Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【新企画】新旧お宝アルバム!#32「The Blade」Ashley Monroe (2015)

#32『The Blade』Ashley Monroe (Warner Bros., 2015)


前回のコラムの後、インフルにかかってしまったり、インフルが治ったかと思ったら仕事の関係で2週間連続週末も含めて海外出張が入ったりという状況で、この新旧お宝アルバムのアップデイトが2週間も空いてしまいました。その間にグラミー授賞式も大盛り上がりの中終了し、今週はアカデミー賞の授賞式。これが終わると授賞式ラッシュも終わって、しばらく音楽シーンは落ち着きますが、世の中は春に向かってまっしぐら。いろいろなアーティストの来日公演も予定されている中、皆さんの洋楽の春はどんな感じでしょうか?

さて、今週の「新旧お宝アルバム!」は「新」のアルバム紹介、今回は昨年ロック系の音楽誌などからも良い評価を受け、この間のグラミー賞でも最優秀カントリーアルバム部門でノミネート(残念ながら受賞はクリス・ステイプルトンに譲りましたが)されるなど、実績を積みながら中堅カントリー・アーティストへの道を着実に進んでいる当年29歳の女性シンガーソングライター、アシュリー・モンローの2枚目のアルバム『The Blade』を取り上げます。


Ashley Monroe The Blade


アシュリーはテネシー州ノックスヴィル出身で、小さい頃からイーグルスレーナード・スキナードなどを聴いたり演奏したりする両親の影響で、11歳の頃にはタレント・コンテストでカントリーのスタンダード曲を歌って優勝するなど、早くからその才能を見せていた様子。

父親がガンで急逝後、13歳で母親とナッシュヴィルに移り住んで本格的に音楽のキャリアを目指していたアシュリーは2006年にソニーと契約、デビューアルバムを録音、シングルも2枚ほどリリースしたのですが、シングルの売れ行きが今ひとつのため、レーベルはアルバムをお蔵入りに。


Pistol Annies Hell On Wheels 

なかなか自分のアルバムデビューを果たせない中、アシュリーは以前からナッシュヴィルで知り合った今やカントリーの大御所、ミランダ・ランバートと新人のアンガリーナ・プレスリーと女3人組のカントリー・グループ、ピストル・アニーズを結成。2011年リリースのアルバム『Hell On Heels』は全米アルバムチャート5位、カントリー・アルバム・チャートは首位を獲得、当時既に実績を確立していたミランダと並んでその才能を多くのリスナーにアピールできたアシュリー、2013年には念願のソロ・デビューアルバム『Like A Rose』を、あのヴィンス・ギルのプロデュースでリリース。これがシーンで高い評価を得て、そこから2年後、今回リリースされたのがこの『The Blade』というわけ。

The Blade (back2) 


前作の『Like A Rose』 でもそうでしたが、今回もアルバムのほぼ全曲のソングライティングに関わっており、またどの曲も、メインストリーム・ポップとしても充分リスナーを引きつけることのできるクオリティのもので、彼女のシンガーソングライターとしての才能がいかんなく発揮されています。

前作ではまだ少女っぽさが抜けない佇まいだった容貌も、今回のアルバムジャケではビシッとメイクを決めた大人の女性のイメージを発散。

そうしたアシュリー自身の成長を反映してか、収録された楽曲にも終わってしまった男女関係をクールに見つめる歌(「I'm Good At Leavin」)や悶々と苦しむ歌(「I Buried Your Love Alive」)、一方的な思いが報われない苦しみを歌った歌(「If Love Was Fair」)などなど、ソングライターとしても女性としても成長したことが伺われます。




そして何と言っても楽曲の魅力がこのアルバムの大きなポイント。冒頭「On To Something Good」では、過去と訣別してこれからやってくるに違いない「何かいいこと」に向かって突き進むのよ、と明るくアップビートなメロディとリズミックな歌を聴かせてくれます。「I Buried Your Love Alive」では、ロバート・プラントアリソン・クラウスの『Raising Sand』を思わせるようなちょっとレトロなカントリーR&Bナンバーに乗せて忘れられない別れた恋人への悶々とした思いを吐露します。


前作に続いて今回もプロデュースを担当、彼女のメンターの一人、ヴィンス・ギルとの共作の「Weight Of The Load」はおそらくこのアルバムでも一、二を争うポップ・アピールに溢れたカントリー・ミディアム・ナンバー。と同時に重い荷物を背負うような人生の苦しみを分かち合おう、というスピリチュアルなメッセージも持った曲です。このアルバムで唯一アシュリーがペンを取っていないアルバム・タイトル・ナンバーの「The Blade」もゆったりとした曲調とメロディも良くできた曲で、愛の終わりに相手は傷つかないけど自分だけが傷つくというシチュエーションを、相手はナイフの柄を、自分はナイフの刃を持たされてしまう、という風に表現した、いかにもカントリー・ソングらしい歌詞でドラマを作るタイプの曲です。この他にも、今話題のクリス・ステイプルトンとの共作で軽快な「Winning Streak」やナッシュヴィルあたりのラウンジでゆったりとした雰囲気で演奏されていそうな「If The Devil Don't Want Me」など、雰囲気たっぷりな楽曲が満載です。



そしてそうした楽曲を引き立てているのが、アシュリーの澄み切った、それでいて力強いキュート・ヴォイス。メロディをフェイクする時など、なかなかえも言われない魅力を発散する歌声がこのアルバムを魅力あるものにしている大きな要素であることは間違いないでしょう。大御所ドリー・パートンの例を出すまでもなく、カントリーの世界では特徴と魅力のある歌声は大変パワフルな表現力を持ちます。彼女の場合そうした力を充分持った歌唱力を持っていると思います。


以前取り上げたケイシー・マスグレイヴス同様、カントリー界だけでなく、あのローリング・ストーン誌が選ぶ2015年のベスト・アルバム50の一枚に選ばれるなど、ロック・プレスの間にも人気と評価が高いのも彼女の特徴であり、強みです。それだけ、ジャンルに止まらない表現力とパフォーマンス・レベルの高さが認められているのだと思います。カントリーというとどうしてもスチール・ギターとフィドルがビヤ~というステレオタイプな印象があろうかと思いますが、純粋に女性シンガーソングライターの作品としてこの素敵なアルバム、体験してみてはいかがでしょうか?


<チャートデータ>

ビルボード誌全米アルバム・チャート 最高位30位(2015.8.15付)

同全米カントリー・アルバム・チャート 最高位2位(2015.8.15付)

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テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

恒例!第58回グラミー賞大予想 #10(完結編) 〜主要四賞 その2〜
さあ今年のグラミー予想も大詰め、残すはあと2部門だけになりました。行きましょう!…って言って昨夜書き始めたのですが、見事寝落ちしてしまってアップできませんでした。今日は朝から出張で香港に移動、やっとさっきホテルに着いて、そこのルーフトップバーでさっきまで明日からの仕事の準備をやってて、やっとそれが一段落着いたので今仕上げを書いてアップするところ。何とか無事に授賞式までに予想できてよかった。ということで最終2部門行きます。

39.ソング・オブ・ジ・イヤー(Song Of The Year - 作者への授賞)

  Alright – Kendrick Lamar (Kendrick Lamar, Mark Anthony Spears & Pharrell Williams)
× Blank Space – Taylor Swift (Max Martin, Shellback & Taylor Swift)
  Girl Crush – Little Big Town (Hillary Lindsey, Lori McKenn
a & Liz Rose)
See You Again – Wiz Khalifa Featuring Charlie Puth (Andrew Cedar, Justin Franks, Charles Puth & Cameron Thomaz)
Thinking Out Loud – Ed Sheeran (Ed Sheeran & Amy Wadg
e)

KendrickLamar-Alright.gif TaylorSwift-BlankSpace.png LittleBigTown-GirlCrush.jpgWizKhalifa-SeeYouAgain.jpg EdSheeran-ThinkingOutLoud2.png 

さてさて今年の最優秀楽曲賞の部門は、いずれも劣らぬ強力曲がガチで集まっています。2年前の雪辱を果たすべく満を持した、昨年からの黒人迫害事件をテーマにしたケンドリック・ラマーの「Alright」は昨年のグラミー賞授賞式のオープニングパフォーマンス曲。過去の自分のキャリアと決別するという意味合いも深く持ったテイラーの「Blank Space」。今年のカントリー勢の中でも抑えきった曲調がサザン・グルーヴを深く感じさせるリトル・ビッグ・タウンの「Girl Crush」。あまりにも感動的な映画シリーズの最も感動的な場面で流れるというズルいセッティングを体現している「See You Again」。そして愛すべきホーボー・トルバドゥールのキャラ面目躍如のエドがとってもグレイスフルなラヴ・バラードを歌いのけてしまっている「Thinking Out Loud」。正直どの曲が取ってもおかしくないこの部門ですが、僕の本命◎はやはりエドの「Thinking Out Loud」。「See You Again」も2010年代のコンテンポラリーな楽曲として申し分のない素晴らしい構成で聴く度に涙を誘うのだけど、それ以上にエドのこの曲は素敵すぎる。そしてPVを見るとその想いは更に増幅します。今年SOYを取るのがエドの運命ではないか、と思えるほど。ここまで無冠で来ているエド是非ここでグラミーの星になって欲しいところ。「See You Again」は対抗○、そして穴×は去年やはり何だかんだいっても台風の眼であり続けたテイラーの「Blank Space」に進呈します。

40.レコード・オブ・ジ・イヤー(Record Of The Year - アーティスト、プロデューサーへの授賞)

  Really Love – D’Angelo & The Vanguard (D’Angelo & Brent Fischer)
Uptown Funk – Mark Ronson Featuring Bruno Mars (Jeff Bhasker, Phillip Lawrence, Bruno Mars & Mark Ronson)
× Thinking Out Loud – Ed Sheeran (Jake Gosling)
Blank Space – Taylor Swift (Max Martin & Shellback)
  Can’t Feel My Face – The Weeknd (Max Martin & Ali Payami)
DAngelo-ReallyLove - コピー MarkRonson-UptownFunk.jpgthinkingoutloud.jpg TaylorSwift-BlankSpace2.jpg TheWeeknd-CantFeelMyFace.jpg 

今年のグラミー最高峰部門のノミネートはやや異変。やはりどう考えてもディアンジェロの「Really Love」(しかもあのアルバムの中でこの地味な曲ですぞ!)のノミネートは事件だと思うのです。正直、54回のボン・イヴェールの「Holocene」ノミネート以来の事件でしょう。これはグラミー・アカデミーが、この地味だけどパワフルな作品がグラミー・ワージーだと認定したという意味で、来年以降のグラミーのノミネーションが大変楽しみになりましたよ。
で予想ですが、この部門はやはりどう考えても2015年を年初から秋口まで盛り上げてくれたマーク・ロンソンの「Uptown Funk」に取ってもらわないとどうにも2015年の収まりが付かないってもんです。従って文句なしにマーク・ロンソンが本命◎。対抗○は大変に迷うところですが、ここはグラミーに強いテイラーの「Blank Space」にやや分があると思うのが予想。でそれにぴったりくっついて後続してるのが、SOYで本命予想したエド・シーランの「Thinking Out Loud」。何せこの曲、いい曲過ぎますって。そしてPVも素敵すぎますって。だからこそSOYに本命予想したんだけど、ここROYでも穴×付けちゃう。

ということで今年から新たな予想部門を追加して40部門の予想となった今年のグラミー大予想。ここまで長々とお付合い頂いてありがとうございました。ことしは去年のように一人のアーティストが独占!ということは難しそうですが、もしそういうシナリオがあるとしたらケンドリック・ラマーに是非ビッグ・ナイトをキメてもらいたいところですね。今年は変則で日本時間火曜日朝の授賞式ということもあり、またちょうど香港出張が重なった、ということもあり残念何がら例年のグラミー受賞式生ブログはできませんが、週末にでも録画見ながら振り返り&まとめブログでもやってみたいと思ってますのでよろしくお願いします。では授賞式生で見れる方、エンジョイ!
恒例!第58回グラミー賞大予想 #9 〜主要四賞 その1〜
 さあ明日からの香港出張の準備しながら、今日書けるところまで書いちゃいます、残すは主要四賞。 

37.最優秀新人賞部門(Best New Artists


Courtney Barnett
James Bay
  Sam Hunt
  Tori Kelly
× Meghan Trainor

CourtneyBarnett 2 JamesBay.jpgSamHunt.jpg ToriKelly.jpg MeghanTrainor.png

昨年はこの部門、久々のスラム・ダンクでサム・スミスが受賞してるんですが、その前は結構予想を外してるか、穴×で引っかかってるという例年苦しんでる部門。一昨年は自信を以て予想したケンドリック・ラマーを差し置いてマッケルモア&ライアン・ルイスが取っちゃうし(本人たちも恐縮してましたが)、その前はこれも自信のあったフランク・オーシャンではなく無印のファンが取っちゃうし。その前はボン・イヴェール(穴×)、そしてその前はエスペランザ・スポールディング(無印)が受賞。なので甚だ今回は自信ないのだけど、選ばれた
5人の中で、唯一この部門以外でもノミネートされている、一部で話題のUKの男性若手シンガーソングライター、ジェイムス・ベイ君が本命◎かなあと(自信なさそう)。そう、昨年ROYSOYに「All About that Base」がノミネートされていたメーガン・トレイナー何と今年は新人部門でノミネートという、まあグラミーの新人賞部門の歴史でも屈指の怪現象が起きてるのですが、彼女、今年はこの部門以外は一切ノミネートされてないんですよ。どう思います、あなた?なので僕は彼女にはせいぜい穴×くらいしか付けれないな、と思ってます。では対抗○は、というと先日ブログでもアルバムレビューして、今一押しのオーストラリアのかっ飛びロックンロール娘、コートニー・バーネットちゃんに進呈します。こういうストレートでシンプルなロックンロールを結構面白い歌詞にのっけて歌う、というの結構アカデミーの好みにも合いそうなのだけど。主要音楽誌の評価も高いしね。ちなみに彼女が取ると、オーストラリア勢としては、251983年のメン・アット・ワーク以来33年ぶりの受賞になるようです。頑張れ、コートニー!

38.最優秀アルバム部門(Album Of The Year

× Sound & Color – Alabama Shakes
To Pimp A Butterfly – Kendrick Lamar
  Traveller – Chris Stapleton
1989 – Taylor Swift
  Beauty Behind The Madness – The Weeknd

 AlabamaShakes-SoundColor.jpgKendrick_Lamar_-_To_Pimp_a_Butterfly.pngChrisStapleton-Traveller.jpgTaylorSwift-1989.jpgTheWeeknd-BeautyBehindMadness.jpg

さあ今年のアルバム部門はきれーいにジャンルごとの代表作が並びました。ロックからはアラバマ・シェイクス、ラップ/ヒップホップからはケンドリック・ラマー、カントリーからはクリス・ステイプルトン、ポップからはテイラー(最早このアルバムから彼女はカントリー扱いではないのは皆さんよくご存知)、そしてR&Bからはザ・ウィークンド。こんなに綺麗に分かれたのは第502008年の、ハービー・ハンコックが『River: The Joni Letters』で受賞した年以来かな(そういえばあのアルバムのプロデューサーは今回プロデューサー部門にノミネートされ、僕が◎を付けてるラリー・クラインでした)。
で、筋書としては、既にクリス・ステイプルトンはカントリー部門での受賞を本命視されるのでここからは対象外。ウィークンドもポップとR&B部門で頑張ってもらうということでここでの受賞は薄いとみてます。そうなってくると、グラミー主要部門に強く、今年からポップフィールドにポジション替えをしたテイラーがぐっと有力視されるところ。素直に聴いて今回のアルバム『1989』は、あのライアン・アダムスが丸々カバーアルバムを出してしまうほど、内容的には充実しており、ここは本命◎に充分かと。対抗○は、それでも2年前の雪辱を是非ともラップ部門だけでなく、主要部門でも晴らして欲しい!ということでケンドリック・ラマーの『To Pimp A Butterfly』を押したいなと。期せずしてあのテイラーの『Bad Blood』のフィーチャリングコンビで本命・対抗を構成することに。で、穴×はアルバム2枚目にしてこの主要賞にノミネートされてきた、若手では本格派ロックバンドの位置を早くも確保してきているアラバマ・シェイクスのアルバムに付けておきましょう。


さて、残り主要2賞も今夜中に上げてしまえればいっちゃいます。後程!

恒例!第58回グラミー賞大予想 #8 〜ミュージカル、ヴィジュアル・メディア、プロデューサ部門〜
 さあ、残り少なくなってきました。次はこちらも今回初予想のミュージカル部門、そしてヴィジュアル・メディア部門。 

32.最優秀ミュージカル・シアター・アルバム部門(新予想部門、主なソロイスト/プロデューサーに与えられる賞)

  An American In Paris – Original Broadway Cast (Leanne Cope, Max Von Essen, Robert Fairchild, Jill Paice & Brandon / Rob Fisher & Scott Lehere)
× Fun Home – Original Broadway Cast (Michael Cerveris, Judy Kuhn, Sydney Lucas, Beth Malone & Emily Skeggs / Philip Chaffin & Tommy Krasker)
Hamilton – Original Broadway Cast (Daveed Diggs, Renee Elise Goldsberry, Jonathan Groff, Christopher Jackson, Jasmine Cephas Jones, Lin-Manuel Miranda, Leslie Odom, Jr., Okieriete Omanodowan, Anthony Ramos & Philipa Soo / Alex Lacamoire, Lin-Manuel Miranda, Bill Sherman, Ahmir Thompson & Tarik Trotter)
The King And I – 2015 Broadway Cast (Rithie Ann Miles, Kelli O’Hara, Ashley Park, Conrad Ricamora & Ken Watanabe / David Caddick, David Lai & Ted Sperling)
  Something Rotten! – Original Broadway Cast (Heidi Blickenstaff, Christian Borle, John Cariani, Brian d’Arcy James, Brad Oscar & Kate Reinders / Kurt Deutsch, Karey Kirkpatrick, Wayne Kirkpatrick, Lawrence Manchester, Kevin CmCollum & Phil Reno)
HamiltonMusical.jpg 


1958年の第1回グラミーからずっと途切れることなく続いている数少ない部門の一つ。その間名称は「Best Original Cast Album (Broadway or TV)」→1959Best Broadway Show Album」→1960Best Show Album (Original Cast)」→196162Best Original Cast Show Album」→196374Best Score From The Original Cast Show Album」→19751985Best Cast Show Album」→19861990Best Musical Cast Show Album」→19912010Best Musical Show Album」、そして2011年から今の名称といろいろ変化はしてますが、一貫してアメリカ文化の華の一つであるブロードウェイミュージカルを中心としたミュージカルのキャストによるアルバムを讃える部門です。従って過去の受賞作品を見ると基本的に王道系。で、2015年の王道は何か、というとこれは昨年8月にブロードウェイでオープンされて以来爆発的なヒットとなり、アルバムはビルボード・アルバム・チャートで最高位12位という、オリジナル・キャスト・アルバムとしては1963年以来の最高位(おそらく「Sound Of Music」の1位以来)を記録した『Hamilton』しかないと思います。このミュージカル、アメリカ建国の父の1人、アレクサンダー・ハミルトンの半生を描いたミュージカルですが、彼を含むジョージ・ワシントントーマス・ジェファーソンなどの当時の主要人物を黒人やヒスパニックの俳優たちが演じるという、正に今のアメリカを具現するようなプロダクション(このアルバム、ラップ・アルバム・チャートでは1位になりました)が大いに受けました。従ってこれが本命◎。
そして対抗○ですが、これはもう日本人として初めてブロードウェイのオリジナルキャストに名を連ねた渡辺謙の活躍が、去年日本人としては大変に誇らしかった「王様と私」しかないですよね。本当はこの作品が取って欲しい!昨年
9月にNYに行きましたが、残念ながら謙さんはその前の週に既にキャストを降りていたのでその雄姿を見ることはできなかったのですが、この歴史的な快挙には惜しみない賞賛を送りたいです。
穴×は、これも昨年NYに行った時に観たかったけど観損ねた「Fun Home」へ。成長するに従い自分は同性愛者であることを少しずつ自覚する過程で思春期を送る、という無茶苦茶難しいだろ、それ!という演技を見事に演じきったばかりか、ミュージカルの最重要シーンの一つで圧倒的なソロを見せた僅か11歳のジュディ・キューンちゃんの演技、生で見たかったなあ。

33.ビジュアル・メディア向け最優秀コンピレーション・サウンドトラック部門(新予想部門、コンピレーション・プロデューサーに与えられる賞)

  Empire: Season 1 (Timbaland & Jim Beanz)
Fifty Shades Of Grey (Mike Knobloch & Dana Sano)
× Glen Campbell: I’ll Be Me (Julian Raymond)
  Pitch Perfect 2 (Julianne Jordan, Harvey Mason Jr. & Julia Michels)
Selma (Ava DuVernay)

 EmpireSeason1.jpgFiftyShadesOfGrey.pngGlenCampbellIllBeMe.jpgPitchPerfect2.jpgSelma.jpg

ここからのビジュアル・メディア3部門も今回初予想。で、このサントラ盤に与えられる賞も、ミュージカル部門同様歴史は古く、第2回(1959年)から連綿と続く部門ですが、近年増えてきたいろんなアーティストの楽曲のコンピ形式サントラを評価するためにこのコンピ・サントラ専門の部門ができたのが2000年、第43回よりで初回の受賞者は映画『あの頃ペニーレインは(Almost Famous』のキャメロン・クロウ監督でした。さてここで本命と見てるのは、昨年のグラミー授賞式の最後を飾ったジョン・レジェンドコモンのパフォーマンスが未だ印象的な映画『グローリー/明日への行進(Selma』のサントラ。主題歌の「Glory」は昨年のゴールデングローブ賞最優秀オリジナル・ソングを受賞してますので大本命ということで。対抗は昨年のザ・ウィークンドのメジャーブレイクとなった「Earned It」やエリー・ゴウルディングの「Love Me Like You Do」など大ヒットを産み出した『Fifty Shades Of Grey』が順当でしょうか。穴×は個人的な思い入れもあって、アルツハイマー後期で療養中の御大グレン・キャンベルが最後に作り出した映像作品『Glen Campbell: I'll Be Me』に。本人は授賞式には来れないだろうけど、万々が一とるようなことがあればドラマだなぁ。

34.ヴィジュアル・メディア向け最優秀スコア・サウンドトラック部門(新予想部門、スコア作曲者に贈られる賞)

×
Birdman – Antonio Sanchez
The Imitation Game – Alexandre Desplat
Interstellar – Hans Zimmer
  The Theory Of Everything – Johann Johannsson
  Whiplash – Justin Hurwitz

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映画オリジナルスコアのサントラ盤に対する賞として第2回から続くこの部門で何と言っても圧倒的な強さを誇るのは、1977年第20回「Star Wars」から1982年第25回「E.T.」まで破竹の6年連続を含む過去10回の受賞の巨匠John Williams。しかしその巨匠も2006年第45回の『SAYURIMemoir Of A Geisha』以降受賞がありません。で、ここは、2011年第50回『英国王のスピーチ(The King’s Speech』、昨年第57回『グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel』で過去2回受賞のフランスの映画音楽作曲家、アレクサンドレ・デスプラットと、多くのハリウッド作品にスコアを提供して既に巨匠の風格を備えつつありながら、1995年第38回の『Crimson Tide』と2008年第47回の『ダークナイト(The Dark Knight』の2回の受賞に留まっているハンス・ジマーの一騎打ちとみてます。そして今回の作品はデスプラットが戦時中の数学者の数奇な運命を描く名作『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(The Imitation Game』、ジマーが『インターステラ―(Interstellar』といういずれも昨年のアカデミー賞作品賞候補作品というガチの対決。で、予想としては去年からの流れを見て本命◎デスプラット、対抗○ジマーで行ってみます。穴×は昨年のアカデミー作品賞・監督賞をかっさらった鬼才イニャリトゥ監督の倒錯とファンタジーとリアリズムの間を行き来するような映像が衝撃的だった『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(Birdman』のアントニオ・サンチェスに。

35.ヴィジュアル・メディア向け最優秀ソング部門(新予想部門、作者に与えられる賞)

  Earned It (Fifty Shades Of Grey) – The Weeknd (Ahmad Balshe, Stephan Moccio, Jason Quenneville & Abel Tesfaye)
Glory – Common & John Legend (Lonnie Lynn, Che Smith & John Stephens)
  Love Me Like You Do – Ellie Goulding (Savan Kotecha, Max Martin, Tove Nilsson, Ali Payami & Ilya Salmanzadeh)
See You Again – Wiz Khalifa Featuring Charlie Puth (Andrew Cedar, Justin Franks, Charles Puth & Cameron Thomaz)
× Til It Happens To You – Lady Gaga (Lady Gaga & Diane Warren)

 

こちらも新予想部門で、映像作品にフィーチャーされた楽曲についてその作者を讃える賞。この部門、必ずしも大ヒット曲や大ヒット映画のコンピサントラからの曲などが受賞するとは限ってなく、ここ10年ほどの受賞を見ても、2004年第47回はアニー・レノックスの映画『指輪物語/王の帰還』からの「Into The West」、2006年第49回はアニメ映画『カーズ』からのランディ・ニューマンの「Our Town」、2009年第52回は『スラムドッグ・ミリオネア』からの「Jai Ho」、2012年第55回は『ハンガー・ゲーム』からの「Safe & Sound」でTボーン・バーネットテイラー・スイフトが受賞、といった感じで映画で印象的に使用された楽曲重視の受賞になっている気がします。その観点から行くと、やはり今年の本命◎は映画『グローリー/明日への行進』からのコモンジョン・レジェンドの「Glory」でしょう。対抗○は、主要賞でSOYとポップ・デュオ/グループ部門のみにノミネート、という軽さがちょっと腑に落ちない映画『ワイルド・スピード・スカイミッション(Furious 7』のエンディングに流れる感動的な曲、ウィズ・カリファ+チャーリー・プースの「See You Again」に。で穴×なんですが、『Fifty Shades Of Grey』の2曲のどちらか、という線もなくはないものの、気になるのはレディ・ガガとあのダイアン・ウォーレンが共作している、大学構内での性的暴力実態を鋭く取り上げた映画『The Hunting Ground』の主題歌「Til It Happens To You」。この情念たっぷりに歌われるバラードは、その社会的メッセージ性といい、話題性といいかなり気になることは確か。この曲が取っても全くおかしくないということで、一応印を付けとこうと思います。

さて、一気にプロデューサーもいっちゃいます。

36.最優秀プロデューサー部門(クラシック以外)(新予想部門)

Jeff Bhasker
  Dave Cobb
  Diplo
Larry Klein
× Blake Mills

JeffBhasker.jpgDaveCobb.jpgDiplo.jpg Larry_Klein.jpgBlakeMills.jpg    


今まで予想してなかったのが不思議なくらいなメジャー部門ですが(笑)。ここ数年くらいやろうかなあどうしようかな、と思ってたのですが、予想部門を増やした今年一気にこれも行くことにしました。さて昨年はマックス・マーティンがぶっちぎりで当然のように受賞したこの部門、歴史的にはどちらかというとロック系のプロデューサーが取ってる傾向が強いように思います。で、今回のラインアップを見るとなかなか一線に並んでますねえ。で、自分が中で本命◎に選んだのは、90年代ジョニ・ミッチェルの旦那としてバックのベーシストとしてジョニ後期の多くのアルバムのプロデュースを手掛けてきたもうベテランというか巨匠の域に入ってるラリー・クラインにリスペクトを表した票が集まるのではないかと見てます。彼は今回そんなに大ヒットしたりシーンで話題になったアルバムを手掛けたわけではないけど(メロディ・ガルドーの「Currency Of Man、リズ・ライトの「Freedom & Surrender」、そしてあのJDサウザーの「Tenderness」が手掛けた作品として表示されてます)、メインストリーム系でこのくらいの地位のプロデューサーで受賞経験がないということでチャンスあるのでは。対抗○はここのところファンネイト・ルースなどのプロデュースでメインストリームでの活躍が著しいジェフ・バスカー。何といってもマーク・ロンソンUptown Special」、新進気鋭の女性ロッカー、エレキングの「Ain’t Gonna Down」、そしてこちらは新進気鋭のカントリー女性シンガー、キャムの「Burning House」など、2015年のメインストリームトレンドを代表するプロデューサーの1人と言ってもいいでしょうからね。で、穴×は若干29歳ながら、今回アラバマ・シェイクスの『Sound & Color』をプロデュース、グラミーのアルバム部門ノミネートの要因の一つとなった新進気鋭のプロデューサー、ブレイク・ミルズに。


さあいよいよ後は主要四賞の予想を残すのみ。乞うご期待。

恒例!第58回グラミー賞大予想 #7 〜アメリカン・ルーツ部門その2〜
 いよいよ授賞式を来週の日本時間火曜日の朝に控え、レディガガデヴィッド・ボウイ・トリビュートに続き、ドン・ヘンリー、バーニー・レドン、ジョー・ウォルシュ、ティモシー・シュミットそしてジャクソン・ブラウンというオールスターメンバーによるグレン・フライのトリビュート(やっぱりランディ・マイズナーとドン・フェルダーは参加しないのか、させてもらえないのか)も発表となった当日のパフォーマンス・ラインナップ。今年はほろ苦い豪華パフォーマンスが繰り広げられる夜となりそう。では昨日積み残したアメリカン・ルーツ部門の残りの予想行きましょう。

29.最優秀ブルーグラス・アルバム部門

  Pocket Full Of Keys – Dale Ann Bradley

  Before The Sun Goes Down – Rob Ickes & Trey Hensley

× In Session – Doyle Lawson & Quicksilver

 Man Of Constant Sorrow – Ralph Stanley & Friends

 The Muscle Shoals Recordings – The Steeldrivers

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さあ今回も知らないアーティストがずらりと並んだこの部門(笑)。唯一知ってるのはこの部門過去8回ノミネートながら無冠、しかし2002年(第44回)のグラミー最優秀アルバム、コーエン兄弟の映画『オー・ブラザー!O Brother, Where Art Thou?』サントラの中で歌った「O Death」で最優秀男性カントリー・ボーカル・パフォーマンス部門を見事受賞した大ベテランのバンジョー奏者、ラルフ・スタンレーくらい。従ってここは文句なしにこの御大に本命◎を進呈しましょう。対抗○には、最優秀カントリー・デュオ/グループ部門に過去2度ノミネート、この部門では第53回以来5年ぶりのノミネートになる、ナッシュヴィルをベースとするブルーグラス・バンド5人組のスティールドライヴァーズを挙げておきます。このバンド、過去には今回カントリー部門でソロ、アルバム、ソングの3部門にノミネートされて話題を呼んでる新人、クリス・ステイプルトンをヴォーカルに据えていた時期もあったというから話題性も充分のようです。穴×にはこちらも大ベテランのマンドリン奏者、ドイル・ローソン率いる6人組のクイックシルヴァーによる『In Session』に付けておきましょうか。でもまあここはスタンレー翁で決まりだろうなあ。

30.最優秀ブルース・アルバム部門


  Descendants Of Hill Country – Cedric Burnside Project

 Outskirts Of Love – Shemekia Copeland
 Born To Play Guitar – Buddy Guy

× Worthy – Betty LaVette
 Muddy Waters 100 – John Primer & Various Artists

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こちらは若手の実力派から大ベテランまでずらりと並んだメンツのブルース部門。しかしこの部門、歴史的に11回受賞のB.B.キングや、6回受賞のマディ・ウォータース3回受賞のジョン・リー・フッカー2回受賞のDr.ジョンなど、大御所中心に受賞するパターンがとかく多い。となるとアメリカン・ルーツ部門にもノミネートされてた、過去この部門5回受賞のバディ・ガイ御大がぶっちぎりの本命◎でしょうなあ。対抗○は第43回と第55回の2回過去ノミネート、今や36歳の中堅女性ブルース・ボーカリスト、シェメキア・コープランドに進呈。御大がいなければこの人が取っても全然おかしくない実力派です。そして実力派と言えば御年70歳、60年代前半から地道に活動してきた大大ベテラン・ボーカリスト、ベティ・ラヴェットに穴×を付けさせて頂きましょうか。

31.最優秀フォーク・アルバム部門

  Wood, Wire & Words – Norman Blake

 Bela Fleck And Abigail Washburn – Bela Fleck And Abigail Washburn
 Tomorrow Is My Turn – Rhiannon Giddens

× Servant Of Love – Patty Griffin
  Didn’t He Ramble – Glen Hansard

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さてフォーク・アルバム部門も例年地味な顔ぶれの中に何組かの目に付くアーティストがいるのですが今年もやはりそういうパターンのノミネーション。でも中で僕の目を引いたのは、オールド・タイム・ミュージック・バンド、キャロライナ・チョコレート・ドロップスのメンバーで、バイオリンやバンジョーなどマルチ・インストゥルメンタリストのリアノン・ギデンズ。このアルバムは昨年一時結構聴きましたが、Tボーン・バーネットのさすがと思わせるプロデューサー・ワークの効いたサウンドに、リアノンの澄み切った歌声がとても魅力的な作品で、ここは彼女に取って欲しいのもあり本命◎に押したいと思います。対抗○はベテラン・バンジョー奏者夫婦のベラ・フレックアビゲイル・ウォッシュバーンのデュエット・アルバムに。このアルバムも最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス部門にノミネートされていたので、ここで受賞する可能性は充分ありかなと。奥さんのアビゲイルは美人でバンジョーが達者なだけではなくて、個性的でコケティッシュな歌声がとても魅力的ですね。で、穴×はこちらはもはや大ベテランのパティ・グリフィンに。彼女もこの部門で過去3回ノミネートで無冠なのでそろそろ取ってもいい気はするのですが。


さあ、あと残すはビジュアルメディア部門とプロデューサー部門、そして主要4賞のみ。何とかこの週末、香港出張に出る前に仕上げて行きたいところです。続く。

恒例!第58回グラミー賞大予想 #6 〜アメリカン・ルーツ部門その1〜
 さあピッチを上げて、と思っていたらいきなり今年初めてのインフルにやられて今週前半は熱と頭痛で自宅でひたすら寝てました(とはいえ仕事は待ってはくれないわけで、そちらは時々むっくり起きて熱が下がり気味の時にやらざるを得なかったのですが)。その関係で今日までそれ以外何もできず状態。しかも火曜日にはメインマシーンのiMacが電源が入らなくなるというトラブルまで。きっとこのインフルとiMacトラブルがクリアする頃には明るい未来が待っていることを信じて.と言ってる場合ではないので、急いでアメリカン・ルーツ部門の予想、行ってみます。

26.最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス部門(新予想部門)

  And Am I Born To Die – Bela Fleck & Abigail Washburn
  Born To Play Guitar – Buddy Guy
 The City Of Our Lady – The Milk Carton Kids
 Julep – Punch Brothers
× See That My Grave Is Kept Clean – Mavis Staples




さて、近年のシーンにおけるアメリカーナ分野の充実と地位向上を反映して、このところグラミー賞でもこの部門が段々と充実してきました。その経過を追うと、
  • 49回(2007年授賞):それまでの最優秀コンテンポラリー・フォーク・アルバム部門が「最優秀コンテンポラリー・フォーク/アメリカーナ・アルバム部門」と部門名を変更。
  • 52回(2010年授賞)最優秀アメリカーナ・アルバム部門が独立。最初の受賞作はリヴォン・ヘルムの『Electric Dirt』。
  • 54回(2012年授賞):それまでコンテンポラリーとトラディショナルの2部門だったフォーク部門が一本化して「最優秀フォーク部門」に(ブルース部門も同様の変更で一本化)。
  • 56回(2014年授賞):楽曲部門である「最優秀アメリカン・ルーツ・ソング部門」が新設。最初の受賞曲はエディ・ブリッケル(現ポール・サイモン夫人、80年代にニュー・ボヘミアンズとのトップ40ヒット「Here I Am」あり)とスティーヴ・マーティン(例の有名コメディアン。実はバンジョー奏者としても有名で過去にもグラミー受賞経験あり)のデュオ作・演奏による「Love Has Come For You」。
  • 57回(昨2015年授賞):更に「最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス部門」も新設。最初の受賞作品はロザンヌ・キャッシュの「A Feather’s Not A Bird」。

とまあ、こういった具合で、アカデミーのこの分野に寄せる期待と思いが判りますね。自分もアルバム部門は独立時から予想してましたが、楽曲・パフォーマンス部門は今回初めての予想。でも自分が大好きなジャンルでもあるので、気合を入れて予想したいと思います。で、今回のラインアップ。いやあ重量級が並んでる。しかしやはり本命◎は、自分でも2015年アルバムランキングで2位に入れたパンチ・ブラザーズナンサッチレーベルからの5作目のアルバム『The Phosphorescent Blues』から、ブルーグラスとポップとちょっとR&Bも入った楽曲スタイルのバランスが一番いい「Julep」に。パンチ・ブラザーズは、現代アメリカのコンテンポラリー・ブルーグラス・シーンの腕利きミュージシャンが集まった、現在NYはブルックリンを中心に活動する5人組で、現在NY在住の矢野顕子さんがその演奏力の凄さにいっぺんにファンになり、自称「パンチの追っかけ」と言ってたくらい(笑)。メンバーは個人でもグラミー受賞経験があり、元ニッケル・クリーク(プログレッシヴ・ブルーグラス・グループ)のメンバーでマンドリンのクリス・シーリー(Chris Thileや何度も個人でグラミーノミネート経験のあるバンジョーのノーム・ピケルニーとフィドルのゲイブ・ウィッチャー、そしてギターのクリス・エルドリッジとベースのポール・コワート。これは彼らに是非取ってもらいたい。

で対抗○はというと、こっちも昨年大いにシーンで評判を取ったミルク・カートン・キッズのアルバム『Monterey』からのカット「The City Of Our Lady」へ。MCKはカリフォルニア出身のケネス・パッテンゲイルジョーイ・ライアンのアコースティック・ギター・デュオ。某音楽誌などは彼らを評して「ギリアン・ウェルチ&デヴィッド・ローリングス(アメリカーナで有名なシンガー&ギタリスト)とサイモン&ガーファンクルを足して、エヴァリー・ブラザーズの味付けをしたようなデュオ」と最高級の賛辞を贈っているほど。この曲も二人のギターと美しいハーモニーが確かにそういう雰囲気をふんだんに漂わせている佳曲で、アルバムもいいです。

こうなってくると残りの3組がいずれもベテランかつ実力派揃いなので穴×を付けるのははばかられるのですが、その中でもアメリカーナ・アルバム部門での受賞経験のある御大メイヴィス・ステイプルズによる20世紀初頭のブルース・ミュージシャン、ブラインド・レモン・ジェファーソンの定番曲のカバー「See That My Grave Is Kept Clean」に。ああちょっと気合入りすぎて書き過ぎた。とっとと行きましょう。

27.最優秀アメリカン・ルーツ・ソング部門(新予想部門、作者に与えられる賞)


  All Night Long – The Mavericks (Raul Malo)

  The Cost Of Living – Don Henley & Merle Haggard (Don Henley & Stan Lynch)
 Julep – Punch Brothers (Chris Eldridge, Paul Kowert, Noam Pikelny, Chris Thile & Gabe Witcher)
 The Traveling Kind – Emmylou Harris & Rodney Crowell (Cory Chisel, Rodney Crowell & Emmylou Harris)

× 24 Frames – Jason Isbell (Jason Isbell)


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さあ来た、ソング部門。ここでも圧倒的に光っているのはやはりパンチ・ブラザーズ。先ほど前の部門でも書いたようにこの「Julep」という曲は本格的なプログレッシヴ・ブルーグラスからスーパートランプか?と思うようなポップな曲まで取り揃えたアルバムの中でも最もバランスのいい曲。なので自信を以て本命◎です。対抗○は、この分野ではこのデュオで前々回の最優秀アメリカーナ・アルバム部門を受賞している、これも大御所デュオ、エミル―・ハリスロドニー・クロウェルの「The Traveling Kind」。このアルバムは受賞した前作「Old Yellow Moon」に比べるとややトラディショナルなカントリー系に寄っているのと楽曲のレベルがやや落ちるので、対抗が妥当なところかと。そして穴×は本当は上記2組がいなければ本命か対抗が充分狙える素晴らしい出来のアルバム『Something More Than Free』が昨年の各音楽誌の高い評価を得ていた、元ドライヴ・バイ・トラッカーズジェイソン・イズベルの「24 Frames」に。

え?ドン・ヘンリーマール・ハガードのデュオは印付けなくていいのかって?いやあ、悪いけどいかにも取って付けたように、しかもカントリー・レジェンドを担ぎだしてアメリカーナやって見ました、なんていうセコい根性が丸見えのこの曲に印付ける気はないっすね。アルバム自体は決して悪くないとは思うけど、こんなんでこの大事な部門受賞された日には真面目にやってる今回印付けた人たちに申し訳ないと思うけどね。こんなんでグラミー取ったりしちゃグレンもあの世で嘆くよ。やるならロバート・プラントくらい気合入れてやりなさいって。アカデミーもそういうところはちゃんと見てると思いますよ、ホントに。

28.最優秀アメリカーナ・アルバム部門

  The Firewatcher’s Daughter – Brandi Carlile

× The Traveling Kind – Emmylou Harris & Rodney Crowell
 Something More Than Free – Jason Isbell
  Mono – The Mavericks
 The Phosphorescent Blues – Punch Brothers

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さて、本丸のアルバム部門。ここはこの分野の部門中最も予想しやすいところで、これまでの私の予想を見てきて既に薄々皆さんお気づきだと思いますが、そう、今回の私のこの分野のシナリオは「パンチ・ブラザーズ、アメリカーナ部門総ざらえ」というもの。従って本命◎は当然パンチです(笑)。マグリットの作品をジャケにあしらったセンス、楽曲のバラエティと演奏技術、ミュージシャンシップの高さは以前このブログでもレビューした通りです(レビューはここ)。そして対抗○は、先ほどのソング部門でも対抗に上げた、ジェイソン・イズベルのアルバム。この作品はいろいろな音楽誌で評判がいいので試しに買って聴いてみたところ大変ソリッドで楽曲クオリティも高い作品だったので、この中では対抗にふさわしいかと。穴×は御大デュオのエミル―&ロドニーのアルバムに。


さあ、残りのブルーグラス、ブルース、フォーク部門はこの後に。

【新企画】新旧お宝アルバム!#31「Give It Up」Bonnie Raitt (1972)

 #31Give It UpBonnie Raitt (Warner Bros., 1972)


いよいよ第58回グラミー賞の発表が約一週間後に迫って来ましたが、このブログでのグラミー賞予想もあと数部門を残すばかり。実質授賞式まで1週間しかないので、頑張って予想アップしようと思います。

さて今週の「新旧お宝アルバム!」は「旧」のアルバムを取り上げる順番。今回はそのグラミー賞でも過去『ラック・オブ・ザ・ドロー(Luck Of The Draw)』(1991)や『心の絆(Longing In Their Hearts)』(1994)で数々の受賞を遂げ、2000年にはロックの殿堂入りも果たしている、女性ロック・ギタリストの先駆者的存在、ボニー・レイットがまだ22歳の頃にリリースしたセカンド・アルバム、『Give It Up』をご紹介します。

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MTV時代以降の洋楽ファンの方々に取って、ボニー・レイットはどのような印象でしょうか。上記の通り、90年代前半に2枚のアルバムで10個のグラミーを獲得、「Something To Talk About」(1991年最高位5位)「I Can't Make You Love Me」(同18位)「Love Sneakin' Up On You」(1994年最高位19位)といったどちらかといえばムーディ、悪くいうと地味な印象のヒット曲を出していた頃のボニーは、何となくAORロック・シンガー、というイメージが強かったのでは、と思います。

でもボニーは1980年代までに、女性で初めてスライド・ギターを駆使しながらブルース・ロックを演奏して成功したロック・ミュージシャンという大きな実績を持った、実はUSロック史上重要なアーティストという評価を得ていたのです。米ローリング・ストーン誌が選ぶ「歴代ベストギタリスト100」のランキングでは、女性としては75位のジョニ・ミッチェルに次いで89位で堂々2位、エレクトリック・ギターを主に弾く女性ギタリストとしては唯一ランキングされていることがこの評価を雄弁に物語っています。彼女に影響されたと思われる女性ギタリストには、シェリル・クロウや間もなく3度めの来日予定のテデスキ・トラックス・バンドスーザン・テデスキなど極めてミュージシャンシップのレベルの高いアーティスト達がいます。

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しかしボニーの音楽性の高さは、単なるブルース・ギタリスト兼シンガーという域に留まらず、R&B、ポップ、ジャズ、スワンプ・ロックそしてメイン分野のブルースといった幅広いジャンルを有機的に吸収した上で生み出された楽曲の作者として、また卓越したロック・シンガーとしてのボニーのパフォーマンスを聴けば、彼女が限られたジャンルに留まっていたアーティストではないことは明らか。その幅広さ、versatility(多才さ)は、僅か22歳の時にリリースされたこのセカンド・アルバムを聴くと如実に判ります。

彼女の音楽性の多彩さは冒頭の「Give It Up Or Let Me Go」からいきなり発揮されます。彼女お得意のボトルネット・スライド・ギターで始まるこのブルース・ナンバーは何と彼女の自作曲。しかもただのブルースではなく、後半にはウキウキするようなニューオーリンズのセカンド・ライン(ニューオーリンズの葬式では先頭行列は故人の死を悼む遺族が並び、2番めの行列には楽しく故人を送るためのブラス・バンドが練り歩くことから、ニューオーリンズ風のブラス・バンド・ミュージックのことを指す)に突入するなどまるでベテラン・スワンプ・ロック・ミュージシャンのアルバムのオープニングのよう。2曲目「Nothing Seems To Matter」も自作ですが、こちらはアコギの弾き語りでバックにはテナー・サックスを配して、ぐっと気持ちのこもったボニーの歌が聴ける、ジェイムス・テイラーなどのシンガーソングライターの作品を彷彿させる楽曲。続く「I Know」は、ルイジアナ出身のR&Bシンガー、バーバラ・ジョージ作のディープ・サウスの雰囲気たっぷりのR&B作品を、ボニーがこれもルイジアナ・テイストの演奏をバックにソウルフルに歌います。

彼女のシンガーとしてのスキルの高さは次のバラード「If You Gotta Make A Fool Of Somebody」で存分に発揮されていて、音域の幅広い難しい楽曲を上手に情感を乗せて歌いきっています。うーんその辺の女性シンガーソングライターよりもよっぽど歌うまいじゃん、タダの女性ギタリストではないな、と思わせてくれます。アコギのボトルネックをブリブリ言わせるブルース・ナンバー「Love Me Like A Man」、またまた70年代シンガーソングライター然としたアコギの弾き語り曲「Too Long At The Fair」と続いた後、このアルバムのハイライトの一つ、ジャクソン・ブラウンの「Under The Falling Sky」。オリジナルはジャクソンのファースト・アルバム (1972)に収録されていたオルガン、タムドラムとアコギをバックに歌われるアップテンポの曲ですが、ボニーはこれを見事に華やかなアレンジのブルース・ロック・ナンバーにアレンジ、原曲と全く表情の異なる、そしてボニーの意匠がバーンと刷り込まれた楽曲に仕上げています。この辺りはジャズ畑出身でアレンジ力もおそらく高いプロデューサーのマイケル・カスクーナの貢献もかなり大きいのでしょう。

アルバム後半はこれもルイジアナ・テイスト満点、ドクター・ジョンあたりが登場しそうなラグタイム・ピアノとクラリネットをバックにシャッフル調ながらボニーの若々しい歌声で古臭さが全くない「You Got To Know How」、またまたボニー自作でボニーの高音域のボーカルが素晴らしいブルース・ロック・ジャム的な「You Told Me Baby」と続き、アルバム最後はリンダ・ロンシュタットが翌年のアルバム『ドント・クライ・ナウ(Don't Cry Now)』(1973)で取り上げてポピュラーにした、エリック・カズリビー・タイタス(ドナルド・フェイゲン夫人)作の「Love Has No Pride」で幕を閉じます。ここでのボニーの伸びのあるボーカルも素晴らしいの一言。決してリンダの名唱に引けを取っていません。

デビューからアルバム2枚目、しかも22歳の若さでこのように成熟した歌唱と達者なギター・ワーク(特にアコギのボトルネック・ギターワーク)で、本職のブルースだけではなく、ロック、ジャズ、R&B、ニューオーリンズのセカンド・ラインやラグタイムまで様々なジャンルの要素を、渾然一体と一つにまとめ上げたこのアルバム。特に注意しなければ耳馴染みもいいのですーっと聴けてしまいますが、よく考えると極めてミュージシャンシップの高い作品なのです。是非若々しい頃のボニーの歌声と周到にアレンジされた楽曲と素晴らしい本人とバックの演奏で作りこまれているこのアルバムで、彼女の当時の勢いを感じてみて下さい。

BonnieRaitt-GiveItUp (back)

<チャートデータ>
ビルボード誌
全米アルバム・チャート 最高位138位(1972.12.23付)
RIAA(全米レコード協会)認定ゴールド・ディスク(50万枚売上)

恒例!第58回グラミー賞大予想 #5〜カントリー部門〜

いよいよ授賞式まであと約1週間とせまってきた今日このごろ。やはり予想通り、ボウイのトリビュートが行われるみたいで担当するはレディガガ。いろんな意味で相応しい人選だと思うね。でもグレン・フライモーリス・ホワイトのトリビュートはどうなるんだろうと思う今日このごろ。さあ急いで予想を行きましょう。続いてはカントリー部門。


22.最優秀カントリー・ソロ・パフォーマンス部門

 Burning House - Cam
◎ Traveller - Chris Stapleton
  Little Toy Guns - Carrie Underwood
◯ John Cougar, John Deere, John 3:16 - Keith Urban
  Chances Are - Lee An Womack

ChrisStapleton-Traveller Single 


さて毎年このジャンルで言ってるのは、前年11月に毎年ナッシュヴィルで開催されるCMA(カントリー・ミュージック・アウォーズ)の受賞結果との相関性。去年までは結構この内容とグラミーのノミネーションとの年度のねじれとか、対象者のねじれとかがあってあまり最近は参考になってなかったのだけど、昨年のCMAでは圧倒的にクリス・ステイプルトンリトル・ビッグ・タウン(「Girl Crush」)が賞をスイープ。クリス・ステイプルトンは最優秀男性ボーカリスト、最優秀新人、最優秀アルバムの3部門、リトル・ビッグ・タウンは最優秀ボーカル・グループ、最優秀シングル、最優秀ソングの3部門を押さえるという圧倒ぶり。そしてこの2組は今年のグラミー賞のカントリー部門でも存在感を持ってるのでかなりの本命路線というのが無難な予想になると思います。ということでこの部門ではそのうちの一人のクリス・ステイプルトンがいるので、まあ彼が本命◎でしょう。対抗◯としては迷うとこだけど、話題性という観点から、ジョン・クーガーと芝刈り機メーカーで有名なジョン・ディアー、そして聖書のヨハネ福音書3章16節(聖書の中の聖書と言われる節。神の子イエスを信じる者は永遠の命を与えられるという内容)を語呂でつなげたほとんど反則的なキース・アーバンのこの曲を上げざるを得ないね。オーストラリア人のキースがこういう曲をやることについてアメリカ人の、特に中西部の信心深いコンサバな白人たちがどう思ってるんだろう、というのは極めて興味のあるところだけど。で、穴キャリーちゃんでもいいんだけど、今年いきなり出てきた新人アーティストのキャム嬢の「Burning House」に付けとこうかな。

23.最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス部門

  Stay A Little Longer - Brothers Osborne
 If I Needed You - Joey + Rory
  The Driver - Charles Kelley, Dierks Bentley & Eric Pasley
◎ Girl Crush - Little Big Town
◯ Lonely Tonight - Blake Shelton Featuring Ashley Monroe

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去年はCMAで最優秀ボーカル・グループを取ってたリトル・ビッグ・タウンを押さえて、何故かバンド・ペリーがかっさらっていったこの部門、今年こそはCMAで4年連続今年も最優秀ボーカル・グループを取ってるリトル・ビッグ・タウンがまあ、いくら何でも本命◎でしょうねえ。問題はその後ですが、顔ぶれを観ていてパッと目につくのは、ブレイク・シェルトンアシュリー・モンローの師弟コンビ。ことに昨年リリースされたアシュリー・モンローのアルバムが2年前のデビュー作から驚くくらいに素晴らしい成長を遂げていたので、ここは是非とも対抗◯に。穴は昨年ブレイクした、夫婦のブルーグラス・デュオ、ジョーイ&ローリーに付けてみました。

24.最優秀カントリー・ソング部門(作者に与えられる部門)

  Chances Are - Lee Ann Womack (Hayes Carl)
  Diamond Rings And Old Barstools - Tim McGraw (Barry Dean, Luke Laird & Jonathan Singleton)
◯ Girl Crush - Little Big Town (Hillary Lindsey, Lori McKenna & Liz Rose)
 Hold My Hand - Brandy Clark (Brandy Clark & Mark Stephen Jones)
 Traveller - Chris Stapleton (Chris Stapleton)


さあ、この部門は判りやすいぞ。何たって、CMAを席巻した2大アーティストがきっちり顔見世してるので、本命対抗はこの2組しかないじゃないですか。じゃあどっちが本命◎かというと、なぜかCMAでは新人扱いなのに今回グラミーでは新人部門にノミネートすらされてないクリス・ステイプルトンに何となく不気味さを感じていて、この部門を制するのはクリスではないかと。ということで彼が本命、リトル・ビッグ・タウンが対抗◯ということで行きたいと思います。穴は、昨年新人部門でもノミネートされたブランディ・クラークに付けておきましょう。

25.最優秀カントリー・アルバム部門

  Montevallo - Sam Hunt
  Pain Killer - Little Big Town
 The Blade - Ashley Monroe
◯ Pageant Material - Kacey Musgraves
◎ Traverller - Chris Stapleton

SamHunt-Montevello.jpg LittleBigTown-PainKiller.jpg AshleyMonroe-TheBlade.jpg KaceyMusgraves-PageantMaterial.jpg ChrisStapleton-Traveller.jpg 

この部門も本命◎はクリス・ステイプルトンでほぼ決定でしょうが、それ以下の予想が難しい。その中でも比較的グラミーに相性がいいと思われるケイシー・マスグレイヴスのアルバムは、内容的にもすごく出来がいいし、対抗◯を付けても問題ないのではないかと。穴は前の部門でもコメントしたけど、ブレイク・シェルトンの愛弟子、アシュリー・モンローのアルバムがここでノミネートされてるのはすごいこと。アルバム内容もそれに恥じない出来だし、彼女のアルバムに進呈しておきます。


さあ、何とか向こう一週間で全て予想をアップします。この次はアメリカーナ部門です。

恒例!第58回グラミー賞大予想 #4〜ラップ部門〜

さあ今日は節分ということで授賞式までいよいよ2週間を切りました。ちょっとピッチあげないと。次はラップ部門。


18.最優秀ラップ・パフォーマンス部門

  Apparently - J. Cole

Back To Back - Drake
  Trap Queen - Fetty Wap
Alright - Kendrick Lamar
  Truffle Butter - Nicki Minaj Featuring Drake & Lil Wayne
All Day - Kanye West Featuring Theophilus London, Allan Kingdom & Paul McCartney

KenrickLamar-Alright.jpg 今年のラップ部門は判りやすい。何と言っても全てのラップ部門にケンドリック・ラマーがノミネートという、ケンドリック・ラマーの年といって過言ではない今年のグラミー。主要部門でもアルバム部門とSOY部門に「Alright」がノミネートされていて、さすがにSOYの受賞はエド・シーランや「See You Again」という強敵がいるので、ここは順当に主要賞が取れない時はジャンル別主要賞を取る、の法則に従って本命◎はケンドリック・ラマーで決まりでしょう。対抗◯は、この部門過去歴史的に比較的強いカニエ(過去5回ノミネート2回受賞)が、何とサー・ポール・マッカートニーをフィーチャーした「All Day」でノミネートされて話題を盛り上げてるのでこいつに。しかしポールがラップ部門で受賞したら凄いね。はこちらもアルバム『If You're Reading This It's Too Late』とフューチャーとのコラボアルバム『What A Time To Be Alive』の2枚をアルバムチャートNo.1に送り込んで2015年乗りに乗ってたドレイクの「Back To Back」。しかし彼も間が悪いというか、ケンドリック・ラマーがいなければブッチギリのラップ部門での存在感だったのにね。彼、この部門では過去6回ノミネートで受賞なし。今年もその轍を踏んでしまうのか。

19.最優秀ラップ/歌唱コラボレーション部門


One Man Can Change The World - Big Sean Featuring Kanye West & John Legend

Glory - Common & John Legend
  Classic Man - Jidenna Featuring Roman GianArthur
These Walls - Kendrick Lamar Featuring Bilal, Anna Wise & Thundercat
  Only - Nicki Minaj Featuring Drake, Lil Wayne & Chris Brown

Glory_(John_Legend_and_Common_song)_cover.pngさあここで大きな問題が。この部門、ラップ・ソング・チャートで去年の春から夏にかけて15週間1位を独走していたウィズ・カリファ+チャーリー・プースの「See You Again」が影も形もないのはどういうわけ??大体この曲、あれほどのヒット曲なのに今回のグラミーでは結構冷遇されていて主要賞ではSOY部門に何とかノミネートされた以外は、最優秀ポップ・デュオ/グループ部門とヴィジュアル・メディア向け最優秀ソング部門にノミネートされてるだけという寂しさ。これ問題じゃ?というわけでこの部門の本命◎はケンドリック・ラマー、と行きたいところなんだけど、昨年のグラミーの最後でコモンジョン・レジェンドが出てきて感動的なパフォーマンスを行った、映画『Selma』からの曲「Glory」が無茶苦茶光ってるので、これに付けてみましょう。この曲、去年のアカデミー賞ゴールデン・グローブ賞の両方で最優秀オリジナル・ソングを受賞しているということもあるしね。対抗◯は順当にケンドリック・ラマー他御一行様の「These Walls」、そして穴はこの部門ジェイZの7回に次いで過去4回と受賞回数の多いカニエが絡んでる、ビッグ・ショーンの曲に。

20.最優秀ラップ・ソング部門(作者に与えられる賞)


All Day - Kanye West Featuring Theophilus London, Allan Kingdom & Paul McCartney (Earnest Brown, Tyler Bryant, Sean Combs, Mike Dean, Rennard East, Noah Goldstein, Malik Yusef Jones, Karim Kharbouch, Allan Kyariga, Kendrick Lamar, Paul McCartney, Victor Mensah, Charles Njapa, Che Pope, Patrick Reynolds, Allen Ritter, Kanye West, Mario Winans & Cydel Young)

Alright - Kendrick Lamar (Kendrick Duckworth, Mark Anthony Spears & Pharell Williams)
  Energy - Drake (Richard Dorfmeister, A. Graham, Markus Kienzl, M. O'Brien, M. Samuels & Phillip Thomas)
Glory - Common & John Legend (Lonnie Lynn, Che Smith & John Stephens)
  Trap Queen - Fetty Wap (Tony Fadd & Willie J. Maxwell)

この部門は3回前の55回までは、受賞の2回に1回はカニエが絡むというカニエが強いい部門だったんだけど、ここ2回は連続して落としていて、そろそろカニエの強さもさほどではなくなってきているのと、やはり「今年のラップ部門はケンドリック・ラマー」というシナリオでいくと本命◎は「Alright」。対抗◯もカニエではなく、先ほどラップ・歌唱コラボ部門で本命を付けたコモンジョン・レジェンドの「Glory」が妥当かな。カニエの「All Day」は穴で押さえておくことにしましょう。

21.最優秀ラップ・アルバム部門


2014 Forest Hill Drive - J. Cole

  Compton - Dr. Dre
If You're Reading This It's Too Late - Drake
To Pimp A Butterfly - Kendrick Lamar
  The Pinkprint - Nicki Minaj


JCole-2014ForestHillsDrive.jpg DrDre-Compton.jpg Drake-IfYoureReadingThis.jpg Kendrick_Lamar_-_To_Pimp_a_Butterfly.png Nicki_Minaj_-_The_Pinkprint_(Official_Album_Cover).png 

さあラップ部門のメインイヴェント、アルバム部門。ここは今年は完全に本命◎ケンドリック・ラマーと対抗◯ドレイクの一騎打ちと見ていいでしょう。順当に行けばケンドリック・ラマーが前々回のマッケルモア&ライアン・ルイスにやられた雪辱を晴らして見事受賞(ラップ部門完全制覇も充分に可能性あり)、ただし場合によってはドレイクが初めてのハードコアなラップ・アルバム『If You're Reading This...』で55回の『Take Care』以来2度めの受賞を果たすか、というのも全くないシナリオではないところが気になるところ。ドレイクは過去いろんなラップ部門に結構ノミネートされてますが、受賞したのはこの55回の『Take Care』だけ、ということなので期待されるところではあります。穴はこれも素晴らしいヒップホップアルバムだと思うのですが(僕の個人的2015年年間アルバムランキングでも堂々7位でした)、J.コールの『2014 Forest Hills Drive』に進呈したい。このアルバム凄くしっかり作られたいいアルバムなのに、何だかとても評価が低いのが可哀想だなあと思うのです。


さあ、この後の予想はカントリー部門、ルーツ・ミュージック部門、そして今年から予想を追加することにしたミュージカル/メディア部門、プロデューサー部門の後、メイン4賞という順番になります。ああまだ先は結構あるな。頑張ろう。

【新企画】新旧お宝アルバム!#30「You Should Be Here」Kehlani (2015)

#30『You Should Be Here』Kehlani (Tsunami Mob/Atlantic, 2015)


ロック・ミュージシャンの訃報が相次いだ1月も終わり、2016年も早くも2月。寒さが厳しい今日この頃ですが、2週間後の2/15(日本時間は2/16)にはグラミー賞授賞式、という洋楽ファンには何かと落ち着かない季節になってきました。皆さんの洋楽ライフはいかがですか?

今週の「新旧お宝アルバム!」は「新」のアルバムをご紹介する番ですが、今回は、昨年iTune Music Storeにリリースしたミックステープが各方面で高い評価を得て、まだCDは一枚もリリースしてないながら今月発表のグラミー賞のアーバン・コンテンポラリー・アルバム部門にノミネートされている当年若干20歳の女性R&Bシンガー・ソングライター、ケーラニことケーラニ・パリッシュ嬢の『You Should Be Here』を取り上げます。


Kehlani-YouShouldBeHere.jpg 

ケーラニはサンフランシスコ郊外のオークランド出身の、自称「黒人、白人、アメリカ先住民族、ヒスパニックの混血」のエキゾチックなルックス。父親が早くに亡くなり、母親は刑務所を出たり入ったりというなかなかヘヴィな家庭環境のため、幼少から伯母さんに育てられ、最初はジュリアードに進学してダンサーになることを夢見ていたとか。

でもローティーンの時に膝を傷めたため歌に進路を転じ、地元のポップライフというポップバンドに参加。ポップライフは2011年に『America's Got Talent』(アメリカン・アイドル類似のリアリティ・ショー)の第6シーズンに出場し、最終審査で4位という結果を出すのですが、その際審査員に「君には才能がある。でもグループは不要では」と言われたことから、ソロでのキャリアを決意。

その後、元マライアの旦那で、前述の『America's Got Talent』の審査員でもあったニック・キャノンのバックアップもあって、2014年に最初のミックステープ『Cloud 19』を発表。これがビルボード誌他音楽誌の耳にとまり、期待の新人として注目を集め始めます。そして満を持して昨年2015年5月に発表した2本目のミックステープがこの『You Should Be Here』。

まず、R&Bアルバムにしてはやたら可愛らしい、ファンタジー・アニメ調のジャケデザインが目を引きます。そしてアルバムに耳を傾けると、まず最初の「Intro」では彼女の祖父(または庇護者)とのヴァレンタイン・デーの会話のスキットから始まりますが、後半ではまるでこれから『ターミネイター』か『アルマゲドン』が始まるの?というようなあたかもSFアクションゲームに出てきそうなシアトリカルな独白をつぶやくケーラニ

「神様は最強の兵士には最も困難な戦いを授けて、兵士はそれを死なずに切り抜けることで強くなるというわ。誰もが私は無敵に見える、恐れを知らない、勇敢に違いないって言うけど私だってただの人間。私はバーでドリンクを注文できるような年になる前に、そこらの人が一生かかって経験するよりも多くのものを見て、多くの痛みを経験してきた。

でも私は強くならなきゃ、自分のためというよりも大きな目的のために。なぜなら私の義務は私という人間を遥かに超えた大きなものだと思うの。家族を救うとか以上の。それは世界のため、なぜならこの世にいる誰かがこれを聴く必要があるから。だからこれはここにはいなくて、私がどれだけの経験をしてきたか、これからどこまで行けるかを見ることができない誰かのため。ここまで来れなかった家族や途中で失ってきた友達とか。

それとも私が自分の気持ちを捧げたけど、それにどう向かったらいいか判らない誰かのためなのかもしれない。あなたはここにいなくては(You should be here)

最後の部分でこれが自分自身の経験を踏まえた彼女の決起宣言であり、次にプレイされる「You Should Be Here」につながるモノローグであることがわかります。そして「You Should Be Here」というのが、愛する相手が自分の気持ちを理解せず、あたかも遠くにいるように振る舞うことについての彼女の叫びのメッセージであることも。

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You Should Be Here」以降アルバムのほとんどの曲のサウンドは、自主制作ということもあってか、いわゆる打ち込み系のサウンドプロダクションが中心の、フランク・オーシャンとか、以前にご紹介したティナシェとかいった、いわゆる21世紀のコンテンポラリーなR&Bサウンドです。

しかし、このアルバム・タイトルナンバーも、そして相手を挑発するようなリリックの「How That Taste」も、「ハイヒールなんてあたしの柄じゃない/あたしはスニーカーの紐をきちっと締め上げる方がいい」と彼女のスタイルのリアルさを象徴する「Unconditional」も、そして「今生きてるって感じる!」とポジティブなメッセージでアルバムを締めくくる「Alive!」も、人工的なサウンドというよりも、スペーシーながらR&Bの伝統的なぬくもりを感じさせながら、聴きやすいフックやメロディ、そして抑えめながら効果的なリズムリフが効いた耳に残るサウンドで、ケーラニのソングライティングの才能に新鮮な驚きを感じずにはいない、そんな楽曲揃い


そして特筆すべきは彼女の歌唱。軽くハスキーさの入った伸びのあるボーカルで、堂々とこうした彼女のステイトメントともいうべきメッセージを載せた楽曲を歌い切る様子は、同世代のティナシェジャネ・アイコらのレベルを超えて、あのアーリヤを彷彿させる瞬間が一度や二度ではありません。「ひょっとして私はあなたにふさわしくないのかも」と一転していたいけさを見せる「The Letter」ではちょっとアリアナ・グランデ風だったり、「Bright」では彼女が影響を受けたというローリン・ヒルを思わせるような正統的なR&B歌唱を披露するかと思えば、ヒップホップ的なトラックの「Runnin'」ではリアーナを思わせる今風ヒップホップR&B的な歌唱を聴かせたりと正に多様多才。しかも収録曲は全て自作自演。America's Got Talent』の審査員が才能がある、と断言したのもむべなるかなという感じです。

もちろん彼女は自分だけで勝負するのではなく、ここ数年ヒップホップ・シーンのみならずポップ・フィールドや一部のロックファンにも注目されているChance The Rapper(「The Way」)やBJ The Chicago Kid(「Down For You」)といったシカゴ中心に活動するラッパーやR&Bシンガーソングライターたちをフィーチャーし、しっかりシーンからの注目を集められるようなアルバムづくりをしているあたりはビジネスパーソンとしてもなかなか抜け目がないと見ました。

それを証明するかのように、このミックステープはリリースと同時に各音楽誌の注目を集め、直後に彼女はメジャーのアトランティック・レーベルと契約。現在メジャーデビューアルバムを鋭意制作中なのだとか。

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とにかく、最近のブラック系のアルバムは打ち込みで音は人工的だし、ヒップホップ色が強くてちょっと...と思っておられるようなR&Bファンの皆さん、新しいヤング・アダルト層のアーティストの代表として、今のR&Bのあり方を素晴らしい形でエグゼキュートして、グラミー賞ノミネーションまで獲得してしまったこのアルバムで、今のR&Bの新しい息吹を感じてみることをおすすめします。

<チャートデータ>
ビルボード誌
全米アルバム・チャート 最高位36位(2015.5.16付)
同全米R&B/ヒップホップ・アルバム・チャート 最高位5位(2015.5.16付)

テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

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