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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【新企画】新旧お宝アルバム!#22 「Blood」 Lianne La Havas (2015)

#22BloodLianne La Havas (Warner Bros., 2015)


いよいよ師走に突入、日々の気温もぐっと低めになって冬の到来を感じさせる今日この頃。いよいよ今週はグラミー賞候補の発表や、ビルボード誌の年間チャートの発表など洋楽ファンの年末到来、という時期になってきました。実は私も自分で選ぶ2015年のベスト10アルバムというお題でこの週末DJイベントをやってきたのですが、その中の1枚に選んだアルバムを、今週の「新旧お宝アルバム!」第22回目の「新」のアルバムとしてご紹介することにします。今週ご紹介するのは、今年シーンに登場した新しいタイプのR&Bシンガーソングライター、リアンヌ・ラ・ハヴァスの『Blood』です。

LianneLaHavas_blood_Front.jpg  

今日ご紹介するリアンヌ・ラ・ハヴァスは、ロンドン出身で、ジャマイカ人の母親とギリシャ人の父親を持つ、今年26歳のシンガーソングライター。その出自の多様性を反映してか、彼女の創り出す音楽は、単純なR&Bではなく、フォークやジャズなどの多様な音楽要素を渾然と内包した、音象的にとても気持ちのよいグルーヴを生み出す、一つの大きな完成した音世界になっています。

また時には、トーリ・エイモスとか最近のセント・ヴィンセントといった、独特のエッジを持ったアメリカのオルタナティブ女性ロック・アーティストたちのようなサウンドの片鱗を見せる曲もあり、様々な出自を持つ、現在のシーンを生きるアーティストだな、と思わせるような面もあります。

 

リアンヌは、プロのミュージシャンのキャリアをバックコーラスシンガーから始め、2010年にワーナーと契約、2012年にはアコースティックなフォーク・ソウル的な内容の最初のソロアルバム『Is Your Love Big Enough?』を出して全英アルバムチャート5位を記録しています。

しかし彼女のキャリアが大きく動いたのは、2014プリンスがロンドンでツアーを行った際に気に入られ、プリンスのアルバム『Art Official Age』に参加、4曲でボーカルを担当してから。シーンでは「プリンス最近のお気に入りのアーティスト」ということで一気に評判が高まったというわけです。

Blood_Back.jpg

 

そんな中今年リリースされたこの『Blood』。全体的にどちらかというとマイナー調のメロディーの曲がほとんどで、サウンド的にはやや幻想的なイメージを醸し出すようなエレクトロっぽい味付けとカッチリとした重めのリズムの組み合わせが印象的な曲と、アコギやシンプルな楽器構成でシンプルにフォーク・ソウル的な作りの曲とがそれぞれ前半と後半に配されています。そしてどの楽曲も、夢のような世界をイメージさせる音像にリアンヌの、決して熱唱はしないけど耳に残るフレージングで、ややハスキーで不思議な魅力を持ったボーカルが乗っている感じ。

 

アルバムの前半は、冒頭の曲で最初のシングルになったアデルのソングライティング・パートナーで有名なポール・エプワースとの共作「Unstoppable」や「Green & Gold」、エレクトロな音像とソウルフルなメロディとが不思議な魅力の「What You Don’t Do」、「わたしは大都市東京で独りぼっち」と呟くように歌う「Tokyo」などが、1日でいえば夜を思わせるイメージで、何となくこれから何か起きそう、という予感を持たせてくれる楽曲群。


そしてアルバム後半は、ちょっとコリン・ベイリー・レイあたりを思わせる「Grow」や、アコギ一本でフォーキッシュな魅力満点の「Ghost」、アルバムの最後を占める美しいメロディとボーカルが印象的な「Good Goodbye」など「朝から昼下がり」を思わせるような楽曲群で占められています。

一曲だけ変わっているのは、最後から2曲目の「Never Get Enough」。アコギのつま弾きから静かなメロディでスタートするこの曲、リアンヌの声とバックの演奏がサビの後半の部分が「あなたには全然満足できないのよ!」という歌詞の部分になると、急にひずんだ音とリンキン・パークか?と思うようなハードなサウンドに一瞬ガラッと変わり、ちょっとビックリ。またすぐアコギの弾き語りに戻るのですが、この変化が曲の中で23回あり、このアルバムの中での最大のアクセントとなっています。

 

彼女のサウンド的にもファーストから大きく成長したといわれるこのアルバム、音楽評論筋にも概ね評判がよく、おそらく今年の各音楽メディアの年間ベストアルバムリストにはあちこちに顔を出すのではと思われます。

今の「新しい音」を感じさせてくれる、それでいて決して突飛なことはしておらず、かなりしっかりした楽曲作りで自分の世界をフォーク、ソウル、ジャズをミックスした多面的なスタイルで表現しているリアンヌのアルバム、聴けば聴くほど身体に染み渡るようなそんな魅力を持った作品です。是非ご一聴を。

Blood_Back2.jpg

 

<チャートデータ>

ビルボード誌全米アルバム・チャート 最高位52位(2015/8/22付)

同全米R&Bアルバム・チャート 最高位8

同全米トップ・モダン・ロック/オルタナティブ・アルバム・チャート 最高位5

 

全英アルバム・チャート 最高位2位(2015/8/7付)

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