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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【新企画】新旧お宝アルバム!#8 「Then Came The Morning」The Lone Bellow

 #8Then Came The MorningThe Lone Bellow (Descendant Records, 2015)

先週お休みを頂いたこの「新旧お宝アルバム!」、第8回目の今回は「新」のアルバムご紹介ということで、ニューヨークはブルックリンを中心に活動している、ちょっとカントリーやフォーク、南部R&Bの香り漂うアメリカーナなロックを聴かせる3人組、ザ・ローン・ビロウが今年発表した2枚目のアルバム、「Then Came The Morning」をご紹介します。

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インディー・レーベルからのリリースで、特に有名人が関わっているわけでもなく、かつカントリー系ロックのアーティストということで、まず日本発売の可能性は限りなく低いこのザ・ローン・ビロウですが、何と言っても目を引くのは映画の一場面のようなそのジャケット。

アメリカ中西部によくありそうないかにもアメリカ!という感じのダイナーのテーブルに座った品のいい老婦人がでかいマグでコーヒーをゆっくり飲んでいる、という図。その背後の壁にはヒマワリを描いた絵が飾ってある、というもの。

昔から「ジャケ買い」という言葉があるように、ジャケットがいいアルバムはかなりの確率で内容のクオリティも高い、というのは私も長年のレコード収集活動から感じているところですが、このアルバムも例外ではありません。

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イントロのドラムスとピアノからメロディーに入っていくところが、たまらなく郷愁を感じさせるオープニングのアルバムタイトル曲「Then Came The Morning」。訴えかけるようなボーカルのザックの歌声がザ・バンドあたりを思わせるような、カントリーとゴスペルの雰囲気満点の楽曲構成とメロディに融合して、いきなりアルバム冒頭から「おっ」と思わせるのです。

続く「Fake Roses」は70年代であればニッティ・グリッティ・ダート・バンドポコ、最近であればライアン・アダムスといった、カントリーを背骨にしたアメリカン・ロックといった浮遊感いっぱいのメロディを聴かせてくれる佳曲。

3曲目の「Marietta」はまた冒頭の「Then Came The Morning」と同じ感じのカントリーとゴスペル、南部のR&Bの香りをふんだんに漂わせながら、ザックのボーカルが切ないメロディーを歌う歌う、スロウながらソウルフルなナンバー。

 

彼らの引き出しはこうしたカントリー・ゴスペル風なナンバーだけではなく、次の「Take My Love」は、70年代後半のアメリカン・ロック王道路線を彷彿とさせるストレートなロックナンバーですし、「Watch Over Us」はもっとフォークやカントリー路線に寄り添った、ルミニアーズマムフォード&サンズあたりがやりそうな、ちょっとアパラチアン・ミュージックの影響を感じさせる、いかにもなアメリカン・ルーツ的な楽曲。かと思うと、アルバムジャケを表現したようにも思える「Diners」はメンフィスやマッスル・ショールズあたりで、ブルース・ミュージシャンがやりそうなソウルフルな一曲で、私などはスリー・ドッグ・ナイト1972年にソウルフルに歌ってヒットした「Never Been To Spain」を思い出してしまいました。

アルバムラストの「I Let You Go」は、アコギ一本でザックがリスナーを送り出すように「君はもう行っていいよ/また戻ってきてくれたらいいなと思うけども」というリフレインをしんみりと歌うスロー・ナンバー。後半ペダル・スティール・ギターなど他の楽器も加わり、ワルツのリズムでゆったりとアルバムをしめくくるこれも胸に響く曲です。

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このように、ザ・バンドや初期のイーグルスポコといった、アメリカン・ルーツミュージックの影響を大きく受けながら、今のコンテンポラリーなサウンドとの接点もしっかり持っているザ・ローン・ビロウのサウンドを、メンバーは「ブルックリン・カントリー・ミュージック」と呼んでいます。

以前ご紹介したレイク・ストリート・ダイヴ同様、最初はオハイオで結成され、その後ブルックリンに活動の拠点を構えた彼ら。その音楽活動のきっかけは、リーダーでギターとボーカル担当のザック・ウィリアムスの奥さんが落馬事故にあって、その看病をしながらザックがつけていた日記を見た友人が、それを題材に作曲することをすすめたことだったようです。

何とその時に始めてギターを習い始めて多くの曲を作ったザックは、奥さんの完治後NYに移り住み、ブルックリンに居を構えて、そこでブライアン・エルムクイストg., vo.)とカネネ・ドネヒー・ピプキン(マンドリン、b., vo.)の二人に会い、ザ・ローン・ビロウが生まれました。

彼らは2013年にインディのディセンダンツ・レコードからデビュー作「The Lone Bellow」を発表、同アルバムはその年のUS各音楽誌の年間アルバム・リストに選ばれるなど、アメリカでは注目を浴びていたのですが、日本では冒頭にも述べたような理由でどうもまだ広くは知られていないようです。

今回のアルバムは、インディ・ロック・シーンでここ数年ブレイクしていて、やはりルーツ・ミュージックやUKブリット・ポップなどの影響を感じさせるバンド、ザ・ナショナルアーロン・デスナーがプロデュースしていて、ただの今風アメリカン・ルーツ・ロックになっていない、というのも味噌です。

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ここ数年というもの、インディ、メジャーを問わず、アメリカのロック・シーンの重要なキーワードが、ブルックリンであり、オルタナ・カントリーまたはアメリカン・ルーツであることは、ウィルコ、ライアン・アダムス、マムフォード&サンズ、ルミニアーズなどなどの活躍で明らかになってきています。

そんな中、そのムーヴメントの王道を行くようなザ・ローン・ビロウのこの作品は、アメリカン・ロック、特にルーツ系(R&B、ブルース、カントリーなど)に興味がある方には是非聴いて頂きたい。

特に、70年代アメリカン・ロックに親しんだ、アラフィフ以上の洋楽ファンの方にはたまらないサウンドのはず。「最近はいい音がないなあ」などといってザ・バンドドゥービー、オールマンとかばかり聴いていないで、このような今なお昔からのアメリカ音楽の系譜をしっかり受け継ぎながら、新しい息吹を吹き込んでいるアーティストにも耳を傾けてみてはいかがでしょうか?

<チャートデータ>

ビルボード誌全米アルバム・チャート 最高位44位(2015.2.14

同全米ロック・アルバム・チャート 最高位11位(2015.2.14

同全米モダン・ロック/オルタナティブ・アルバム・チャート 最高位6位(2015.2.14

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