウッド・サッドコア」だとか言われ、独特のイメージとカリスマティックな存在感を見せている女性オルタナ・シンガーソングライター、ラナ・デル・レイから届けられたフル・アルバムとしては5枚目の作品『Lust For Life』(2017)をお届けします。


Lust For Life


ラナ・デル・レイ。不思議にラテンの響きのあるステージネームとは裏腹に、ダークでドリーミーかつ何となく不安感を誘うような音響系の音像を持つ楽曲に、時折禁忌用語も交えてドラッグや金や危険で破滅的な男たちとの男女関係などを歌うギャングスタで危ない歌詞を乗せ、そのクールで50年代アメリカーナ的なキッチュさを湛える美貌で(ちなみにラナ1985年生)、ある時は呟くように、ある時はファンタジー中の歌姫のように歌う女性シンガーソングライター。2011年にセカンド『Born To Die』でセンセーショナルにブレーク以来、そのアンバランスな楽曲の魅力やモデルもやる美貌とのギャップに完全にヤラれてしまった音楽ファンは少なくないでしょう。

Lust For Life (Insert)

今回の新作『Lust For Life』(情欲は一生ものイギー・ポップにも同名タイトルのアルバムがありました)はタイトルからしてそういうラナの世界全開なのだけど、最近ある方が「今回はジャケでニッコリ笑ってるのが変だ。作風が変わったのか」と仰っておられ、確かにこれまでは『Born To Die』も、その次の『Ultraviolence(2014)や前作の『Honeymoon(2015)も、ジャケのラナは無表情でニコリともしてなかったので、今回のジャケはいつもと違うと言えば確かにその通り。

しかし今回のラナは従来の作風を変えないばかりか、ヒップホップへの接近を強めたり、これまであまり無かった個性派アーティスト達との共演などで更に自分のゴシックな音像世界をレベルアップしているように聞こえるので、ジャケの笑顔の不自然さは逆に彼女の自信、と解釈すべきなのかも。



アルバムの先行シングルとしてリリースされた冒頭の「Love」は正にそのラナ・ワールド全開の作品。低音のエレクトロベースサウンドをバックにスローモーションのモノクロ映画の場面を想起させ、夢の中から歌いかけてくるようなドラマチックなラナの歌声で既に聴く者は彼女の世界の中に。呟くようなラナのラップで始まるタイトルナンバー「Lust For Life」はザ・ウィークンドのファルセットコーラスを従えそのドリーミーさにフィル・スペクター的なプロダクションで拍車をかけ、「13 Beaches」ではフランク・オーシャンに代表される最近の音響派R&Bを彷彿させるヒップホップの影響を仄かに感じさせたりと、ドリーミーな音像と催眠的なボーカルがラナ・ワールドが炸裂する導入部を構成している。



しかしこの楽曲の流れは6曲目の「Summer Bummer」で大きくヒップホップへの接近を見せてまた一段と新しいレベルへ。この曲はドレイクらとの仕事で知られるボイ・1ことマシュー・サミュエルズをプロデュースに迎え、今NYで一番のラッパー、エイサップ・ロッキーとその舎弟で今売出し中のアトランタ出身のラッパー、プレイボイ・カーティをフィーチャーした、クレジットだけ見ると今時よくあるポップスター・フィーチャリング・ラップってな感じ。ところがラナの場合、サウンドも楽曲も、ラップの役割も完全に彼女のコントロール下に収めていてエイサップの存在感あるフロウが単なるラナのドリーミー・ゴシック・チューンの引き立て役になってるのが凄い。続く同じくエイサップをフィーチャーした「Groupie Love」では、ラナワールドに呑み込まれそうなエイサップ、いつ出て来るの?と思ってると残り1分半で何とか存在感を示すフロウをかます辺りは流石。でも最後エイサップ、ラナと一緒に「Groupie Love 」って歌っちゃってるし(笑)。



アルバム中盤は個性的な視点で曲を書くラナの面目躍如のトラックが満載。「Coachella - Woodstock In Mind」は今年4月にラナがカリフォルニア郊外のロックフェス、コーチェラ出演中に、米国海軍が日本海に航空母艦を配備したという誤報に端を発した、米朝間の急速な緊張悪化の報道を知ったラナが「少しでも世界平和が維持されるように」と、コーチェラウッドストックになぞらえて書いたという一曲。で、その楽曲スタイルはここのとこ流行りのトラップ・ヒップホップのチキチキハイハットとシンセとストリングスで織り成す不吉な音像世界に、ラナのいつものドリーミーでシネマティックなボーカルが乗ったというもの。

God Bless America - And All The Beautiful Women In It」はそのトラップの代表的プロデューサーで今売れっ子のメトロ・ブーミンことリーランド・ウェインプロデュースの、これがちっともトラップっぽくない完全ラナ・ワールド(笑)。そしてコーラスで「これは一時代の終わり?それともこれはアメリカの終焉なの?」と歌う「When The World Was At War We Kept Dancing」も、前出の「Coachella〜」同様、北朝鮮危機の最中にコーチェラのフェスで盛り上がっていた自分達を意識した、不吉でドヨーンとしたトラックをバックにラナが夢の中のように歌う、というこの辺りの楽曲には強い緊張感を感じる。



このアルバムのもう一つの聴きどころは、ヒップホップ以外の個性派アーティスト達との共演ぶり。いかにもな取り合わせのスティーヴィー・ニックスとのデュエット「Beautiful People Beautiful Problems」はこのアルバムで唯一普通のピアノで始まる美しいメロディと、この二人のペンによるのが納得できるにちょっとクセのあるサビが魅力的な曲。そして個人的にはこのアルバムで最も興味深かったショーン・レノンとのコラボ「Tomorrow Never Came」。この曲だけが唯一、ラナの手から楽曲のコントロールが離れてショーンの手に移っている感じが凄くして、そればかりかコード進行といい、メロディの感じといい、ビートルズ後期の香りを強烈に感じたのはちとうがち過ぎか。しかしショーンのボーカルが出てきた瞬間にジョンを思わせる存在感は凄いの一言。ここばかりは客演者がに勝っている瞬間だった。


アルバムはこの後何事もなかったかのようにラナ・ワールドの楽曲スタイルに戻り、「Heroin」「Change」そしてあの音像をバックに60年代ガールポップ風のメロディをラナがだるそうに歌う(笑)「Get Free」でエンディングを迎える。

Lust for Life (back)


つまるところこのアルバムは、これまで独自のカリスマティックで独特の音像世界による楽曲スタイル一本で来たラナが、ヒップホップやトラップ、更には他のアーティストとの共演共作など、今のメインストリームにもちょっと寄り添って見せているのだけど、楽曲についてのコントロールは一切渡さずショーンとの楽曲はその唯一の例外)自分の音世界、イマジャリーを更に一段進化させている、そんなアルバムに思える。

こうしたのスタイルが好きか嫌いかで、このアルバムに対する(というかラナ・デル・レイというアーティストに対する)評価は大きく分かれてしまうのだけど、特に奇抜なことをせずにそれでいて誰が聴いてもラナ独自の世界だということが分かるものを作り上げている、と言う意味では少なくとも一聴に値する作品だと思う。普通でないポップ・ミュージックが好きな方には是非お勧めです。


<チャートデータ> 

ビルボード誌全米アルバム・チャート 最高位1位(2017.8.12付)

同全米オルタナティヴ・アルバム・チャート 最高位1位(2017.8.12付)

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#106「Moon Bathing」Lesley Duncan (1975)

 #106Moon BathingLesley Duncan (MCA, 1975)


台風の関係で雨続きだった10月も終わり、11月に入ってやっと秋らしい素晴らしい天気の日々が続いていますが、皆さんもアウトドアに、行楽に、そしてライブやレコードハンティングに活動レベルを上げていることでしょうね。そうこうしているうちに2017年も後残すところ2ヶ月。今月が終わるとビルボード誌の年間チャートの発表や、来年2月発表のグラミー賞ノミネーション発表と、にわかに音楽周りも慌ただしくなる季節。今年新たに巡り会ったアーティストや新譜の数々を振り返って、そろそろ2017年の総決算の準備をしようかな、と思い始めているところです。


さてそんな秋の深まりを感じる今日この頃、今週の「新旧お宝アルバム!」は正にそうした秋の雰囲気を強く感じさせるアーティスト、そしてアルバムをご紹介します。エルトン・ジョンの初期のアルバム『エルトン・ジョン3(Tumbleweed Connection)』(1970)に収録されたしみじみとしたアコースティックナンバー「Love Song」の作者として、そしてその曲をエルトンとデュエットしたことで当時注目を浴びた、イギリス出身の女性シンガーソングライター、レスリー・ダンカンの4枚目のアルバムになる、その名も秋らしく「月光浴」という『Moon Bathing』(1975)をご紹介します。


Moon Bathing 


レスリー・ダンカンという人は、上記の通り初期の自分のアルバムには基本自作または自分の共作曲しか収録しなかったエルトン・ジョンが数少ない例外として「Love Song」を収録、しかも共演までしたということで70年代前半に注目を浴びたシンガーソングライター。その後もUKロックシーンでバックボーカリストとしてその後もエルトン・ジョンの『マッドマン(Madman Across The Water)』(1971)、あのピンク・フロイドの名盤『狂気(The Dark Side Of The Moon)』(1973)の楽曲にも全面参加するなど、ミュージシャン達の間で大きなリスペクトを集めたアーティストです。

上品な佇まいの風貌のレスリーはこうした素晴らしいキャリアやミュージシャン仲間からのリスペクトにも関わらず、本人自身が華やかなスターダムを望まず、またかなりの舞台恐怖症だったらしく、英米で商業的な成功を収めるには残念ながら至っていません。

しかしその大人の雰囲気を湛えたボーカルや、UKのアーティストながらアメリカのマッスルショールズあたりのサウンドも彷彿させる魅力溢れるメロディや楽曲構成の作品で、今でも70年代以来活躍するミュージシャンや古くからの音楽ファンの間では確たる人気を博しているのです。



当時の夫のジミー・ホロウィッツのプロデュースによるこのアルバムの冒頭を飾るのは、ちょっと明るいローラ・ニーロあたりのナンバーや、70年代半ばのサザン・ソウルナンバーを彷彿させる軽快でリズミカルな「I Can See Where I'm Going」。軽快なカッティング・ギターを聞かせてくれるのは、このアルバム全面に参加している、あのUKを代表するセッション・ギタリスト、クリス・スペディング。続くジミーとの共作「Heaven Knows」はぐっとテンポダウンして、しっとりとしたしみじみ系のバラードナンバーで、クリス・スペディングのスライド・ギターをフィーチャーしたこの曲は正に秋深し、という言葉を想起させるナンバーです。次のタイトルナンバー「Moon Bathing」はレスリー自らマンドリン、そしてUKアーティストの作品には珍しくジム・ライアンのバンジョーをフィーチャーした、ちょっとブリティッシュ・トラッドの香りを感じさせながらスロー・ブルーグラス的ユニークな楽曲で、レスリーの作風の幅を感じさせます。

ビートルズの「You Won't See Me」などと同様にコードの根音が半音ずつ下がっていくメロディから、サビにかけてはいかにもUKポップ風の軽快なギターリフが楽しい「Rescue Me」、そしてジミーのピアノをメインにまたぐっとしっとりとしたバラードの「Lady Step Lightly」でアルバムのA面が終了します。



B面は、ゴスペル風のピアノの演奏に乗ってレスリーがメンフィス・ソウル風な歌唱を聴かせてくれるアップテンポな「Wooden Spoon」でスタート。後半の効果音やゴスペル風コーラスが楽しいナンバーです。次の「Pick Up The Phone」はエレピのイントロから抑えめのクリスのギターをがっちりR&B風のリズムセクションが固めるミディアムナンバー。ここでのレスリーのソフトでやや哀愁を湛えたボーカルが、秋を感じさせてくれます。

同じく抑えめの楽器アレンジの中にフルートやサックスの音色が心落ち着かせてくれる「Helpless」、レスリー自身とジム・ライアンのアコギのアルペジオと後半から入ってくるジミーのピアノだけというシンプルながら心にしみいる、これぞシンガーソングライター作品という感じの「Fine Friends」、トルバドゥール風のピアノから一気に時代を感じさせるディスコ・ビートっぽいアップテンポにそれこそ「飛び込んでいく」このアルバムでは異色なナンバー「Jump Right In The River」とレスリーのボーカルと楽曲を堪能できる作品が続いて、ラストはもう一曲のジミーとの共作曲「Rocking Chair」。ジミーのピアノをバックにレスリーがその柔らかなボーカルでしっとりと歌うバラードで、この素晴らしいアルバムのフィナーレを飾ります。



レスリーはこの後5枚目のアルバム『Maybe It's Lost』(1977)をリリースした後、『狂気』のエンジニアだったアラン・パーソンズとの縁で、アラン・パーソンズ・プロジェクトのアルバム『イヴの肖像(Eve)』(1979)に参加、「If I Could Change Your Mind」のリード・ボーカルを取ったのを最後に、音楽業界からは引退してしまいました。最初の夫ジミーと離婚後、1978年に音楽プロデューサー、トニー・コックスと再婚し、スコットランドのマル島の港町に移り住んで静かな生活を送っていたようですが、残念ながら2010年に66歳の若さで他界しています。


Moon Bathing (Back)


長らくCD化されず、古くからの音楽ファンの間だけで聴かれ続けて来たこのアルバム、ありがたいことに昨年2016年に日本で世界初CD化を果たし、広く音楽ファンの手にわたることになりました。これからますます秋深まる中、きっとその素晴らしい楽曲とレスリーの歌声が心を温めてくれる、そんな作品、是非一度聴いてみてはいかがでしょうか。


<チャートデータ> チャートインなし

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#105「Waitin' For The Sun」Rusty Young (2017)

#105Waitin' For The SunRusty Young (Blue Élan, 2017)


MLBのワールドシリーズも始まったし、ハロウィーンを目前にしていざ秋本番だ!と思っていたら先週からの台風の余波でこのところ断続的に雨続きで、せっかくの行楽シーズンなのに盛り上がらない日々が続いていますが皆様はいかがお過ごしでしょうか。


先週はお休みしてしまった今週の「新旧お宝アルバム!」は、ここに来て新旧アーティスト達の新譜ラッシュが続いている中、ぽっつりとリリースされえたアメリカン・ウェストコースト・ロックの大ベテランで、以前このコラムでもご紹介したポコのリーダーで唯一のオリジナル・メンバーであるラスティ・ヤングが今年に入って届けてくれた、この深まる秋に聴くにふさわしい珠玉の贈り物のようなプライヴェートな香りをいっぱいにたたえたアルバム『Waitin' For The Sun』をご紹介します。


WaitinForTheSun.jpg


ラスティ・ヤングといえば、リッチー・フューレイ、ジム・メッシーナ(その後ロギンズ&メッシーナ)、ランディ・マイズナー(その後イーグルス)、ポール・コットン、ジョージ・グランサムと共に60年代終わりに、当時CSN&Yイーグルスなどいわゆるカントリー・ロック・バンドが台頭する中、重要なバンドの一つとしてポコを立ち上げた創立メンバーの一人。その優しい歌声と、ペダル・スティール・ギターの達人と言われた演奏力で、シーンでは以来現在に至るまでリスペクトされ続けているレジェンドの一人

全米トップ40ファンにはポコと言えば1979年の傑作アルバム『Legend』からシングルカットされた胸を締め付けるような甘酸っぱいアコースティック・バラード「Crazy Love」(全米最高位17位)が印象に残っていると思いますが、その「Crazy Love」の作者でボーカルを取っていたのがこのラスティ・ヤングです。

そのラスティも2013年のポコの現在のところの最後のアルバム『All Fired Up』のリリースに合わせ、45年に亘るポコでの活動とツアー続きの生活からの引退を宣言、その後はポコとしてツアーにでることもなく、たまに気の置けない仲間とのライヴをやったり、自伝を執筆したりという日々を送っていたといいます。

そんな彼が突然届けてくれたこの『Waitin' For The Sun』。何と50年に亘るキャリアのラスティに取って初のソロアルバムということになります。そしてそこで我々に聴かせてくれるのは、変わらず優しい歌声でとってもパーソナルな雰囲気のアコースティックなナンバーを中心とした、ポコを彷彿させるような珠玉の楽曲たち。それもそのはず、今回のアルバムのバックを努めるバンドは、現在のポコのメンバーであるジャック・サンドラッド(ベース、プロデューサーも努めています)、マイケル・ウェブ(キーボード)そしてリック・ロノウ(ドラムス)。それ以外にも昔からのポコの仲間達がバックで参加している、いわばポコの最新アルバム、といってもいい内容になっています


アコギの音色に乗って始まる冒頭のタイトルナンバーは、ラスティのボーカルが入ってきた瞬間に例えようもない懐かしさと暖かさがリスナーを包んでくれる、ミディアム・テンポのポコの70年代前半の作品を思わせるもの。ラスティのボーカルは、やや震えるような感じが45年に亘る時間の経過を感じさせずにはいませんが、聞こえてくるのはあのラスティのまごう事なき優しい歌声。アコギ一本でカントリー・トラック風に始まる次の「My Friend」ではポコ創設メンバーのリッチー・フューレイと、ポコ中期のメンバーで後にイーグルスに加入したティモシー・B・シュミットがサビのボーカル・ハーモニーを付けており、ラスティが弾くドブロやバンジョーの音色が聴く者の気持ちをほっこりさせてくれるナンバーです。




ジャグバンド風の楽曲でエレクトリックなサウンドが新鮮な「Honey Bee」ではこちらもポコ創設メンバーであるジム・メッシーナジョージ・グランサムがバックに参加、ポコの雰囲気とはまたひと味違ったサウンドを聴かせてくれます。そして続く「Sara's Song」は自分の娘の結婚式で娘とヴァージン・ロードを一緒に歩く父親として「決心したんだ、絶対泣かないって」なんていう微笑ましい歌詞を美しいアコースティックな楽曲に乗せて歌ってくれます。ここでのラスティのボーカルはあの「Crazy Love」で聴いた純粋で美しいイメージを再現してくれていますね。

Heaven Tonight」も同じようにポコの楽曲そのままの、懐かしさと傷つきやすかった若かったあの頃を振り返る的な、そんな郷愁たっぷりの楽曲。


続く「Hey There」はちょっとサザンロックっぽい雰囲気をたたえたこのアルバムでは一番ロックっぽい曲。ピアノとアコギのアルペジオを基本トーンに、ラスティのスティール・ギターが美しくも雄弁に心に迫るメロディを奏でるインスト曲の「Seasons」を挟んで、ちょっとマイナー調のアコギストロークで始まる、後期ポコのナンバーを思わせる「Innocent Moon」も、そのタイトル通りベテランになっても未だポコデビュー当時の無垢な感じを残すラスティのボーカルの魅力が炸裂する楽曲です

このアルバムで最もカントリーっぽいナンバー「Down Home」あたりでラスティのボーカルがかすれて聞こえるのは彼が積み重ねた歳のせいなのか。そしてアルバムの最後はラスティのハモンドオルガンがちょっとこの間素晴らしいベストライブアルバムをリリースしたスティーヴ・ウィンウッドのナンバーを思わせる、このアルバムでも一番メインストリームロックっぽい感じの「Gonna' Let The Rain」。この曲がフェードして一旦終わった後、まるでパーティの終りを告げるかのようなニューオーリンズ風のホーンによる演奏が最後の終演を告げるというちょっとニヤリ、としてしまうような演出もいいもんです。


Rusty Young

聞くところによると、このアルバムのサポートでまたラスティは気の合ったバンドと一緒にアメリカ各地をツアーで回っているとのこと。ポコの頃のように全米を回り尽くすようなツアーではなく、ニューヨーク、シカゴ、ヴァージニア、ノース・キャロライナやミズーリといったいくつかの場所を回ってこのアルバムの楽曲を中心に演奏している、引退したはずのラスティ。そして来年2018年は、ポコ結成50周年ということで、記念ライヴイベントも企画され始めているとかいないとか。それを前にして、自分の初めてのソロアルバムのツアーライヴ会場での彼の楽しそうな、ゆったりとした演奏の様子が目に浮かぶような、そんな素敵なこのアルバムを我々日本のラスティ・ファンはとりあえず聴きながら彼のことを思うこととしましょう。

<チャートデータ> チャートインなし

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#104「Subway Recordings」Susan Cagle (2006)

 #104Subway RecordingsSusan Cagle (Lefthook / Columbia, 2006)


秋が深まってきて行楽にアウトドアにいい季節になってきたな、と思ったら先週末からここのところ毎日雨空。こうなってくると、今佳境に入ってきているMLBのポストシーズンの試合を楽しむか、ひたすらインドアで音楽にどっぷり浸るしかないって感じですね。いずれにしても音楽楽しむには絶好の季節。皆さんもいろんないい音に巡り会って、楽しんで下さい。

さて今週の「新旧お宝アルバム!」は、こちらも今から10年ほど前に自分が一時期かなりハマっていたアルバムをご紹介します。ちょうど当時はNYの駐在から帰国して2年、初めての転職も経験してあの刺激満点のNYを懐かしく思い出していた時期だけに、このアルバムにハマったのも自然だったんですが、それだけではなく、音楽を楽しんで演奏するミュージシャンの純粋な魅力に溢れているのもこのアルバムの魅力の大きなところ。ということで、ニューヨークの地下鉄でほとんどバスキングの実況中継のような録音で発表された、女性シンガーソングライター、スーザン・ケイグルのデビュー作『Subway Recordings』(2006)をご紹介します。

Subway Recordings

このアルバムの魅力は、若々しいスーザンがギターを弾きながら伸びのあるボーカルで、2000年代当時のメインストリームだったちょっとR&Bテイストとロック・テイストの乗っかったポップな楽曲をひたすら気持ちよさそうに演奏・歌唱してるところ。正直彼女とこのアルバムのプロデューサーで彼女がNYの地下鉄の駅でバスキングしているところをスカウトしたジェイ・レヴィンの書く楽曲は、特に楽曲としての緻密さや繊細さ、といったものはあまり感じませんが、ストレートに作者(彼女)の感情をぶつけてくれるひたむきさを感じるのと、多くの曲がそこここにキャッチーなフレーズやメロディを備えていて、思わず聴いていると体を曲に合わせて動かしたくなる、そんなミディアム・アップな曲が並んでいます。それは正にNYで地下鉄の駅を歩いていたら向こうの方から聞こえてきたバンドの演奏にふと足を止め、思わず聴き入ってしまう、そういった魅力なのです。彼女はカリブ海の島国、アルバの出身で褐色の肌のキュートな女性ですが、彼女の歌う歌はR&Bやソウル・ブルースに根差しているわけでもなく、若干R&Bの雰囲気は時々感じられますが、あくまでポップ・ロックのメインストリームの楽曲をストレートに歌う、そんなシンガーです。

アルバムの前半はNYのヘソとでもいうべき、タイムズ・スクエア/42丁目駅での通勤乗降客の多い時間帯に録られた、人のざわめきも曲間に聞こえるライヴ収録。ギターはスーザン自身、ベースは妹のキャロライン、ドラムスは弟のジョンという正真正銘の兄弟によるバスキングの録音。NYに行かれたことのある方はご存知ですが、この地下鉄の駅はほぼすべてのニューヨーク地下鉄ラインの集まるターミナル駅であることもあって、とにかく駅の構内がだだっ広く、通常でもそこここでいろんなバンドがバスキングしている(もちろん市の許可が必要ですが)巨大駅。

そこで冒頭歌われるのは、街角で知り合った相手(多分男性)に「知りたいの/あなたはシェイクスピアは好き?ジェフ・バックリーは?/日曜日に映画を観るのは好き?雨の中でキスするのは好き?/あなたが行ってしまう前にあなたが何を好きなのか知らなくては」というひたむきな女の子を心理を歌うど真ん中ストレートなアップテンポの青春ラブソングShakespeare」。この真っ直ぐさにまず持って行かれます。「街の暮らしは辛いことも多いけど、私はもう少し頑張ってみる/ひとの涙を一つでも微笑みに変えられるかどうかやってみる」と、幼い頃から宗教カルトに所属していた両親に連れられて世界中を住み歩いたスーザンがNYでの、おそらくテロなどの都市における問題に対峙する決意を見せているStay」は少しテンポのゆっくりしたロック・ポップチューン。

青春賛歌的な「Dream」や「Be Here」と少しずつテンポを落としながら、「Ain't It Good To Know」では自身の弾くギターのアルペジオに乗って「誰か愛してくれる人がいるって知ってるのっていいわよね」と高低音を行き来するメロディを自由に歌い回すスーザンの歌声が気持ちよし。



そしてタイムズ・スクエアの部の締めは夏のニューヨークのバーで、映画のようにTシャツとジーンズをまとって現れる理想の男性を歌うという、まあ絵に描いたようなティーン・ポップ的歌詞の「Manhattan Cowboy」ですが、曲調や演奏・歌唱のスタイルはシェリル・クロウをちょっと思わせる、そんな成熟した感じの楽曲になっています。なおこの曲は9-11の際に活躍したニューヨークの消防士達にインスピレーションを受けて書いたという説もあります。



アルバム後半は今度は夜の遅い時間に、マンハッタンでは西のタイムズ・スクエアに対する東の42丁目にあるグランド・セントラル駅での収録。ここは日本でいうとJRにあたるメトロ・ノース(NY北部のウェスチェスター郡やコネチカット州とマンハッタンを繋ぐ通勤客で賑わう鉄道)の起点となるターミナル駅。ここも広いコンコースで、内装や造作が20世紀初頭のデザインをそのまま残していることから映画の撮影等に使われることが多いので有名な駅。2階部分に有名なバーがあったり、最近ではその2階部分にアップル・ストアがオープンし、レトロな内装とのアンマッチが不思議な雰囲気を醸し出している場所です


Susan Cagle 

そこでまずぶちかまされるのは「Happiness Is Overrated」。「幸せなんて過大評価されてるわよ」とちょっとメランコリックな詞を、アヴリル・ラヴィーンの「Complicated」そっくりのアップなリフに乗せて歌うキャッチーなナンバーです。流れるようなスーザンのギター・アルペジオに乗って淡々と歌われる「You Know」や親しみやすいメロディで90年代インディ・バンド風のロックな感じとポップさがいいバランスの「Transitional」など、後半でも臨場感溢れるバンドのサウンドをバックに歌うスーザンの魅力が炸裂。アルバム最後の「Ask Me」は「あなたに僕のこと好き?と聞かれると思わずそっぽ向いてしまう/あなたはもう何もなくなったと思うかもしれないけど私にはそんな簡単なことじゃない/あなたには私の心の中見えてるはずと思う一方/私がハッキリ言わないとあなたが傷つくのも知ってる/だから聞いてくれれば私の気持ちを言うわ」と、複雑な女の子の胸のうちを切々と歌う、思わず聞いていて微笑んでしまうようなそんなバラード。

演奏終了後、スーザンの「聞いてくれてありがとう!ちょっと休憩してまた演奏します」という言葉と拍手がフェードアウトしていくのを聞くと、何かの映画を観ていたかのような、そんな気にさせてくれます。


Subway Recordings (back)


とにかく当時NYを離れて間もなく、転職を経験して人生の動乱期にあった自分には、NYの地下鉄での録音であったこと、楽曲がストレートで聞いててすっと入ってきたことから、とてもお気に入りの一枚になりました。

実はこのアルバムリリース時には彼女来日もして、日本を縦断したプロモーション兼ストリートライブもやっていたとのこと。知っていれば是非駆けつけたのに惜しいことをしました


しかしその後彼女は2009年にこのアルバムデビューをバックアップしてくれたコロンビア・レーベルを離れてワーナーに移籍。そして何を思ったかスーザン・ジャスティスと改名して、2012年にはアルバム『Eat Dirt』をキャピトルからリリースする等、音楽活動的には地味な状況が続いています。

このアルバム発表時は25歳だったスーザンも今では36歳の女盛り。この頃の楽曲の瑞々しさを考えると、今のスーザンも歌で表現できることをいろいろこの10年で蓄えているでしょうし、そうした歌を聴きたい、と思っているのは自分だけではないはずです。

ケイグルでもジャスティスでもいいので彼女の新作が届けられることを期待しながら、このアルバムで秋の一時を楽しんで下さい。


<チャートデータ> チャートインなし

テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

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