Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#97「Your Favorite Record」Linus Of Hollywood (1999)

#97『Your Favorite Record』Linus Of Hollywood (Franklin Castle, 1999)


先週のお盆の週は「戻り梅雨か?」と思うほど雨や曇りの日が多く、真夏とは思えない天気が続きましたが皆さんは体調など大丈夫だったでしょうか。自分は夏休みの週ということであちこちに出かける予定もあったのですが、天気のおかげでお出かけの代わりに家の片付けなどをする日も多く、思わず家の中が整理されて良かったような悪かったような(笑)。先週末のサマソニも雨に見舞われたりとなかなか苦労した方も多かったのかも。

さて今週の「新旧お宝アルバム」はいつもよりはぐっと最近のレコードで。折しも9月初旬にほぼ10年ぶりの来日ライヴを東京・大阪で行う予定の、ライナス・オブ・ハリウッドことケヴィン・ドットソンが1999年にリリースした、珠玉のポップ・レコード、『Your Favorite Record』をご紹介します。


Your Favorite Record 

あの大富豪、ウォーレン・バフェットが住んでいることで有名なネブラスカ州オマハ出身のケヴィン(ステージ・ネームの由来は彼が20代にLAに移り住んだ時、よくあのピーナッツ・コミックスライナスが着てたようなストライプのシャツを着てたかららしい)がインディ・レーベルからこのアルバム、ブライアン・ウィルソンロジャー・ニコルス、ヴァン・ダイク・パークスそしてピーター・ゴールウェイといったいわゆるパイド・パイパー・ハウス系のアメリカン・ポップ・ソングがお好きな洋楽ファンであれば、きっとニヤニヤしながら楽しんで聴けて、結果大満足してもらえること間違いなし!というレコードです。

そもそもタイトルからして『君のお気に入りのレコード』なんて、遊び心いっぱいのネーミングで、ジャケもタンテに乗っけたレコードの写真というまあそのものズバリのお遊び感覚満点の作品。


アルバム冒頭の「Say Hello To Another Goodbye」からそうしたポップ・センスが溢れるような、無茶苦茶ポップなヴァン・ダイク、といった感じのバラードで、「さよならよ、またこんにちは」なんていう、ちょっと屈折した歌詞をちょっとファルセットっぽいボーカルで聴かせるあたり、既にここでニヤリとするリスナーも多いのでは。そして続く「Heavenly」。イントロのオルガンのリフからして、こりゃビーチ・ボーイズの「Good Vibrations」ではないの、と爆笑。でも楽曲の作りはアメリカン・スタンダード・ポップ・ナンバーのスタイルを忠実に守り、所々にメジャー7thコードなども散りばめた、とてもポップな作品。

ピアノの半音降下コードで始まる「Nice To Be Pretty」も、アコギとリズム・セクションだけのバックでXTCあたりを思わせる、随所に変拍を織り交ぜたマイナーコードでミディアム・アップで、後半ビートルズ後期を思わせるSEが入る「The Man Who Tells The Crazy People What To Say」も、そしてピアノ弾き語りの「Thankful/It's Over Now」もどれもこれも、60年代後半~70年代前半にかけて輝きを放っていたパイド・パイパー・ハウス系のソフト・ロック・サウンドのオンパレードで、これ絶対どっかで聴いたことある!と思わせる既視感(既聴感?)いっぱいの楽曲ばかりです。



このアルバムでライナスは自作曲だけでなく、彼がこのアルバムで再現しようとした60年代後半のソフト・ロック・サウンドの作者の一人、マーゴ・グリヤンの曲を2曲カバーしています。マーゴは60年代女性ポップ・シンガー、ジャッキー・デシャノンクローディン・ロンジェらが歌った「Think Of Rain」(1967年)や、同じく60年代のドリーミー・ポップ・グループ、スパンキー&アワ・ギャングが歌ってヒットした「Sunday Morning」(1968年全米最高位30位)などを書いたソングライター。

ライナスはこのアルバムでその「Sunday Morning」と、そのマーゴ自らバックでピアノを弾く「Shine」の2曲をカバーしてますが、彼の作り出すソフト・ロック・サウンドと見事に一体化しているのには思わず微笑んでしまいます。



マイナーコードのアコギのシャッフル・ストロークで始まり、途中ホーンとコーラスが控えめに入る「When I Get To California」なんて、まんまカリフォルニア・ソフト・ロック・サウンド。「これ、絶対60年代ポップ・ヒットのカバーだろ」と思わせる楽しい「Good Sounds」やニルソンあたりを思わせる「Everybody's Looking Down」もいいですが、アルバム後半の白眉は、イントロから歌い出し、サビのメロディからコーラスの入り方など、ブライアン・ウィルソンや山下達郎の顔が目にちらついてしょうがない「A Song」。この曲は多分このアルバム全体を象徴する完成度を持った珠玉のポップ楽曲といって差し支えないでしょう。

アルバム最後はお風呂の水音のSEをバックにアコギとコーラスだけで、とってもハッピーな感じで締める「Let's Take A Bath」。


Your Favorite Record (back)


ライナスはこうしたドリーミーでハッピーで、美しくも遊び心満点のポップサウンドに辿りつくまでには、パンク・バンドをやったり、ヒップホップのアーティストの作品にバックで参加したり、やはり90年代を代表するパワー・ポップ・バンド、ジェリーフィッシュロジャー・マニングJr.のバックを努めたりとそれこそ幅広い音楽ジャンルをカバーする活動を経験してきたようです。また、日本とも縁が深く、パフィや木村カエラのアルバムに楽曲を提供したりと、とてもユニークで個性的な活動を続けてきています。


この『Your Favorite Record』の後、現在に至るまで5枚のアルバム(最新作は2014年の『Something Good』)をリリースしてきているライナス・オブ・ハリウッド、その織りなすポップ・ワールドは、人によっては「単なるレトロ、懐古主義ではないか」「新しいものはなく、伝統主義的ポップに過ぎない」という批判もあるでしょうが、そうした「伝統主義的ポップ」の作り出すマジックがここには確かにありますし、そうした音楽をこよなく愛する洋楽ファンにとっては、間違いなく珠玉の作品として楽しんでもらえるものだと思います。


Linus Of Hollywood


セミ達がこの夏最後の力を振り絞って鳴く声が、暑さがやや和らいできたこの季節の終わりを感じさせる今日この頃、ライナス・オブ・ハリウッドの素晴らしいポップ・ワールドを堪能して、来る秋を感じるというのも乙ではないでしょうか。


 <チャートデータ> チャートインせず

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#96「Truth Is A Beautiful Thing」London Grammar (2017)

#96Truth Is A Beautiful ThingLondon Grammar (Ministry Of Sound / Metal & Dust / Columbia, 2017)


さて今週はお盆ウィークということで夏休みを取られている方も多いのでは。あいにく今週の天候は雨模様でぱっとしないようですが、蒸し暑い日々が続いたここ数週間を考えると真夏日にならないこういう天気も悪くはないかな、というところ。ところでゴルフ全米プロ選手権での松山選手、優勝まで1打差と迫りながら惜しくも最終日一緒に回ったジャスティン・トーマスに及びませんでした。朝から手に汗握りながら応援していましたが、きっと次のメジャー四大会ではこの悔しさをバネにしてトップを手にしてくれることと信じています。


さて先週一週間お休みしてしまった「新旧お宝アルバム!」、今週はまたは新しいアルバムの中からご紹介する順番。今週ご紹介するのは、イギリスはノッティンガム出身の男女3人組のまだレコードデビュー3年目という若いインディ・ポップ・バンド、ロンドン・グラマーが今年6月にリリース以来、シーンで評判を呼んでいる2枚目のアルバム『Truth Is A Beautiful Thing』をご紹介しましょう。


London Grammar 


ジャケに写るメンバー3人の中でも一際目を引くのは、バンドのボーカルを務める女性シンガー、ハンナ・リードの何やら神秘的な雰囲気を称える魅力的なイメージ。そのハンナに寄り添うように写るギターのダン・ロスマンとキーボード・ドラムスのドミニク・”ドット”・メイジャーの3人で構成されるロンドン・グラマーは、2009年、ハンナダンノッティンガム大学の一年生の時にキャンパスでギターをつま弾くハンナダンがバンドの誘いをかけたことから始まったバンドです。

音楽的には、アトモスフェリックという表現がぴったりの、控えめなギターと趣味よくプロデュースされたシンセ・サウンドを中心とした、宇宙空間に浮遊するような神秘的な音楽スタイルがとても印象的なバンド。その音楽性とハンナの取り憑かれたようなイメージのボーカルスタイルから、UKの音楽プレスではフロレンス&ザ・マシーンあたりに例えているようですが、フロレンス&ザ・マシーンほどシアトリカルでドラマチックな感じは強くなく、よりナチュラルな感じで緻密に作り上げられたサウンドとハンナのボーカルが自然に醸し出すドラマティズムで、新人にしてはスケールの大きい楽曲を聴かせる、そんなバンド。その涼しげなサウンドは今年のような暑い夏に聴くにはうってつけです。


London_Grammar_Member.jpg


2011年に大学を卒業した彼らはミュージシャンのキャリアに進み、2012年12月にYouTubeにアップした「Hey Now」で注目を集めたのをきっかけにBBCRadio 1に出演するようになり、2013年2月にデビューEP『Metal & Dust』、そして同年9月にデビューアルバム『If You Wait』をリリースして一気にシーンに登場。同時期にリリースしたシングル「Strong」が全英最高位16位を、そして『If You Wait』は全英アルバムチャート2位に上るヒットとなるなど、ヨーロッパやオーストラリアを中心に一気に人気を集めました。

その彼らが満を持してリリースしたのがこの『Truth Is A Beautiful Thing』。今回プロデューサーにあのアデルエリー・ゴールディング、シーアらのプロデュースを手がけ、今年2月のグラミー賞では最優秀プロデューサーを獲得した今や売れっ子のグレッグ・カースティンと、同じくアデルの『21』『25』のプロデュースと共作で知られるポール・エプワースを迎えて、アデルのあの世界観に通じる雰囲気も加えた意欲作。今年6月にリリースと同時に全英アルバムチャートに1位初登場するという、ファンやシーンの期待を反映した形で発表されたこのアルバム、その人気はヨーロッパやオーストラリアに限らず、アルバム発売と同時にUSでも評判を呼び、ちょうど7月に自分がUS出張の帰りにロスの大手レコード屋に立ち寄ったところ、彼らのこのアルバムがデカデカとプロモーションされているのが大変印象的でした。


前11曲中、メンバーとグレッグ・カースティンの共作「Everyone Else」と「Leave The War With Me」、メンバーとポール・エプワースの共作「Non Believer」以外はすべて楽曲はメンバー3人の自作。

全体リヴァーヴがかかったピアノとアコギと、遠くに微かに聞こえるシンセのトーンのみをバックに、ハンナの低いゆっくりとした歌い出しから始まるシングルカット曲「Rooting For You」は、いかにもUKメインストリーム・ポップの伝統を思わせる、マイナーキーとメジャーキーを行ったり来たりするメロディが印象的なスローでスケールの大きい楽曲。「Big Picture」はジェネシスとかのプログレ系のバンドの曲を思わせる、短いオブリガート・フレーズを奏でるギターと教会音楽を想起させる抑えめのシンセをバックにハンナが歌う楽曲。この後「Wild Eyed」「Oh Woman Oh Man」「Hell To The Liars」までのメンバー3人のペンによる5曲は一貫して同じタイプのスケールの大きい、音数を抑えながら教会で演奏されるかのような落ち着いたナンバーです。



LPでいうとB面にあたる6曲目以降の楽曲は、前述の2人のプロデューサーとの共作曲「Everyone Else」「Non Believer」が続き、A面楽曲で聴かれるアトモスフェリックな楽曲のスタイルは変えず、若干テンポ早めでリズムをやや強調した印象を与えます。特に後者はドラムス音の減衰を短くカットしたドラムスのサウンド(80年代のジェネシスのレコードで聴かれたあのサウンドに似ています)が曲に引き締まった印象を与えてくれています。

その流れを受け継ぐかのように続くメンバー自作曲「Bones Of Ribbon」はややリズムを強調したミディアム・テンポの曲。同じくメンバー自作の「Who Am I」でも「Big Picture」で聴かれたシンプルながら印象に残るギター・リフがループのようにハンナのボーカルを彩っている楽曲。

もう一曲のプロデューサーとの共作「Leave The War With Me」はリズムの明確さはあるもののまたA面楽曲の印象に戻るような楽曲で、ピアノをバックに美しくも静謐な印象を与えてくれるアルバムラストのタイトルナンバー「Truth Is A Beautiful Thing」によるエンディングになめらかにつながって行きます。



しっかりと構成されたスケールの大きい楽曲と静謐なサウンド・プロダクション、そしてハンナのドラマティックなボーカルスタイル。このアーティスト、このアルバムを楽しめるかどうかは、良くも悪くもこうしたサウンド・スタイルに魅力を感じるかどうかにかかっていると言えます。

最近のUSのヒット曲やメインストリーム・アーティストの多くが安易なヒップホップとのコラボや、やや過度とも思えるエレクトロ的な味付けでここのところ80年代後半から90年代初頭を思わせるチープなマスプロ感を漂わせているのと比べると、このアルバムで聴けるサウンドは、メインストリームを軸足に抑えながら普通のポップ・ロック・バンドであることを微妙に外しているところが、ある意味フレッシュで魅力的なのです。

Truth Is A Beautiful Thing (back)



まだまだ蒸し暑い日々が続くこの夏、ロンドン・グラマーの涼やかなサウンドを体験してみてはいかがでしょうか。


<チャートデータ> 

ビルボード誌全米アルバムチャート最高位129位(2017.7.1付)

同全米ロック・アルバムチャート最高位29位(2017.7.1付)

同全米オルタナティヴ・アルバムチャート最高位16位(2017.7.1付)

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#95「Shot Through The Heart」Jennifer Warnes (1979)

#95『Shot Through The Heart』Jennifer Warnes (Arista, 1979)


先週いくつか近海で発声した台風の影響もあってか、雨が降ったりして蒸し暑い日々が続きましたが皆さん元気に洋楽の夏を過ごしてましたか?先週末はフジロック・フェスティバルも開催され、野外フェスシーズンもいよいよ本番という感じ、自分は今年は参戦できませんでしたが、大自然の中で音楽を存分に楽しまれた方も多いと思います。

さて今週の「新旧お宝アルバム」は先日他界した偉大なシンガーソングライター、レナード・コーエンや、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの創立メンバーの一人、ジョン・ケールらとの交流で知られ、今日ご紹介する作品がリリースされた70年代後半はロスの音楽シーンでユニークなポジションで活躍、そして多くの洋楽ファンには映画の主題歌のデュエットヒットの数々でその名前を知られた女性シンガーソングライター、ジェニファー・ウォーンズの1979年の作品『Shot Through The Heart』をご紹介します。


Shot Through The Heart 

彼女の作品を耳にするたびに思うのは、ジェニファー・ウォーンズというのは何て不思議な魅力を持ったシンガーであり、ソングライターなんだろう、ということです。

歌唱テクニック的にはさして卓越したものを持っているわけでもなく、むしろ声域はあまり広くないので、高音域のメロディをしばしば苦しそうな裏声でしのいでいることも多く、決して「歌の巧い」シンガーではありません。

容貌も、ポップスターによくある美人とかコケティッシュとかいったこともなく、そういったルックス重視の観点からは御法度の眼鏡をかけた風貌はカリフォルニアあたりでよく見るちょっと知性派の女性といった感じです。

でも彼女の持つ独特の雰囲気、ちょっと気だるさや鼻にかかった感じの不思議な魅力をたたえた歌声、そして彼女の歌う彼女自身の作品や、他のアーティストの作品の解釈力や表現力に、多くの音楽ファン(特に男性ファン)は、彼女があのブレイクヒット「Right Time Of The Night(星影の散歩道)」(1977年全米最高位6位)でシーンに登場して以来引き付けられ続けてきたのです。

ほら、よくいるじゃないですか、クラス一の美人ではないんだけど、男友達も多く、なぜか気安く付き合えて、何かにつけて顔を見て話しをすると気が休まる、そんな女の子の同級生ジェニファーって、何だかそういう魅力を持った女性であり、アーティストのように思えるのです。


Shot Through The Heart (insert)


今日紹介するこのアルバムは、その「星影の散歩道」の大ヒットを含むアルバム『Jennifer Warnes』(1976)の商業的成功を受け、これに続くアルバムとしてリリースされた作品で、前作がナッシュヴィルやイーグルスとの仕事で有名なジム・エド・ノーマンのプロデュースだったのに対し、あのザ・バンドのコンサート映画『The Last Waltz』のプロデュースで有名なロブ・フラボーニと共にジェニファー自らプロデュースを担当しており、よりジェニファー自身のクリエイティブ・コントロールが反映された作品になっています。


アルバムの冒頭を飾るのは彼女自身のペンによるタイトル曲。アンドリュー・ゴールドのピアノとバック・ボーカルで、ブルース・ロバーツルパート・ホルムスあたりのNY風の洒脱なメロディと軽快なリズムのこの曲で聴けるジェニファーの表情豊かなボーカルは、聴く者をまるで懐かしい我が家に帰ってきたかのような気持ちにさせてくれます。

この曲からの唯一のポップヒットで、彼女に取っての初のカントリー・チャート・トップ10ヒットとなった次の「I Know A Heartache When I See One」も彼女のボーカルの魅力を引き出しているミディアム・テンポの曲。ナッシュヴィルのソングライター・チームのペンによる曲ですが、ロブのプロデュース、アンドリューのピアノ、そしてこの曲で重要な腰の据わったドラミングを聴かせるあのレジェンド、ジム・ゴードンらのバックアップのためか、カントリーというよりもちょっとノスタルジックなメロディとアレンジが印象的な極上のポップ作品になっています




ここからLPならA面の残り3曲はジェニファーの真骨頂であるカバー曲が続きます。まずはバカラック作品で1962年のディオンヌ・ウォーウィックのヒットで知られる「Don't Make Me Over」。この曲でもアンドリュー・ゴールドの他ギターのバジー・フェイトンなどの名うての面々がバックを努める中ジェニファーが情感たっぷりに歌います。時に高音分で少し音を外したりとご愛敬(笑)ですがそれも彼女の味の一つになってますね

次は孤高のシンガーソングライター、ジェシ・ウィンチェスターの『Nothing But A Breeze』(1977)に収録の「You Remember Me」。しっとりとピアノをバックに、好きなんだけど恋愛の相手として認めてはくれない相手に最後の別れを告げに立ち寄る、という内容の切ないバラードを歌うジェニファーの大人っぽい歌声がちょっとした感動を呼びます。

そしてディランの「Sign On The Window」。1970年のアルバム『New Morning』収録のこれも実現することのない愛を振り返りつつ自らの人生を歩む者の心境をさりげなく、しかししっかりとジェニファーが表現します。


LPのB面は再び自作曲でスタート。「I'm Restless」も相手への愛を応えてもらえずにいる者の苦しい気持ちを切々と歌うバラードですが、サビ部分のメロディが高音域のためラインごとに裏声になったり、絞り出すように歌ったりというジェニファーのボーカルがかえってこの作品の情感を強調する効果となっているのが印象的。ちなみにこの曲、1994年にUKのベテラン・ロック・バンド、ステイタス・クオーがカバーしてシングルにしてるという意外な来歴を持った曲です。。

続いてはレオ・セイヤートム・スノウの二人のペンによる「Tell Me Just One More Time」。根音が半音ずつ下降していくコード進行(ビートルズの「You Won't See Me」などもそうです)が何とも言えない洒脱さとポップ感を演出しているミディアム・ナンバーです。このアルバムからの3枚目のシングルカット「When The Feeling Comes Around」は、ハワイ出身のソングライター、リック・クンハ作の、サム・クックあたりの60年代R&Bの香りいっぱいの作品で、リンダ・ロンシュタットあたりも歌ってそうな素敵なミディアム・ナンバー。

再び自作の「Frankie In The Rain」はニュージャージー出身のパンク野郎、フランキーに「少しは優しさ見せたら?」と諭すピアノ・バラード。

そしてアルバムを締めるのは、何と19世紀の作曲家、フォスター晩年の作品「すべては終わりぬ(Hard Times Come Again No More)」を、ジェニファー、リンダのバック・ベーシストとして知られるケニー・エドワーズ、USロック・シーンを代表するハモンド・オルガニストのマイク・フィニガンそしてブライアン・ラッセルの4人がアカペラで歌ったもの。黒人霊歌を彷彿とさせるフォスターのメロディが、このしなやかで魅力的なポップ作品の完結として不思議にふさわしく思えます

Shot Through The Heart (back)


ジェニファーはこの後親友レナード・コーエン作品のカバー集『Famous Blue Raincoat』(1987)、よりジャズやR&Bに近づいた『The Hunter』(1992)、クラプトンの後継者の最右翼とされるギタリスト、ドイル・ブラムホール2世とのコラボが目を引く『The Well』(2001)と、ポツリポツリと忘れた頃に新作を届けてきてくれてますが、何と現在最新作の制作に入っているとのこと。あの知性的な若々しさが魅力的なジェニファーも今年70歳ですが、その新作でも変わらぬ瑞々しさを届けてくれると信じて、彼女が女盛りであった頃のこのアルバム、改めて楽しんでみてはいかがでしょうか。


 <チャートデータ> 

ビルボード誌全米アルバムチャート最高位157位(1979.6.16付)

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#94「Lindsey Buckingham / Christine McVie」Lindsey Buckingham & Christine McVie (2017)

 #94Lindsey Buckingham / Christine McVieLindsey Buckingham & Christine McVie (LMJC / Merry Go Round / East West / Atlantic, 2017)


いよいよ学校の夏休みも始まり、梅雨も明けて、連日暑い日々が続く夏全開の今日この頃、皆さんは元気に洋楽ライフ、楽しんでますか?いよいよ今週末からフジロックも始まり、夏の音楽三昧の日々で盛り上がっている方も多いと思います。くれぐれも体調だけは気を付けて行きましょう。


さて今週の「新旧お宝アルバム!」は新しいアルバムをご紹介する番ということで今年の新譜。といっても70年代以来の音楽ファンにはすでにお馴染みのあのフリートウッド・マックの二人、リンジー・バッキンガムクリスティーン・マクヴィーが先月リリースしたデュエット・アルバム、既に耳にされている方も多いと思われる、その名も『Lindsey Buckingham / Christine McVie』をご紹介しましょう。


Buckingham_McVie.jpg 


70年代からのフリートウッド・マックのファンの皆さんにとってはここ数年何かと話題が尽きないマック周辺。2013年にはあの70年代を代表するメインストリーム・ポップの名作『噂(Rumours)』(1977)の未発表音源を含むCD3枚組のデラックス35周年エディションがリリースされ、久しぶりにマックの話題でシーンが盛り上がったところへ、1998年にグループ脱退、「ふつうの人」に戻っていたブルース・マック時代からポップ・マック最盛期にかけての中心メンバーの一人、クリスティーン・マクヴィーが2013年に行われたマックのツアーのロンドンでの最終2公演に突然参加、翌2014年にグループ復帰をアナウンスするという展開に。同年9月からは『ファンタスティック・マック(Fleetwood Mac)』(1975)~『Tango In The Night』(1987)のマック最盛期のメンバー5人(リンジー、クリスティーンに加えてスティーヴィー・ニックス、ミック・フリートウッド、ジョン・マクヴィー)が揃ってUS、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドをまわり(残念ながら日本公演はなし)、計120公演、1年以上にわたる「On With The Show」ツアーを敢行し、世界中のマック・ファンにマック再始動の実感をいかんなく与えてくれたもんです


このツアーは『』当時のファンだけでなく、その子供達の世代で『』の頃のマック・サウンドはクラシック・ロックFM局では聴いたことがあるけど生で聴くのは初めて、という観客にもマックのこの黄金期メンバーのサウンドが届けられ、当時のサウンドが次の世代にもリアリティを持って伝えられたという点で大きな意義があったと言えます。ツアー当時、このメンバーでの新作発表予定もアナウンスされ、ツアーが終了した2015年末には2016年にはほぼ30年ぶりにこのメンバーでのマックの新作が出る、と期待に胸を膨らませていたファンも多かったでしょう。

事実、そのツアーの直前、クリスティーン復帰直後の数ヶ月、リンジーはあの大作『Tusk』(1979)を録音したLAのスタジオに入って、クリスティーンと曲作りのセッションを始めていて、その出来に手応えを感じていたといいます。ツアー前までに、結果今回のデュオアルバムに収録される曲も含む8曲を、ジョンミックのリズム・セクションを加えた形で仕上げていたのです。ただその後、ツアー中約束されたマックの新作に彼らと共に取り組んでいたはずのスティーヴィー・ニックスが自分のソロ作のツアーに出てしまい、5人マックでのアルバムの仕上げが難しくなるという事態に。

もうこれ以上待てない、ということでリンジークリスティーンが2016年末から2年前に仕上げていた8曲を元に今回のアルバムを作り上げたのです。


Lindsey Christine


リンジークリスティーンのデュオ・アルバムといっても、バックにジョンミックのリズム隊が入っていますから、実質本作はスティーヴィー抜きのマックの新作、と言ってもいいでしょう。そして『』の「Dreams」のような典型的スティーヴィー楽曲が当然含まれていないのですが、それがほとんど気にならないほど、アルバムとしての完成度は高いものがあります

収められた楽曲は一曲ごとにリンジークリスティーンが交互にリードを取るという構成で、自分のリード曲は基本自分の作品、または自分の作品を元にもう一人が共作で仕上げたという機能的な共同作業の形を取っています。

そして、どの楽曲も聴いてすぐリスナーの頭に浮かんでくるのは『Tusk』から『Mirage』(1982)、『Tango In The Night』(1987)にかけての3枚の頃そのままのマックのサウンドリンジーの奏でる光り輝くようなギターリフに乗るポップ・ナンバー、クリスティーンのたゆとうような、それでいてスケールの大きいメロディと楽曲構成の英米ポップ・ロックの要素が渾然一体となったナンバーなどがふんだんに盛り込まれているこのアルバム、当時のマック・ファンはもちろん、今のメインストリーム・ポップ・ファンにも充分魅力を感じてもらえるそんな素晴らしい作品に仕上がっています。


イントロのギターとボーカル、そして『Tusk』期特有の飛び跳ねるリズムを聴いた瞬間に「あ、リンジーだ!」とすぐ分かってしまう冒頭の「Sleeping Around The Corner」、イントロのキーボードと紛う方なき成熟した歌声はクリスティーンなのだけど、メインのリズムはまたまた『Tusk』期のリンジー色が前面に出ている「Feel About You」、マイナー調のコードの出だしから一気に花が咲き乱れるようなギターフレーズとメロディが『Tango In The Night』で完全に主導権を持っていた頃のリンジーを強烈に感じるポップ・ナンバーの「In My World」と、この最初の3曲を聴いただけで、彼らのサウンドのファンの心を鷲づかみにしてくれるそんなアルバムの出だし。



クリスティーン独特の流れるようなコード進行とメロディ構成が『Tusk』収録の「Think About Me」チックな「Red Sun」、アコギでシンプルに聴かせるリンジーの「Love Is Here To Stay」、『』B-1に入っていた陰のあるロックナンバー「The Chain」を彷彿とする今回のアナログ盤でもB-1の「Too Far Gone」、そして『Mirage』期のリンジーの色が濃く出始めた時の「Hold Me」「Oh Diane」といったナンバーを思い出させてくれる「Lay Down For Free」など、アルバム中盤も一切テンションが緩むことなく、正にポップ職人リンジーと母性で包み込むロックシンガー、クリスティーンのコラボが素晴らしい楽曲群を紡ぎ出していきます。



アルバム上がりの3曲の最初「Game Of Pretend」は、これぞクリスティーンの楽曲という、ピアノの弾き語りで迫り来るようにクリスティーンが歌いかけてくる「Songbird」系の楽曲。この間のツアーのタイトルをそのままタイトルに「僕が立ち続ける限り/君の手を取って僕のバンドと立ち続ける/ツアーに出てショーを続ける以外/他に行くところはない/だからさあ行こう、さあショーをやりに出かけよう」と、リンジーのこれからの音楽活動に向けての決意表明を前向きに歌う「On With The Show」はことに感動的ですが、これに呼応するかのように、ややブルージーにアルバム最後の「Carnival Begin」では「目を開けると海には船が出航している/初めて会う人々、行ったことのない場所/もうそれらを隠すには遅い/私はすべての色とブランコ、新しいメリーゴーランドが欲しい/カーニヴァルの始まりなの」と歌うクリスティーンも同様の気持ちを表明していて、少なくともこのマックの4人はまだまだこれからも新しい音やショーを届け続けてくれるのだな、とファンとしては大変嬉しい実感を持つことができます。


Buckingham McVie (back)


とにかく3年の年月をかけて、いい音や楽曲作りへの完璧主義者ぶりでは定評のある(笑)リンジーが渾身で作り出したハイクオリティのサウンドは隅々まで手が行き届いた職人仕事で、これにもう一人のサウンド職人、ミッチェル・フルームがキーボードとプロデュースで参加してますので、楽曲のみならず音の良さも素晴らしいものがあります。

是非昔からのマック・ファンも、マックは知らないけど最近のHAIMなどの良質で成熟したポップサウンドに興味のある若いファンも、是非このアルバムでリンジーの、そして4人マックのサウンド・コラボの生み出す楽曲を楽しんでみてはいかがでしょうか。


<チャートデータ> 

ビルボード誌全米アルバムチャート最高位17位(2017.7.1付)

同全米ロック・アルバムチャート最高位3位(2017.7.1付)

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【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#93「Journey To The Land Of Enchantment」Enchantment (1979)

 #93『Journey To The Land Of EnchantmentEnchantment (Roadshow / RCA, 1979)


この週末は今日の海の日を入れての三連休。この週末からもう夏休みという学校も多いでしょうし、海に山に小旅行と連休を満喫されている方も多いでしょう。そういうレジャーにも是非いい音楽、いい洋楽を携えて楽しんでおられる方も多いことと思います。

さて今週の「新旧お宝アルバム」は久々に70年代に戻り、メインストリームでの商業的成功は今ひとつでありながら、その素晴らしいバラード・ナンバーの数々で当時のR&Bシーンに大きな存在感を残し、後の90年代にR&Bが復興した際、ジェシー・パウエルらの伝統的スタイルのR&Bシンガー達にも大きな影響を与えたデトロイト出身の5人組コーラス・グループ、エンチャントメントの3作目『Journey To The Land Of Enchantment』(1979)をご紹介します。

Jouney To The Land of Enchantment 

エンチャントメント、というと全米トップ40ヒットファンやソウル・ファンの間ではあの名バラード「Gloria」(1977年全米最高位25位)を含むファースト・アルバム、いわゆる「カエルジャケ」で有名な『Enchantment』(1977)や、もう一曲の全米トップ40ヒット「It's You That I Need」(1978年全米最高位33位)を含むセカンド・アルバム『Once Upon A Dream』(1978)の方が知られているかもしれません。いやそれ以前にエンチャントメントというグループ自体、熱心なソウルファン以外にはあまり一般的には知られていないというのが実態でしょう


Enchantment 1st 

エンチャントメントは古くからのソウル・コーラス・グループの伝統的スタイルを受け継いだ、バラード・ナンバーにその素晴らしさを発揮するグループ。しかし彼らのバラード・ナンバーというのはどれも、それはそれは宝石のように輝く素晴らしいナンバーばかりで、そうした卓越したバラード・パフォーマンスこそが彼らの最大の強みであることは間違いないでしょう。

その彼らのスタイルの強みを最大限に引き出しているのが、ファースト以来このアルバムまで3枚の楽曲作りとプロデュースをつとめたマイケル・ストークス。彼の作り出す数々のバラードの名曲とサウンドワークが、エンチャントメントを70年代屈指のバラード・グループにした大きな要因でした。これほどのアーティストを育て上げたマイケル・ストークスですが、エンチャントメント以外ではこれといった実績を残しておらず、エンチャントメントとマイケルの関係がお互い不可欠、ワン・アンド・オンリーであったことが分かります


先ほどにも述べたように、このアルバムの前の2作からは全米トップ40ヒットも生まれていますし、前作はR&Bアルバム・チャートでもトップ10に入るなど、商業的にも盛り上がっていた後のこのアルバムからは前2作ほどの大きなヒットは生まれていません。しかし、このロードショー・レーベル最後、そしてマイケル・ストークスとの仕事最後となったアルバムは、その後半を構成する怒濤のようなバラード・ナンバーの洪水だけを持ってしても、充分「お宝アルバム!」の価値はある作品だと思います



一方時は1979年、ディスコ・ブーム真っ只中の時代であり、アルバムの冒頭「Future Gonna Get You」は明らかにディスコな楽曲も用意しました、的な感じで正直あまり頂けません。2曲目の「Magnetic Feel」も同様の路線ですが、ただこちらはメインリフのクラヴィネットとホーンとベースのフレーズが、この2年後にブレイクするリック・ジェイムスの「Give It To Me Baby」を彷彿させたり、全体的にも70年代中期のテンプテーションズのアップナンバーを思い出させるようなしなやかさで決して悪くありません。このアルバムの最大の特徴は「だんだんよくなるエンチャントメントの3枚目(笑)」というものですが、正にその通りの展開で、次の「Anyway You Want It」はしなやかで洒脱なフレージングがフィリーソウルを思わせる素敵なミディアム・ナンバー。リードボーカルのエマニュエル・EJ・ジョンソンのファルセット気味のテナー・ボーカルが気持ちよく心に響きます。続く「Love Melodies」はちょっとサザン・ソウル風にスワンプ風味のギターとフェンダー・ローズとストリングスがダウン・トゥ・アースな気持ちよさを醸し出すゆったりとしたナンバー。

この後アルバムはやや中だるみとなり、ムーディなミディアム・スロー「Oasis Of Love」、これもややディスコ仕様だけど凡庸な「I Wanna Boogie」、そして何故かイントロにサーカスの呼び込みのメロディがあしらわれて、ややオールド・タイム・ミュージック風を狙っているような「Fun」の3曲が続きますが、正直この3曲は全体の流れを止めてしまっていて熱心なファン以外は飛ばして聴いて頂いても大丈夫です(笑)





そしていよいよ怒濤の後半がスタートするのは「Let Me Entertainment You」。ここではまだ凄さはありませんが、エマニュエルを中心に60年代のテンプスか、70年代のフォートップスか、というくらい完璧にコーラスワークを決める5人のボーカルが、心地よくリスナーの耳を包み込んでくれるミディアム・ナンバー。「ここから思い切り楽しんでくれ」という彼らの決意表明のようにもきこえます。そしてホーンとストリングスとリズムセクションが刻むイントロが入ってきた瞬間に素敵な時間を予感させる彼ら屈指の名バラード「Forever More」。アルバムジャケにメンバーのバックに写る星空から降ってくる流れ星のような音をシンセで散りばめながら抑えたバックトラック、コーラスもやや抑えめにリードのエマニュエルの素晴らしいテナー・ボーカルに寄り添ったパフォーマンス。「君の愛と一緒にいると素晴らしい/僕はずっと永遠に君の愛を大事にするよ」というベタベタのラヴソングなのですが、ここでの彼らのパフォーマンスこそ素晴らしいの一言

そしてこのアルバムの実質のラスト・ナンバー「Where Do We Go From Here」。知り合ったばかりの男女が二人きりになったのだけど、このまま何もなかったかのように立ち去るべきか、それともお互いに手を取って何が起こるのか試してみるべきなのか、ねえ君、これからどうすればいいんだろう、と歌うこの歌は、ギターとシンセによるスペーシャスなトラックをバックにゆったりと始まります。ここでもひたすらエマニュエルの素晴らしいファルセット・テナー・ボーカルとそれにぴったりと寄り添うコーラスによるエンチャントメントのパフォーマンスは、正に「クワイエット・ストーム」という言葉がぴったり。

曲はそのままアルバムクロージングの「Journey」になだれ込みますが、これは先ほどのスペーシャスなトラックがまた前面に出てきて2分ほど流れてフェードアウトする、というもの。



自分が1991~93年にNY駐在の頃、地元のブラック専門FM局、WBLSをよく聴いていましたが、週末の夜10時頃からやっていた名物番組「Quiet Storm」のDJだったヴォーン・ハーパーバリー・ホワイト顔負けのロー・バリトン・ヴォイスの名DJ、惜しくも昨年71歳で他界)はよく番組の最後にこの「Where Do We Go From Here」から「Journey」の流れを使っていました。彼の「Journey」にかぶせてしゃべる「昨日から今日に時間が変わる真夜中...あなたにお届けしてきたQuiet Storm...(城達也かw)」というMCが本当に印象的で、このアルバムを聴くたびにあのヴォーン・ハーパーのセクシーなMCを思い出すということもあり、自分にとっては特別なアルバムなのです。


Journey To The Land Of Enchantment (back)

一部の曲は今聴くとやや時代を感じてしまうものもあるのですが、後半の一連のバラード曲は今聴いても全く古さを感じさせない、名ソウル・コーラスグループ、エンチャントメントの真骨頂とも言える素晴らしさだと思います。夏の夜、ジャケにあるような星空を見ながら、ソウル・バラードの神髄を楽しむには絶好の盤だと思いますので、是非一度聴いてみて下さい。

 <チャートデータ> 

ビルボード誌
全米アルバムチャート最高位145位(1979.4.28付)

同全米ソウル・アルバムチャート最高位25位(1979.4.7-14付)

テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

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