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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
■My Best Albums of 2008 - #2
いよいよオバマ新大統領の就任(inauguration)が数時間後に迫ってきた今日1/18。リンカーン・メモリアルでは、ブルース・スプリングスティーン、ボノ、ビヨンセ、メアリー・J・ブライジ、ガース・ブルックス、ハービー・ハンコック、シャキーラ、シェリル・クロウ、アッシャーといった豪華なメンツでの大統領就任記念コンサート(Inaugural Concert)が盛大に開かれるとか。これ、是非見たいね。HBOで現地時間14:30(日本時間だと今夜の夜中の12:30)から生中継らしいから、きっとCSでやってるよね。録画しようっと。

さて、オバマが大統領就任しちゃう前に、僕の2008年ベスト・アルバムのカウントダウンもいい加減完結しないとね。うかうかしてるとグラミーも始まってしまうし。ちなみに今年のグラミーは2/8に発表されるので、今月中には例年通り、主要部門の予想をやらなくちゃ。例年恒例のグラミー授賞式のライブ・ブログ、今年も敢行の予定です。

My Top 10 Albums of 2008
#2: 19 - Adele (XL Recordings / Columbia)

Adele_19.jpgここ数年、UKから女性シンガー、それもR&Bや60~70年代的サウンドをベースにした楽曲をフレッシュな解釈と歌唱で聴かせる質の高い白人シンガーが続々とシーンに登場して、それぞれ存在感を放っているのを見ると、イギリス音楽シーンの懐の深さを改めて再認識する。これがアメリカだと、最近でてくる若手の女性シンガーというとカントリー・ポップやメインストリーム・ポップもの(アメリカン・アイドル経由のケリクラキャリー・アンダーウッドジョーダン・スパークスといった連中)か、トラディショナルな黒人R&Bシンガー(ジェニファー・ハドソンとか)と相場が決まっていて、「面白い」実力新人女性シンガーという評価ができる人は少ないように思う。そこへいくとUKは昨年グラミーを蹂躙しまくったエイミー・ワインハウス(その後作品が出てないのがとっても気になるのだが)を筆頭にこのアデルダフィといった面々は個性と音楽的な深み(depth)のいずれもが強い存在感を放っているあたり、タレントの格の違いを感じるといったら言い過ぎか。

アルバムタイトルはこのアルバム発表時(UKで2008年初頭)のアデルことアデル・アドキンス嬢の年齢だ。ミステリアスなジャケを見て、彼女のルックスにも期待が持たれるところだが、あまりそこは期待しない方がいい。実際のアデAdele.jpgはちょっとぽっちゃり目の性格の良さそうなおねーちゃん、という感じで、一見エイミー・ワインハウスダフィのように存在そのものが強烈な個性を放っているという感じの奴じゃない。でも彼女のアルバムを聞き始めると彼女のボーカリストとしての才能に非凡なものがあることはすぐ判る(山本さん、アデルは「ごく普通のボーカリスト」じゃないですよ。もっといいサウンドシステムでじっくり聴いて下さいね!)。僕は冒頭アコギのアルペジオで静かに始まる「Daydreamer」での彼女の声だけで軽くノックアウトをくらった感じだった。半分ハスキーがかっているのに艶があるアデルの声は、こういうちょっとメランコリーながらソウルを内在した曲(そう、あの60年代のUK白人ソウル・シンガー、ダスティ・スプリングフィールドあたりもほのかに思い出させる曲)にとても合うし、彼女の解釈力溢れる歌唱と、嫌味でない歌唱技術が、この小品を素晴らしい作品にしている。アルバムは続いてシャンソンの英語解釈バージョンのようなしっとりしたオープニングから、西インド諸島の音楽を思わせるエスニック・アップテンポのサビへの転換が楽しい「Best For Last」で更にアデルの歌唱力を見せつけてくれる。そしてあの大ヒット曲(UK最高位2位)で、今回グラミー賞のレコード・オブ・ジ・イヤーとソング・オブ・ジ・イヤーの主要2部門に見事ノミネートされているChasing Pavements」だ。この曲が未だに(それもグラミーノミネート発表後も)USラジオに認められていないのが不思議に思えてしまうほど、スザンヌ・ヴェガを思わせる導入部門から一気にストリングスでフィリー・ソウルの官能の盛り上がりを彷彿とさせるサビに持って行ってしまうこの楽曲の完成度は(シンプルだが)高い。そしてそれを見事に自分の世界として歌いきってしまうアデルのうたは誠に心地よい(一度筆者はこの曲をカラオケでトライしたが、後半がダレてダレてしょうがなかった。かくも歌唱力というのは歌を魅力的にしてくれるものなのである)。

エイミー・ワインハウス同様、このアルバムでもUKブルー・アイド・ソウルの最近の仕掛人であるマーク・ロンソンのプロデュースが果たしている役割は絶大なのだろうが、敢えて彼はこのアルバムではアンダー・プロデュースを心がけているように聞こえる。それほど全体のサウンドはとてもシンプルだし、ギミックは一切入っていない。これは詰まるところ、19歳にしてデビューアルバムの楽曲の殆どを自作の曲(しかも再三言っているように多くの曲が楽曲としての質が高いのだ)で埋め尽くし、それを説得力溢れる歌唱で聴かせてくれるアデルの才能をありがままに、あたかもシェフが食材の旨みを最大限引き出すために敢えて味付けを最小限にするように、このアルバムを作った結果だと思う。これはダフィの『Rockferry』とはかなり対照的で、それがまた僕がダフィでなくアデルのアルバムを年間上位に挙げた理由の一つでもある。もちろんダフィのアルバムが過剰プロデュースで、ダフィの才能が劣っているなどど言いたいわけではない。自分の好みの問題として同じレベルの才能が同じような傾向の音楽を表現している時、僕は素材を生かした薄味の方が好きだ、ということだ。


それにしても僕は彼女の声が好きだ。「Melt My Heart To Stone」とかを聴いていても高音域に入っていく時に軽くフェイクしながら声がハスキーになるところなど、とてもエモーショナルなものを感じる。唯一マーク・ロンソンが彼らしさを発揮した60年代R&Bポップっぽい「Right As Rain」の軽快なトラックに乗って歌うアデルの声もなかなか。そして先にも触れたようにこのアルバムは1曲を除いてすべて彼女の自作または共作だが、唯一カバー曲として収録されているのが、ボブ・ディランの曲で、あのビリー・ジョエルもカバーしたことのあるMake You Feel My Love」だ。この渋い選曲にはちょっと驚いたが、この曲の音域、ゆったりしたテンポと詞のメッセージが実にアデルのスケールの大きい歌声にマッチしているのだ。アルバムは映画のエンディング・クレジットをイメージさせるような静かなソナタ風のピアノをバックに情感豊かに歌われる「Hometown Glory」で幕を閉じるが、とても質のいい映画を見た後に感じるような心地の良い聴後感を感じることができると思う。

彼女が去年のエイミーの再来よろしく今年のグラミーを制するかについては(上記2部門以外には、最優秀新人部門、最優秀女性ポップ・ボーカル部門の合計4部門にノミネート)2/8の受賞発表式を待たねばならないが、今回はエイミーの時ほどメディア・バズが喧しくないし、ノミネーションによってシングルやアルバムが思ったほどチャートで躍進していないことを考えると、2007年2月のコリン・ベイリー・レイの再現コリンもUK出身のソウル・シンガー、ソング・オブ・ジ・イヤー、レコード・オブ・ジ・イヤーにノミネートされたがいずれもディキシー・チックスに持って行かれた)なのかなあという気も...でもしかし今回はソング・オブ・ジ・イヤーくらいは是非取って欲しいところだね。ともあれ彼女は次の作品がキー。でも基本的にシンガーソングライターだし若いので、2作目のジンクスなんか蹴飛ばしてまた魅力的な作品を届けてくれることを期待してる。

さて、いよいよ2008年のマイ・ベスト・アルバム#1の発表です。
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No title
nakamakanさん、こちらこそ今年もよろしく!オバマの就任コンサートですが、あの後調べたらWOWWOWで1/24土曜日にやるようです。収録だからグラミーライブみたいにうるさい同時通訳にはならないからいいものの、一週間後に放送なんて気の抜けたシャンパンみたいだよねえ......
2009/01/20 (火) 07:54:50 | URL | Boonzzy #79D/WHSg[ 編集 ]
No title
Boonzzyさん、今年もよろしくお願いします。
オバマ大統領のInaugural Concert、私も見たくてYouTubeをはじめWeb上をあちこち探し回ったのですが、素人撮りのものばっか(笑)。U2,John Mellencamp, Beyonce 辺りは見れたんですけどね。できるだけ全編通しで見たいものですが。CSはどっかの局でやってましたか?
2009/01/20 (火) 01:06:35 | URL | nakamakan #79D/WHSg[ 編集 ]
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