Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
■2009/2/7付Hot100~またまたジャンプアップ記録更新!
いやまあ、そのうち破られるとは思ってたけどこんなに早くブリトニーWomanizer」(96位→1位)の1位ジャンプアップ記録が破られるとは思わなかったねえ。たった3ヶ月しかもたなかったっちゅうことでしょ?やはりダウンロードのパワー恐るべし。

KellyClarkson_MyLifeWouldSuck.jpgということで今週発表の2月7日付Hot100で、何とケリー・クラークソンの「My Life Would Suck Without You」が先週97位→1位という驚異のジャンプアップでレディ・ガガを蹴落として1位獲得、2008/10/25付チャートでブリが達成した記録をいとも簡単に更新してしまいました。そういや先週チャートを見てて97位にこの曲が初登場してるのを見て、何か気になったんだよなあ...さて問題のこの曲だけど、これまで以上にメインストリーム・ポップ路線の王道を突っ走っているアップ・ナンバー。作曲とプロデュースにあのマックス・マーティンが絡んでいるという、いわば「売りに勝負をかけた」一曲という感じかな。曲は決して悪くないよ。でもケリクラが歌うからヒットしてるのか、とKellyClarkson_AMomentLikeThis.jpg考えると別にこれってはっきり言ってマイリー・サイラスとかが歌っても全然違和感がない曲にしか僕には聞こえない。同じマックス・マーティンプロデュースでも、前々作の『Breakaway』 (2004)の「Since U Been Gone」とかでいろいろ曲の表現を工夫しながらちょっとロック風に歌ってた前回のケリクラの方が僕には親近感が高いし、シンパシーを感じるなあ。まあ前作の『My December』(2007)がはっきりいってポシャったから今回は起死回生を狙ってるんだろうけど。しかしこのジャケの厚化粧はどうよ。あの「A Moment Like This」(2002)でアメリカン・アイドル初代チャンピオンになった時の写真と比べたらえらい違いやな。僅か6年半という年月と化粧でこうも変わるか、と言う感じだね。

なお今回で実はケリクラがジャンプアップ記録を更新するのは2回目。「A Moment Like This」の時に52位→1位というジャンプを見せて、1964年にビートルズが「Can't Buy Me Love」(27位→1位)で樹立した記録を更新してチャートファンをあっと言わせて以来、ということになります。ということで再度、歴代ジャンプアップ記録をおさらいしておきますか。
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■ LadyGaGa、3週連続#1達成(1/31/2009 Hot100)


いやあすごいマスカラだね(笑)。今週で3週目のHot100首位をキープしたレディ・ガガことステファニ・ジョアン・ジャーマノッタ嬢の「Just Dance」。ユーロダンス・ポップとアメリカン・ポップのおいしいところをすくい上げたようなキャッチャーな曲なんだけど、このインタビュービデオでも彼女が言ってる通り、この曲をブレイクさせるにはDJと握手したり、ラジオ局回りをしたりと、今どきでは珍しいA&R活動の積み重ねで苦労して苦労して、この大ヒットにつながったみたい。いい話だなあ。これぞヒット曲、という感じだよね。彼女のもう一ついいところは、この曲自分もペンを取っていること。プッシーキャット・ドールズなんかにも曲を提供してるというくらいで、自分で曲書けるというのは彼女がこれ一発で終わらないためには必要最低条件だと思うので。

チャートアクションをおさらいすると、最初2008年8月16日に76位初登場、次の週には赤丸なしで87位にダウン、そして圏外に。

ところがその翌週9月6日に74位に再登場。しかしまた赤丸が消えて79位→80位と、このまま消えてしまうかと思われたところ次の週に赤丸再点灯して、75位に。その後は73-67-66-60-59-49-27-21-16-7-5-4-3-3-2-1と、通算22週目で見事No.1に!ちなみにこれは2000年11月11日に27週目で1位になったクリードの「With Arms Wide Open」以来、歴代でも5位タイののスロークライミング記録ということになります。以下、Hot100歴代の1位へのスロークライミング記録ランキングをば。
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■My Best Albums of 2008 - 番外
ふー。やっとカウントダウンは終わったけど、10枚に入らなかったアルバムも取りあえず挙げるだけ挙げときます。これらのアルバムもとてもクオリティの高い作品だと思うので、是非聴いて見て下さい(聴いてない人は)。また暇があったらこいつらのミニレビューを乗っけることにします。

EmmylouHarris_AllIIntendedToBe.jpg"All I Intended To Be" - Emmylou Harris(一時の凄みは薄れたけど、天から聞こえるような声で歌われると昇天します)

TiftMerritt_AnotherCountry.jpg"Another Country" - Tift Merritt(期待せずに買って、ズドーンと当たった。美しくも聴かせるオルタナ・カントリーの新しい歌姫)

MGMT_OracularSpectacular.jpg"Oracular Spectacular" - MGMT(70年代ディスコと80年代シンセポップが2000年代によみがえった!と言う感じ)

JacksonBrowne_TimeTheConqueror2.jpg"Time The Conqueror" - Jackson Browne(ライブ見に行きました。曲のバラツキがなければ優にトップ10に入っていた。まずは復活に乾杯)

RachelYamagata_Elephants.jpg"Elephants...Teeth Sinking Into Heart" - Rachel Yamagata(この人の声も大好きだなあ。2枚目のロックンロールディスクがかなり意外ながら楽しめた)

Duff_Rockferry.jpg"Rockferry" - Duffy("Warwick Avenue"だけでも買う価値あり。)

RonSexsmith_ExitStrategyOfTheSoul.jpg"Exit Strategy Of The Soul" - Ron Sexsmith(忘れていた頃に新譜を出すシンガーソングライター。地味だけど心に響く歌作りは相変わらず)

AllisonMoorer_Mockingbird.jpg"Mockingbird" - Allison MoorerShelby Lynneの妹さんです。お姉さんに負けず劣らず存在感のある歌を聴かせる人です)

JackJohnson_SleepThroughTheStatic.jpg"Sleep Through The Static" - Jack Johnson(夏に嫁さんと見に行った横浜赤煉瓦倉庫のライブがちょー気持ちよかったから)

JohnLegend_Evolver.jpg"Evolver" - John Legend(純粋ブラック不作の年にちゃんときちっとしたクオリティのアルバムを出してくれるこいつは当分信頼して買い続けます)
■My Best Albums of 2008 - #1
My Top 10 Albums of 2008
#1: Just A Little Lovin' - Shelby Lynne (Lost Highway)

:...ということで期せずして上位2枚がいずれも女性ボーカルのアルバムになってしまった僕の2008年のマイ・ベスト・アルバム#1はシェルビー・リンのロスト・ハイウェイ・レーベル移籍第一弾『Just A Little Lovin'』。このアルバムが出たのが去年の1月の末だから、僕の中ではほぼ1年を通じてトップを独走してしまったことになる。それくらいこのアルバムを最初に聴いた時の鳥肌度と、その後聴けば聴くほど味わいを増すアルバム・プロダクションにはまいってしまったのだ。その要素はいろいろあるのだが、一番大きな要素は、彼女がこのアルバムで表現しようとしたかのダスティ・スプリングフィールドへのオマージュがあまりにもピタッときていて、彼女の歌声やバッキングのサウンドにダスティが乗り移ったかのような静かな迫力のようなものがあったからだ。このアルバムのジャケもダスティのトレードマークであるブロンドのウィッグを付けたシェルビーが1969年の名盤である『Dusty In Memphis』でのダスティのポーズを模するかのようなポートレイトになっている。2001年に、6作目にしてこともあろうにグラミーの新人賞を獲得したシェルビーの名盤『I Am Shelby Lynne』(1999)(これもダスティを思わせるが当時僕はレビューで「ちあきなおみを思わせる」と書いた覚えがある。往年の和田アキ子が日本のアレサであったように、往年のちあきなおみの佇まいとたなびくようなソウルネスはダスティに通じるものがあったから)の成功にもかかわらずその後レーベルを転々とせざるを得ず、作品の内容も巧拙相半ばしていたシェルビーが、キャピトルとの契約が解消された後、オルタナ・カントリーのレーベルとして名DustyInMemphis.jpg高いロスト・ハイウェイから満を持して発表したこの作品の位置づけは特別なものだったに違いない。それはあたかもUKでの録音に飽きたらず、自らが愛するR&Bの聖地、テネシー州メンフィスに乗り込み、ジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド、アリフ・マーディンという当時のアメリカンR&B制作陣としては最高のプロデューサー陣を起用して『Dusty In Memphis』を完成させた当時のダスティーの思いに自らをシンクロさせるというような考えがあったかもしれないと思わせるような、この作品はそんな入魂の、それでいて肩に無駄な力が一切入っていないとてもセンシュアルなパフォーマンスが聴けるそんな作品だ。

キャピトルとの契約が切れた次の方向性で悩んでいた彼女をこのダスティへのオマージュ・プロジェクトに向かわせたのは、何とバリー・マニローからの助言だったという。彼女はキャピトルのスタジオで、フランク・シナトラが使っていたマイクを使い、名匠フィル・ラモーンをプロデューサーに迎えて、バックはギターのディーン・パークスなど名うてのスタジオ・ミュージシャン4人のみを起用、そしてサウンド・エンジニアリングはこちらも数々の名盤を手がけたアル・シュミットが担当...となってくれば、このアルバム全体を通して感じられるサウンドの切れ味と静謐さ、その中から匂い立ってくるようなソウルネスが感じられるのも当然だ。そして何よりもシェルビーシェルビー自身であることを見失っていない。ダスティーへのオマージュだからといって(なりは真似してみても)ダスティーのような歌い方をしてみようとかそういうことは一切ない。ここにあるのは、シンガー、シェルビー・リンが非常に優れた作品と制作環境で、自らのタレントを100%あるがままに表現しようという試みを捉えた結果だ。
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■My Best Albums of 2008 - #2
いよいよオバマ新大統領の就任(inauguration)が数時間後に迫ってきた今日1/18。リンカーン・メモリアルでは、ブルース・スプリングスティーン、ボノ、ビヨンセ、メアリー・J・ブライジ、ガース・ブルックス、ハービー・ハンコック、シャキーラ、シェリル・クロウ、アッシャーといった豪華なメンツでの大統領就任記念コンサート(Inaugural Concert)が盛大に開かれるとか。これ、是非見たいね。HBOで現地時間14:30(日本時間だと今夜の夜中の12:30)から生中継らしいから、きっとCSでやってるよね。録画しようっと。

さて、オバマが大統領就任しちゃう前に、僕の2008年ベスト・アルバムのカウントダウンもいい加減完結しないとね。うかうかしてるとグラミーも始まってしまうし。ちなみに今年のグラミーは2/8に発表されるので、今月中には例年通り、主要部門の予想をやらなくちゃ。例年恒例のグラミー授賞式のライブ・ブログ、今年も敢行の予定です。

My Top 10 Albums of 2008
#2: 19 - Adele (XL Recordings / Columbia)

Adele_19.jpgここ数年、UKから女性シンガー、それもR&Bや60~70年代的サウンドをベースにした楽曲をフレッシュな解釈と歌唱で聴かせる質の高い白人シンガーが続々とシーンに登場して、それぞれ存在感を放っているのを見ると、イギリス音楽シーンの懐の深さを改めて再認識する。これがアメリカだと、最近でてくる若手の女性シンガーというとカントリー・ポップやメインストリーム・ポップもの(アメリカン・アイドル経由のケリクラキャリー・アンダーウッドジョーダン・スパークスといった連中)か、トラディショナルな黒人R&Bシンガー(ジェニファー・ハドソンとか)と相場が決まっていて、「面白い」実力新人女性シンガーという評価ができる人は少ないように思う。そこへいくとUKは昨年グラミーを蹂躙しまくったエイミー・ワインハウス(その後作品が出てないのがとっても気になるのだが)を筆頭にこのアデルダフィといった面々は個性と音楽的な深み(depth)のいずれもが強い存在感を放っているあたり、タレントの格の違いを感じるといったら言い過ぎか。

アルバムタイトルはこのアルバム発表時(UKで2008年初頭)のアデルことアデル・アドキンス嬢の年齢だ。ミステリアスなジャケを見て、彼女のルックスにも期待が持たれるところだが、あまりそこは期待しない方がいい。実際のアデAdele.jpgはちょっとぽっちゃり目の性格の良さそうなおねーちゃん、という感じで、一見エイミー・ワインハウスダフィのように存在そのものが強烈な個性を放っているという感じの奴じゃない。でも彼女のアルバムを聞き始めると彼女のボーカリストとしての才能に非凡なものがあることはすぐ判る(山本さん、アデルは「ごく普通のボーカリスト」じゃないですよ。もっといいサウンドシステムでじっくり聴いて下さいね!)。僕は冒頭アコギのアルペジオで静かに始まる「Daydreamer」での彼女の声だけで軽くノックアウトをくらった感じだった。半分ハスキーがかっているのに艶があるアデルの声は、こういうちょっとメランコリーながらソウルを内在した曲(そう、あの60年代のUK白人ソウル・シンガー、ダスティ・スプリングフィールドあたりもほのかに思い出させる曲)にとても合うし、彼女の解釈力溢れる歌唱と、嫌味でない歌唱技術が、この小品を素晴らしい作品にしている。アルバムは続いてシャンソンの英語解釈バージョンのようなしっとりしたオープニングから、西インド諸島の音楽を思わせるエスニック・アップテンポのサビへの転換が楽しい「Best For Last」で更にアデルの歌唱力を見せつけてくれる。そしてあの大ヒット曲(UK最高位2位)で、今回グラミー賞のレコード・オブ・ジ・イヤーとソング・オブ・ジ・イヤーの主要2部門に見事ノミネートされているChasing Pavements」だ。この曲が未だに(それもグラミーノミネート発表後も)USラジオに認められていないのが不思議に思えてしまうほど、スザンヌ・ヴェガを思わせる導入部門から一気にストリングスでフィリー・ソウルの官能の盛り上がりを彷彿とさせるサビに持って行ってしまうこの楽曲の完成度は(シンプルだが)高い。そしてそれを見事に自分の世界として歌いきってしまうアデルのうたは誠に心地よい(一度筆者はこの曲をカラオケでトライしたが、後半がダレてダレてしょうがなかった。かくも歌唱力というのは歌を魅力的にしてくれるものなのである)。

エイミー・ワインハウス同様、このアルバムでもUKブルー・アイド・ソウルの最近の仕掛人であるマーク・ロンソンのプロデュースが果たしている役割は絶大なのだろうが、敢えて彼はこのアルバムではアンダー・プロデュースを心がけているように聞こえる。それほど全体のサウンドはとてもシンプルだし、ギミックは一切入っていない。これは詰まるところ、19歳にしてデビューアルバムの楽曲の殆どを自作の曲(しかも再三言っているように多くの曲が楽曲としての質が高いのだ)で埋め尽くし、それを説得力溢れる歌唱で聴かせてくれるアデルの才能をありがままに、あたかもシェフが食材の旨みを最大限引き出すために敢えて味付けを最小限にするように、このアルバムを作った結果だと思う。これはダフィの『Rockferry』とはかなり対照的で、それがまた僕がダフィでなくアデルのアルバムを年間上位に挙げた理由の一つでもある。もちろんダフィのアルバムが過剰プロデュースで、ダフィの才能が劣っているなどど言いたいわけではない。自分の好みの問題として同じレベルの才能が同じような傾向の音楽を表現している時、僕は素材を生かした薄味の方が好きだ、ということだ。


それにしても僕は彼女の声が好きだ。「Melt My Heart To Stone」とかを聴いていても高音域に入っていく時に軽くフェイクしながら声がハスキーになるところなど、とてもエモーショナルなものを感じる。唯一マーク・ロンソンが彼らしさを発揮した60年代R&Bポップっぽい「Right As Rain」の軽快なトラックに乗って歌うアデルの声もなかなか。そして先にも触れたようにこのアルバムは1曲を除いてすべて彼女の自作または共作だが、唯一カバー曲として収録されているのが、ボブ・ディランの曲で、あのビリー・ジョエルもカバーしたことのあるMake You Feel My Love」だ。この渋い選曲にはちょっと驚いたが、この曲の音域、ゆったりしたテンポと詞のメッセージが実にアデルのスケールの大きい歌声にマッチしているのだ。アルバムは映画のエンディング・クレジットをイメージさせるような静かなソナタ風のピアノをバックに情感豊かに歌われる「Hometown Glory」で幕を閉じるが、とても質のいい映画を見た後に感じるような心地の良い聴後感を感じることができると思う。

彼女が去年のエイミーの再来よろしく今年のグラミーを制するかについては(上記2部門以外には、最優秀新人部門、最優秀女性ポップ・ボーカル部門の合計4部門にノミネート)2/8の受賞発表式を待たねばならないが、今回はエイミーの時ほどメディア・バズが喧しくないし、ノミネーションによってシングルやアルバムが思ったほどチャートで躍進していないことを考えると、2007年2月のコリン・ベイリー・レイの再現コリンもUK出身のソウル・シンガー、ソング・オブ・ジ・イヤー、レコード・オブ・ジ・イヤーにノミネートされたがいずれもディキシー・チックスに持って行かれた)なのかなあという気も...でもしかし今回はソング・オブ・ジ・イヤーくらいは是非取って欲しいところだね。ともあれ彼女は次の作品がキー。でも基本的にシンガーソングライターだし若いので、2作目のジンクスなんか蹴飛ばしてまた魅力的な作品を届けてくれることを期待してる。

さて、いよいよ2008年のマイ・ベスト・アルバム#1の発表です。
■My Best Album of 2008 - #3 & #4
いやあ一週間+ぶりのご無沙汰です。1/5から会社が始まって最初は挨拶回りもないし暇かな、と思ったらさにあらず。グローバルは先週末から動き始めているのでそのキャッチアップと、同時並行して発生する仕事で先週は結構バタバタ+嫁さんが急遽風邪でダウンしてしまったので、一日半休取って家事と子どもの世話(塾とか病院とかの送り迎え)で結構あっという間に一週間が過ぎてしまいました。皆さんの新年はいかがですか?今日は成人の日ということで、なかなか門出に相応しいいい天気(寒いけど。でもロンドンは最高零下らしい。ブルル)ですが、2回目の成人式も遙か昔に終わった自分としてはうらやましい限りで。

そんなことはどうでもいいのですが、年末に開始したマイベストアルバム2008のカウントダウンがまだ終わってないので、さっさと行きましょう。

My Top 10 Albums of 2008
#4: Only By The Night - Kings Of Leon (Hand Me Down / RCA)

KingsOfLeon_OnlyByTheNightUS.jpgちょうどこのアルバムを買ったのは、11月中旬、正にロンドン行きの準備をしている最中だった。UKで先行シングルの「Sex On Fire」が1位になったり、アルバムも初登場1位になったりとかなり盛り上がっていたし、アメリカでもいきなり5位にこのアルバムが初登場するなど、buzz状態だった。彼らのアルバムは元気のいいガレージ・ギターロック、と言う感じのデビュー作の『Youth & Young Manhood』 (2003)を聞いたっきりだったんで、このいきなりのブレイクぶりにはちょっと興味があったわけだ。で、買って聴いた。「Sex On Fire」の第一印象は、「これってアリーナでのライブでアンコールにやると無茶苦茶盛り上がるんだろなあ」という感じ。アルバム全体の印象は、UKメインストリーム・ロックの王道を行く、と言う感じで、デビュー・アルバムの頃の印象よりは大分貫禄が増していた。王道、といってもU2ほど思索的で大陸思考的な哲学派、というわけでなく、全盛期のオアシスとかのようにシニカルな大物バンド、という感じでもなく、かといってコールドプレイのように開けっぴろげに王道ポップを行ってるわけでもない。骨太ながらスレンダーなギターロックサウンド、ちょっと粋がってるような感じもあるけど結構ナイーブさを感じさせる歌詞、など、一流半のルーツ系ロックバンド、という何だか微妙な立ち位置を知らない間に確立したんだなあというのが印象だった。

で、ロンドン出張中、改めてiPhoneに放り込んだこのアルバムを聴きながら、冷え冷えとするオックスフォード・ストリート沿い(ロンドン中部のちょっとお洒落なショッピング街通り。クリスマス時期には沿道のデパートのライトアップがかなり綺麗(下OxfordStreet.jpgの写真がそうです)を歩いてみた。すると回りの雑踏の種々雑多な人種が入り交じった顔顔顔、そこから聞こえてくるイギリス訛りの英語の会話、横を走りすぎていくダブルデッカー・バス...こういったものを映像的バックグラウンドにして聴こえてきた彼らの楽曲の何としっくりいくこと!最初日本の自宅で聴いていた時にはあまり感じられなかった、感情的な発露にもだえる若者の哀愁に満ちた叫び、みたいなものが聞こえてきてしまう大きなうねりのグルーヴを聴かせる「Notion」とか("♪Don't knock it, don't knock it♪" というリフレインは聴きながら思わず叫んでしまいそうになる臨場感)、セカンドシングルにもなった、もろU2を思わせるな大陸的うねりを感じさせる「Use Somebody」(下のビデオ)など、耳について離れなくなって、何度も何度も繰り返して聴いてしまったものだ。そして彼らが実はUKのバンドではなく、テネシー州出身のれっきとしたアメリカのバンドだということを知ったのも僕がロンドン滞在中のことだった。何とまあ不勉強な....でもそこで気がついた。彼らの音がロンドンでリアルに聞こえたのは、UKで聴いたからではなく、日本ではありえないいろんな人種や人がごっちゃになっている場所で聴いたからだということを。彼らのベースとなっているとおぼしきルーツ系・R&B系ロック、なんてまさにいろんな民族系音楽の昇華したものの集まりだからなあ、と。

もちろん今回のアルバムの成功だけで彼らをU2扱いするのは短絡的だということは十分承知しKingsOfLeon.jpgているし、彼らのサウンドが今回のアルバムでかなりアリーナ・ロック化しているからねえ、というデビュー以来のファンの批判も聞こえているのは知っている。でも、リードボーカルのカレブのよく言えばシアトリカル、悪く言うとオーバードラマティックなボーカルは、ある時はジャーニー(!)のスティーヴ・ペリーを、シャウトするところなんかはブラック・クロウズクリス・ロビンソンを思わせるエモーショナルさ、明らかにルーツ・R&B系のブルージーさと、アリーナ系のドラマティックさをそのややしゃがれ気味の声で見事にアルバム全体の色を作りあげることに成功していると思う。そして今回、そのボーカルを中心としたバンドのパフォーマンス、楽曲や演奏の積み上げ方は、かなりクオリティの高いものになっていることは間違いない。とにかくルーツ系ロックや、U2のようにベースをアメリカン・ルーツ音楽に持っているバンドが好きな向きには文句なくお勧めできるアルバムだ。

KingsOfLeon_OnlyByTheNightUK.jpg彼らも昨年9月にはイギリスのNME誌のカバーを飾ったり、今回グラミーでも、最優秀ロック・アルバム部門を含むロック3部門に見事ノミネートされたりなど、今回の成功に伴ってかなりハイプが盛り上がって来てるようだ。しかしまだ全員20代、という若いバンドだけに、こういう回りの雑音にあまり惑わされず、是非次回作もこの路線をベースにして、更につっこんだ作品を出して欲しいし、来日してくれたら今の彼らを頑張って見に行きたい、と思わせるそんなバンドだね。ちなみに、このアルバム、US盤とUK盤ではジャケが違っており、冒頭に載せたのはUS盤。UK盤は←こういうなにやら割れた鏡に映った顔、というやや錯乱気味のジャケなんだけど、僕はUS盤のロールシャッハ・テストのようなシンプルなジャケの方が好きだなあ。

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■My Best Album of 2008 - #5 & #6
皆さん、あけましておめでとうございます。いよいよ2009年が明けましたが、東京のここ数日は暖かい日が続いていることもあり、何だかあまり正月という感じがしないのは私だけ?すでに2009/1/9付チャートも発表されてるんですが、取りあえず新年一発目は去年のMyアルバムトップ10のカウントダウンを引き続きご紹介するということで。

My Top 10 Albums of 2008
#6: We Started Nothing - The Ting Tings (Columbia)

TingTings-WeStartedNothing2.jpgこの年になってこんなに楽しく聴けるアルバムが出てくるとは思わなかったね。このアルバムを聴いてすぐに頭に浮かんだのは、自分が大学に入って東京に来て、貸しレコード屋でバイトし始めて間もない頃の約30年前(!)。当時はUKに端を発したニューウェイヴが盛り上がっていた時期と、ちょうどトーキング・ヘッズがあの名盤「Remain In Light」(1980)を出して、ロックが全く異なる色彩を帯び始めていた頃がちょうど交錯していた頃。加えて、そのヘッズのメンバーのティナ・ウェイマス(ベース)とクリス・フラTingTings-WeStartedNothing.jpgンツ(ドラムス)が結成したトム・トム・クラブが衝撃のデビュー作「おしゃべり魔女(Tom Tom Club)」(1981)をリリース、かのヘッズの名作同様、ロックとエスニック・リズムとの衝撃的な融合を完璧なエズゼキューションで見せつけてくれたあの時期だ。ああいう衝撃はもうそうそう巡り会えないもんだと思っていただけに、このティン・ティンズのデビュー・アルバムを聴いた時は正に「Remain In Light」とトム・トム・クラブと出会ったときと同じような気持ちのいいインパクトを感じたものだ。

ティン・ティンズはここ最近20年くらいはいろんな新しい音楽の発信源として名をはせてきたマンTalkingHeads-RemainInLight.jpgチェスター出身の、ケイティー・ホワイト(ギター&ボーカル)とジュールス・ディマルティーノ(ドラムス)の二人組で、ある意味あのホワイト・ストライプスとメンバー構成は同じでありながら、まったく正反対のアプローチからとてもエギゾティックでポップな音楽を実現しているデュオだ。彼らの魅力を感じるのは簡単で、取りあえずアルバム冒頭の「Great DJ」を聴けばよい。特に80年代初頭のニューウェイヴポップ、特に上述のヘッズ系の作品を経過した向きにとって、この曲のサビ部分(そう、あのサントリーのTVCMに使われたあの曲です)は理屈抜きで体は動くし(♪アン・ア・ア・ア・ア・ア・ア・アン♪)、頭の中でドーパミンが飛び出てしまう気持ち良さなのだ。同様のことはUKNo.1となった「That's Not My Name」そして全米でもヒットとなった「Shut Up And Let Me Go」でも言えるが、サウンドのキッチュさといい、ダンスミュージックのスタイルを取りながら実はかなりロック的なグルーヴをとてもミニマルな手法で聴かせているところには非凡なものがあるし、こういう尖っていながら無茶苦茶ポップな音楽をやる連中が新人バンドとして何の苦もなく飛び出してきてしまうUKの今のミュージック・シーンは上記の70年代後半、80年代前半以来久々にとても健全な状態にあるんだなあ、と思ってしまうのだ。この二人、今年は来日も果たし、立派にサマソニでもその雄姿をファンの前で披露して大いに喝采を浴びて帰ったらしい。こういう感じのバンドは実は日本で出てきて全然不思議では無いだけに、ここ数年のJポップブームが、単純なポップ寄りに流れてしまって新たな尖った人材の輩出機能を失っていないことを望むばかりだ。

まあ、とはいえ、そういう小難しい御託は別にして、このレコードは理屈抜きで楽しむべきものだし、特にこれまでいろんな音楽を聴いてきた人たちには特に偏見なしに聴いてほしい、そんなアルバムだ。取り合えずロック好きの仲間が集まる新年パーティのBGMにはもってこいのレコードだと思うんだけどどうだろうか。

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