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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
■2008年My Best Albums - #7 & #8

あーやっと終わった。え、何って?家の大掃除ですがな。これで明日の大晦日はゆっくり過ごせるというもの。というところで我が家では今夕べ真夜中にNHK-BSでやっていたシンプリー・レッド2007年のロイヤル・アルバート・ホールでのライブを家族で見ているところ。何しろ嫁さんが大のシンプリー・レッドファンなんですが、いかんせん今日の晩飯(ちなみにすき焼きでした)で飲んだ酒が回って瞼落っこち状態。その間は僕はシンプリー・レッドを聞きながら自分の年間アルバム・ベスト10のカウントダウンを続けることにします。


My Top 10 Albums of 2008

#8: Little Honey - Lucinda Williams (Lost Highway)

 

LucindaWilliams_LittleHoney.jpgルシンダといえば、今やオルタナ・カントリーのゴッドマザー的存在と言って差し支えない。あの1998年のブレイク作『Car Wheel On A Grave Road』は正に彼女に取ってキャリアを定義する名作だった。その後何枚かのアルバムを重ねても彼女の作る曲のテンションの高さや楽曲としてのクオリティの高さ、ビシッとしまった歌声とミュージシャンシップには「こいつの新作は必ず買おう」と思わせるだけのプロフェッショナリズムが感じられて、僕に取ってはいわゆる「信頼できるアーティスト」の一人になってきていた。最近は大体そういうアーティストが何組かいて(これが結構多いんで困ることも多いのだが)そういうアーティストの作品はCD屋で見かけたら即買い、または出たのを聞いてCD屋に買いに走る、というのが典型的なここ5年くらいの僕のCD購入パターン。で、このルシンダの新作も当然ながら出たと聞いてすぐ買いに走ったというわけ。『Car Road』以降の作品については、『Essence』(2001)『Word Without Tears』(2003)『West』(2007)と一定してテンションと高いクオリティを維持してきているだけに今回も期待満々というわけだった。で、のっけの「Real Love」である。あのガツーンとくるギターである。ロックンロールである。これがカッコいいんである。

 

と、ここまで感情の赴くままに書いて来たが、ここでルシンダがどういうミュージシャンなのかを知らない読者も多いのではということに思い当たった。ルシンダは一言でいうと、ロックのコンテクストの中で、時にはカントリー、時にはブルース、時にはロックンロール、いずれにしてもアメリカ南部音楽の引き出しを駆使しながら、もの凄くシンプルに、それでいて魂から響いてくるようなラブソングを作って歌えるミュージシャンなのだ。そしてあの声。ちょっとだるーくフェイク気味にメロディを追う、ちょっとハスキーな歌声は人によっては「ルイジアナ・ボイス」(彼女はルイジアナ出身)と名付けるほど、アメリカーナな彼女の音楽スタイルと渾然一体となって渋かっこいい。そんなミュージシャンだ。ルックスもりりしくて毅然としているところがいい。

 

そのルシンダ、今回の冒頭の「Real Love」で気持ちのいいアメリカーナ・ロックをぶちかましているのだが、そのアプローチはLucindaWilliams.jpgかなりエレクトリックかつストレートで、ややこれまでのアルバムに比べると音作りがよりメインストリーム・ロック寄りになっていることに気づく。図らずもバックボーカルには、今の裏アメリカン・ロックを代表するマシュー・スイートと元バングルズスザンナ・ホフス(この2人の2006年のカバー・アルバム『Under The Covers, Vol. 1』は隠れた好盤だった。Vol.2期待!)がバックボーカルに入ってたりする。もともと『Car Wheels』や『Essence』あたりはかなりアコースティックな作品だったし、『Word Without Tears』あたりでエレクトリックにシフトしたが、どちらかというとアメリカ南部ラウンジミュージック的なサウンド中心だっただけに、今回の冒頭のこの曲は何だかまるでブルース・スプリングスティーンか、はたまたボブ・シーガー(80年代の)かという感じで、カッコいいんだけど何だかルシンダっぽくない感じ。2曲目の「Circles And X's」以降は大分と『World Without Tears』あたりの感じに戻ってきて「おおお、ルーツロックだよブルースだよ」という感じなのだが、アルバム全体を通じて聴くと、やはりこれまでになくメインストリーム感が強く出ているような気がする。だから悪いというわけではない。フラットに見てどの曲もクオリティは相変わらず高いし、ルシンダは相変わらず格好良くヒリリとした感じで歌ってるのだ。ただ、これまでの彼女の作品と比べてどうか、と言われると彼女ならでは、という部分がやや薄いかな、という嫌いは否めない。いい意味でも、悪い意味でも、上記のマシュー・スイートスザンナ・ホフスが参加したナンバーや、「Jailhouse Tears」のようにいきなりエルヴィス・コステロ御大が登場してデュエットする曲なんかを聴くと(面白いんだけど)彼女のいつもの完璧に作り上げられた世界というよりも、ジャム・セッションをテープに落としてみました、的なカジュアルな感じになってしまっているのだ。従来全作自作自演で一貫してきた彼女としては異例といえる、何とあのAC/DCのカバーIt's A Long Way To The Top」にしても、完全にルシンダ節に料理して、クールにこなしているのだが、なぜこの曲をカバーしてまでこのアルバムに入れる必要があったのか、と言う点についてはあまり回答が見あたらない。

 

何だか否定的なことばかり書いたようだが、ルシンダが今のアメリカン・ミュージック界、それもかなりルーツでダウン・トゥ・アースな部分を担う優れたシンガーソングライターであることは間違いないし、このアルバムも十分平均点を超える出来で、他の同種のアーティストの作品に比べてもレベルの高い作品であることは間違いないので安心して聴いてもらいたい。でも、彼女の真髄を知りたくなったら、『Car Wheels~』や『Essence』を一聴することを強く薦める。そうしたアルバムのレベルだったらこのアルバムは僕の年間トップ3には間違いなく入っていただろう。


 

My Top 10 Albums of 2008

#7: Something Else - Robin Thicke (Star Trak/Interscope)


RobinThicke_SomethingElse.jpg80年代後半から90年代にかけて人気を呼んだTVシットコム『Growing Pains(愉快なシーバー家)』の主人公カーク・キャメロンの父親役をやっていたアラン・シックと、1986年に全米最高位2位を記録した「Friends And Lovers」をカール・アンダーソンとデュエットしていたグロリア・ロリングの息子、というなかなかアメリカン・ポップ・カルチャーの申し子のような出自を持ったロビン・シックのブレイク作となった前作の『The Evolution Of Robin Thicke』(2006)はとてもよく出来たブルー・アイド・ソウル・アルバムだった。シングル・ヒットした「Lost Without U」なんておよそ2000年代のアーバン・ヒット曲にあるまじきミニマルなサウンドとプロダクションながら、濃厚なソウルネスを感じさせる秀作だったし、アルバム全体もこの曲がフロックでないことを感じさせる、クオリティの高い出来だった。(典型的LAバックグラウンドの白人俳優と白人歌手の息子がどういうきっかけでこうしたソウル・R&Bの世界で身を立てるようになったかの背景については大いに興味のあるところだが、これはまた別の機会に掘り下げることとしよう)

 

そのロビンが満を持して発表したのがこの『Something Else』。のっけから「You're My Baby」で早くも濃密なソウルの世界に聴く者を導き入れるロビンの歌声の艶っぽさと安定感は前作以上だ。シングルヒットした「Magic」はジョン・ケイ(ジャミロクアイ)あたりがバンザイしそうな、レイドバックしていながら絶妙にカッコいいスロー・ジャンプ・ナンバーだし、ボサノバ風のリズムで夢の世界に誘い入れてくれる「Ms. Harmony」ではロビンのファルセット・ボーカルが全開で歌うこと歌うこと。レア・アースとかの70年代初頭のグルーヴを感じさせるようなスケールの大きい「Hard On My Love」など、いろいろな角度から変化球を繰り出しながら、時折セクシーなファルセットを交えつつ、彼一流の濃密なソウルネスを紡ぎ出すというスタイルは一貫していてどっぷり彼の音世界に没入することができる。「The Sweetest Love」なんてスティーヴィー・ワンダーはだしの美しいソウル・バラードだし!

 

前作ではメジャー・ブレイクを目指した作品ということもあって、フェイス・エヴァンスネプチューンズファレル・ウィリアRobinThicke.jpgムスといったR&B/ヒップホップのメジャーどころをゲストやプロデュースに迎えたり、以前から交流があるらしいリル・ウェインが2曲でバックアップしたりと、売るための仕掛けも十分に仕込んだ上でのアルバム作りだったが、自らの評価も一定確保した今回はそうした自信もあってかゲストはアルバム・ラストの「Tie My Hands」で盟友リル・ウェインが友情出演しているくらい(この曲はリル・ウェインの大ヒットアルバム『Tha Carter III』にも収録されている)で、基本的には全曲自作自演・セルフ・プロデュースという正に「満を持した」というに相応しいアルバム作りで勝負に来ている。いわば本格派ピッチャーがフォークやスライダーは最小限にとどめ、自信の速球とカーブで配球とボールのポジショニングだけで勝負に来ているような、そんな真剣勝負さを感じさせるのがこの作品。勝負の結果は、というと...いやああっぱれ。ロビンの素晴らしい歌声と理屈抜きに聴いてて気持ちのいいソウルミュージックに私はノックアウトされたのでした。このアルバム残念ながらあまり爆発的に売れたわけでもなく、メディアでも取り上げられることは少なかったが、本格的R&Bの出来のよいアルバムがあまり多くなかった2008年、「Lost Without U」を聴いて痺れた向きには自信を持ってお勧めできるソウルの醍醐味を堪能できる佳作です。しかしこういう作品を聴くと白人ブルー・アイド・ソウル・シンガーの若手実力者という意味ではジャスティン・ティンバレイクと並び称されてもいい(そういやこの2人顔も似てる)のになあ、と思ってしまうのは私の贔屓目でしょうか?

 


おっ、いよいよ大晦日突入だね。明日はのんびりこの続きでもアップしますかね。ではお休みなさい。 
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