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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
■My Best Album of 2008 - #3 & #4
いやあ一週間+ぶりのご無沙汰です。1/5から会社が始まって最初は挨拶回りもないし暇かな、と思ったらさにあらず。グローバルは先週末から動き始めているのでそのキャッチアップと、同時並行して発生する仕事で先週は結構バタバタ+嫁さんが急遽風邪でダウンしてしまったので、一日半休取って家事と子どもの世話(塾とか病院とかの送り迎え)で結構あっという間に一週間が過ぎてしまいました。皆さんの新年はいかがですか?今日は成人の日ということで、なかなか門出に相応しいいい天気(寒いけど。でもロンドンは最高零下らしい。ブルル)ですが、2回目の成人式も遙か昔に終わった自分としてはうらやましい限りで。

そんなことはどうでもいいのですが、年末に開始したマイベストアルバム2008のカウントダウンがまだ終わってないので、さっさと行きましょう。

My Top 10 Albums of 2008
#4: Only By The Night - Kings Of Leon (Hand Me Down / RCA)

KingsOfLeon_OnlyByTheNightUS.jpgちょうどこのアルバムを買ったのは、11月中旬、正にロンドン行きの準備をしている最中だった。UKで先行シングルの「Sex On Fire」が1位になったり、アルバムも初登場1位になったりとかなり盛り上がっていたし、アメリカでもいきなり5位にこのアルバムが初登場するなど、buzz状態だった。彼らのアルバムは元気のいいガレージ・ギターロック、と言う感じのデビュー作の『Youth & Young Manhood』 (2003)を聞いたっきりだったんで、このいきなりのブレイクぶりにはちょっと興味があったわけだ。で、買って聴いた。「Sex On Fire」の第一印象は、「これってアリーナでのライブでアンコールにやると無茶苦茶盛り上がるんだろなあ」という感じ。アルバム全体の印象は、UKメインストリーム・ロックの王道を行く、と言う感じで、デビュー・アルバムの頃の印象よりは大分貫禄が増していた。王道、といってもU2ほど思索的で大陸思考的な哲学派、というわけでなく、全盛期のオアシスとかのようにシニカルな大物バンド、という感じでもなく、かといってコールドプレイのように開けっぴろげに王道ポップを行ってるわけでもない。骨太ながらスレンダーなギターロックサウンド、ちょっと粋がってるような感じもあるけど結構ナイーブさを感じさせる歌詞、など、一流半のルーツ系ロックバンド、という何だか微妙な立ち位置を知らない間に確立したんだなあというのが印象だった。

で、ロンドン出張中、改めてiPhoneに放り込んだこのアルバムを聴きながら、冷え冷えとするオックスフォード・ストリート沿い(ロンドン中部のちょっとお洒落なショッピング街通り。クリスマス時期には沿道のデパートのライトアップがかなり綺麗(下OxfordStreet.jpgの写真がそうです)を歩いてみた。すると回りの雑踏の種々雑多な人種が入り交じった顔顔顔、そこから聞こえてくるイギリス訛りの英語の会話、横を走りすぎていくダブルデッカー・バス...こういったものを映像的バックグラウンドにして聴こえてきた彼らの楽曲の何としっくりいくこと!最初日本の自宅で聴いていた時にはあまり感じられなかった、感情的な発露にもだえる若者の哀愁に満ちた叫び、みたいなものが聞こえてきてしまう大きなうねりのグルーヴを聴かせる「Notion」とか("♪Don't knock it, don't knock it♪" というリフレインは聴きながら思わず叫んでしまいそうになる臨場感)、セカンドシングルにもなった、もろU2を思わせるな大陸的うねりを感じさせる「Use Somebody」(下のビデオ)など、耳について離れなくなって、何度も何度も繰り返して聴いてしまったものだ。そして彼らが実はUKのバンドではなく、テネシー州出身のれっきとしたアメリカのバンドだということを知ったのも僕がロンドン滞在中のことだった。何とまあ不勉強な....でもそこで気がついた。彼らの音がロンドンでリアルに聞こえたのは、UKで聴いたからではなく、日本ではありえないいろんな人種や人がごっちゃになっている場所で聴いたからだということを。彼らのベースとなっているとおぼしきルーツ系・R&B系ロック、なんてまさにいろんな民族系音楽の昇華したものの集まりだからなあ、と。

もちろん今回のアルバムの成功だけで彼らをU2扱いするのは短絡的だということは十分承知しKingsOfLeon.jpgているし、彼らのサウンドが今回のアルバムでかなりアリーナ・ロック化しているからねえ、というデビュー以来のファンの批判も聞こえているのは知っている。でも、リードボーカルのカレブのよく言えばシアトリカル、悪く言うとオーバードラマティックなボーカルは、ある時はジャーニー(!)のスティーヴ・ペリーを、シャウトするところなんかはブラック・クロウズクリス・ロビンソンを思わせるエモーショナルさ、明らかにルーツ・R&B系のブルージーさと、アリーナ系のドラマティックさをそのややしゃがれ気味の声で見事にアルバム全体の色を作りあげることに成功していると思う。そして今回、そのボーカルを中心としたバンドのパフォーマンス、楽曲や演奏の積み上げ方は、かなりクオリティの高いものになっていることは間違いない。とにかくルーツ系ロックや、U2のようにベースをアメリカン・ルーツ音楽に持っているバンドが好きな向きには文句なくお勧めできるアルバムだ。

KingsOfLeon_OnlyByTheNightUK.jpg彼らも昨年9月にはイギリスのNME誌のカバーを飾ったり、今回グラミーでも、最優秀ロック・アルバム部門を含むロック3部門に見事ノミネートされたりなど、今回の成功に伴ってかなりハイプが盛り上がって来てるようだ。しかしまだ全員20代、という若いバンドだけに、こういう回りの雑音にあまり惑わされず、是非次回作もこの路線をベースにして、更につっこんだ作品を出して欲しいし、来日してくれたら今の彼らを頑張って見に行きたい、と思わせるそんなバンドだね。ちなみに、このアルバム、US盤とUK盤ではジャケが違っており、冒頭に載せたのはUS盤。UK盤は←こういうなにやら割れた鏡に映った顔、というやや錯乱気味のジャケなんだけど、僕はUS盤のロールシャッハ・テストのようなシンプルなジャケの方が好きだなあ。



My Top 10 Albums of 2008
#3: Meet Glen Campbell - Glen Campbell (Capitol)

MeetGlenCampbell.jpgはい、判ってますよ。このアルバムタイトルとアーティスト名を見た瞬間に「何じゃそりゃ」と思わず呟いてしまった30代後半以上のあなた!「この人誰?」とチンプンカンプンな20代のあなた!そう、僕の2008年の3位は、「あの」グレン・キャンベルの実に14年振りのオリジナル・アルバムとなった、この『Meet Glen Campbell』なのです。グレン・キャンベルというと、30代後半~50代の方なら、1975年頃にコカ・コーラのCMソング「カミング・ホーム」を彼が歌って、日本の洋楽番組でもちょっと流行ったので覚えているかもしれない。当時ちょっと洋楽を聞き込んだ方であれば、「ラインストーン・カウボーイ」(1975年全米1位)や「サザーン・ナイツ」(1977年全米1位)といったヒット曲を放っていた、カントリー系のポップ・アーティスト、という印象をお持ちだろう。しかし、グレン・キャンベルという男は実は1960年代前半はかのビーチ・ボーイズのセッション・ギタリストとして裏方で活躍、1960年代後半にソロ活動を開始して「恋はフェニックス(By The Time I Get To Phoenix)」(1967年全米26位、この邦題は洋楽ファンの間でも超有名な名誤訳タイトルですな)を皮切りに「ウィチタ・ラインマン」(1969年全米3位)「ガルヴェストン」(同4位)といったしみじみと腹に染みるような哀愁溢れたバラードを歌って大ヒットさせ、一斉を風靡した方なのです。

glencampbell1.jpgで、では今なぜグレン・キャンベルなのか。このアルバムは実は正確には「オリジナル・アルバム」ではない。というのも、このアルバムで彼が歌っているのはいずれも80年代、90年代を代表するロックミュージシャン達の楽曲のカバーだからだ。それでも、このアルバムを一度聴くと改めてびっくりするようなグレン・キャンベルの歌声の素晴らしさと、そういった「今」の楽曲を自分自身のスタイルとアレンジにしながら、見事な解釈力で歌いきっている彼のミュージシャンシップを再認識させてくれる。このアルバムで彼がカバーしている曲は、ジャクソン・ブラウンジョン・レノンといったいかにも系のアーティストの作品に止まらず、U2フー・ファイターズグリーン・デイトム・ペティ、果ては元リプレイスメンツポール・ウェスターバーグの曲に至るまで、80~90年代ロックのファンであれば思わず頷いてしまうような曲が極めてrelevantなコンテクストと響きを持って歌われているのだ。


まずはオープニングの澄んだ大気圏を突き抜けてくるようなトラヴィスの「Sing」(上のビデオ)を聴いて欲しい。バックで延々とベースリフを奏でるバンジョーの控えめな音色(オリジナルではギター)以外にこれがカントリー・アーティストによる楽曲であることを感じさせるものはない。むしろオリジナル以上にロック・マナーで、「Sing」を解釈しきっている成果がここにある。続くトム・ペティの「Wall」は、まるで往年の「ラインストーン・カウボーイ」を思わせるような豪華な70年代ポップ・マナーのイントロで幕を開け、まるで20年以上前からこの曲は俺のレパートリーだよ、とでも言わんばかりの感じで聞かせ倒してしまうところが天晴れだ(中トロの「ウィチタ・ラインマン」風ギターもご愛敬)。同じくトム・ペティの「Angel Dreams」は一転してギター・オブリガートのリフがさわやかな「ジェントル・オン・マイ・マインド」風のアレンジからこれまた爽やかなグレンの歌声に乗って曲が進む。フー・ファイターズの「Times Like These」も秀逸なカバーだ。ウォーキング・リズムのバックに乗ってまるで60年代後半のナッシュヴィルを思わせるようなサウンドにグレンが気持ちよさそうに乗って歌っている...と挙げていけばとにかくきりがない。一貫して言えるのは、いかなる曲についても歌手グレン・キャンベルとしてのアイデンティティがくっきり彫り込まれているということであり、またそれが聴いていて実に相応しく、心地よいということだ。ルシンダのところで触れた今のロック・アーティストが昔の名曲をカバーするというマシュー・スイートらの『Under The Covers, Vol.1』のような例は結構あるが、オールドタイマーのアーティストがロックの名曲をカバーするという意匠を掲げて、ここまでの完成度と自然さを見せた作品を僕は他にあまり聴いたことがない。同じ試みでもいかにも年寄りの冷や水で「そんなに無理しないで、やめときゃいいのに」と思わせるようなところが微塵もないのが素晴らしい。

こうしたアルバムとしての完成度にはアーティストの才能だけでなく、プロダクションが大きく貢献していることは言うまでもないが、このアルバム作成にあたっても、こうしたエッジがありながらグレンの声とスタイルにぴったりくる楽曲のカバーを薦めたのは、プロデューサーのジュリアン・レイモンドロザンヌ・キャッシュ、ショーン・マリンズ、ウォールフラワーズ等を過去プロデュース)だったという。9歳の時からグレンを聴いていた、というジュリアンは今回の仕事で、カントリー・アーティストとロック・アーティストの両方をプロデュースした経験をフルに生かして、グレンの魅力を存分に引き出している。バックミュージシャンにも、ロビン・ザンダーチープ・トリック)、ジェイソン・フォークナー(元ジェリーフィッシュ)はてはクリス・チェイニー(元ジェインズ・アディクション)といったベテランながら個性の強い面々を配してこの小さな驚きに満ちた小品に花を添えさせることに成功している。

考えてみれば、グレンは過去から様々なアーティストの優れた楽曲を彼のスタイルによる解釈でglencampbell2.jpgヒットを重ねてきたので、今更こういうアプローチに驚くこともないのかもしれない。出世曲の「恋はフェニックス」「ウィチタ・ラインマン」「ガルヴェストン」は60年代に数々のヒット曲を生み出したジミー・ウェッブの作品だったし、「サザーン・ナイツ」は南部でその名を馳せたアラン・トゥーサン(最近エルヴィス・コステロとデュオ作を出したあの人だ)の曲だった。ある意味、他人の曲を自分のものとして表現しきることについては彼はベテランなのだ。だからジャケはしょぼいけど(笑)とにかく聴いて欲しい(アルバムのこの公式サイトで何曲かがストリーミングで聴けるし、貴重なビデオ映像も見られる)。特に原曲を知っているロック・ファンに是非とも。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Jesus」が涙こぼれるような美しいアコースティック・バラードに、グリーン・デイの「Good Riddance」がブルーグラス風のイントロからアップテンポのカントリー・ポップ・ナンバーに、そしてアルバム最後のジョン・レノンの名曲「Grow Old With Me」がある意味荘厳さと、それこそびっくりするような妥当性を持ってアルバムを締めるのを聴くと、改めてグレン・キャンベルというアーティストのversatility(多能力性)に驚くと同時に、このアルバムに出会えてとても得をした気分になれるはずだ。
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コメント
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こんにちは。いつもお世話になっていますが、コメントは初めてです。

Kings Of Leonはロンドンの街に合うんですね。そんな体験できて羨ましい限りです。私もこのアルバムは上位に入れるつもりです。

ということで今年もよろしくお願いいたします。
2009/01/15 (木) 23:58:47 | URL | けい #79D/WHSg[ 編集 ]
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