Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
恒例!第59回グラミー賞大予想 #6〜アメリカン・ルーツ部門パート1〜

さて続いてはアメリカン・ルーツ部門、すなわち「アメリカーナ」「ブルーグラス」「ブルース」「フォーク」といった、まあメインストリームの洋楽ファンの方々にはなかなか耳馴染みのないジャンルですが、どうしてどうして毎回素晴らしいアルバムやアーティストがノミネートされていますので、この予想をお読みになって、こういったジャンルもちょっと聴いてみるかな、と思って頂ければ最高です。では、アメリカナ部門から。


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26.最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンス部門

  Ain’t No Man – The Avett Brothers
  Mother’s Children Have A Hard Time – Blind Boys Of Alabama 
◎ Factory Girl – Rhiannon Giddens
× House Of Mercy – Sarah Jarosz
○ Wreck You – Lori McKenna



去年も最近のこのアメリカン・ルーツ部門の変遷を追いましたが、この部門はもともと第1回(1960)グラミーの「最優秀フォーク・パフォーマンス部門Best Performance - Folk」が発祥で(第1回の受賞はキングストン・トリオのアルバム『Kingston Trio At Large』)、1970年まではフォーク・ミュージックを対象とした部門でした1971年(第13回)に「最優秀エスニックまたはトラディショナル・レコーディング部門(Best Ethnic Or Traditional Recording」に部門名を変え、ここから伝統的なブルース作品も広くノミネートされるようになりました(この時の受賞はブルース・ギタリストのT-ボーン・ウォーカーの『Good Feelin'』)。

この後12年間で、12回中6回をマディ・ウォータースが受賞するなど、フォーク作品の受賞が僅か3回しかなかったことが多分理由で、1983年(第25回)から、この最優秀エスニック・トラディショナル部門「フォーク」と「ブルース」に分離その後フォーク部門は1987年(第29回)から、ブルース部門は1988年(第30回)から、それぞれ「トラディショナル部門」と「コンテンポラリー部門」に別れ、合計4部門に更に分化、以降25年間は4部門の状態が続きました。この間、1992年(第34回)まではパフォーマンス部門として、楽曲単位の受賞もありましたが、1993年からは「アルバム部門」となっています。

またこの間、従来はフォークの枠の中に含まれていたブルーグラス・ミュージックが1989年(第31回)以降、「最優秀ブルーグラス・レコーディング部門」(1992年以降はアルバム部門)として個別に授賞されるようになったり、2010年(第52回)には、よりロックやカントリー、ゴスペルなどの要素も組み入れた「アメリカーナ」というジャンルを認知して「最優秀アメリカーナ・アルバム部門」を新設するなど、グラミーのサブジャンル多様化の傾向を進めています。

2012年(第54回)には「トラディショナルとコンテンポラリーの区分が困難になってきた(もともと無理があったのでは?)」との理由で、フォーク、ブルースそれぞれの部門が1つに戻りましたが、何故かまた今年ブルース部門だけ「トラディショナル」「コンテンポラリー」の区分に戻ってるというのも面白いところ。その後の「アメリカン・ルーツ・パフォーマンス」「アメリカン・ルーツ・ソング」の部門新設は去年のこの予想ブログでカバーしていますのでそちらをご参照下さい。

こういう歴史の中で最も最近の創設部門であるこのアメリカン・ルーツ・パフォーマンス部門、過去2回はロザンヌ・キャッシュ(第57回)とメイヴィス・ステイプルズ(第58回)とそれぞれベテラン勢が受賞しています。で、今年のラインアップを見ると、

  • ノース・キャロライナ出身、セススコットエイヴェット兄弟を中心にしたフォーク・ロックバンド4人組のエイヴェット・ブラザーズ
  • 1940年代からの長い歴史を誇る、実際に盲目の4人のシンガーを中心にスピリチュアルなゴスペル・ブルースを聴かせるブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ
  • 元々2000年代を通じてカントリー・ブルース・オールドタイム・ミュージックのキャロライナ・チョコレート・ドロップスのリード・ボーカル兼バンジョー・ヴァイオリン・プレイヤーだったけど、一昨年リリースのソロ・アルバム『Tomorrow Is My Turn』がアメリカーナ界のジョニ・ミッチェルといった風情を感じさせる、ノース・キャロライナ州グリーンズボロ出身のリアノン・ギデンズ
  • 高校在学時の2009年にレコード・デビュー、パンチ・ブラザーズらとも交流があり、一昨年ピーター・バラカンの「Live Magic」に、元ニッケル・クリークのフィドラー兼ボーカルのサラ・ワトキンス、ギターのイーファ・オドノヴァンとの3人ユニット「I'm With Her」で来日もしていた、テキサス州オースティン出身のマンドリン奏者のシンガーソングライター、サラ・ジャロウズ
  • 今年のグラミーでは最優秀カントリー・ソング部門でも作者としてノミネートされていて、その他今のカントリー・シーンの重要ソングライターの一人でもある、マサチューセッツ州ストウトン在住のシンガーソングライター、ロリ・マッケンナ

とまあ、早々たる顔ぶれ。前置きがだいぶ長くなったのでさっさと予想に入ると、本命◎はズバリ、今回昨年リリースしたEP盤でノミネートされたリアノン・ギデンズと見ます。対抗に挙げた、今年のグラミーの台風の目の一人になると思われるロリ・マッケンナのアルバム『The Bird And The Rifles』からの曲「Wreck You」とも多分ギリギリの争いになると思われますが、リアノンのここ数年のアメリカーナ・シーンでの存在感は大きなものがあり、前作の『Tomorrow Is My Turn』は昨年グラミーの最優秀フォーク・アルバム部門にノミネートされるも惜しくも受賞を逃してますので、ここは彼女一押しで。

×サラ・ジャロウズの素晴らしいアルバム『Undercurrent』からのトラック「House Of Mercy」へ。なお、リアノンサラ最優秀フォーク・アルバム部門でも再度激突します。


27.最優秀アメリカン・ルーツ・ソング部門(作者に与えられる賞)

  Alabama At Night – Robbie Fulks (Robbie Fulks)
○ City Lights – Jack White (Jack White)
  Gulfstream – Roddie Romero & The Hub City All-Stars (Erick Adcock & Roddie Romero)
× Kid Sister – The Time Jumpers (Vince Gill)
◎ Wreck You – Lori McKenna (Lori McKenna & Felix McTeigue)


この部門も創設からまだ4年目なので、特に傾向といったものはないですが、昨年はパンチ・ブラザーズとエミルー・ハリス&ロドニー・クロウェルという強敵を抑えて、シーンの評価も高かった元ドライヴ・バイ・トラッカーズのギタリスト&シンガーソングライター、ジェイソン・イズベルが取っています。

今年の面子を見てみると、目に飛び込んでくるのは、この前の部門でもノミネートされていたロリ・マッケンナと、元ホワイト・ストライブス/ラコンターズジャック・ホワイト。ジャックは近年ナッシュヴィルを拠点にして自らのレーベルThird Manを立ち上げて、積極的にナッシュヴィルコミュニティにも参画しながら、昨年はホワイト・ストライプス時代、ラコンターズ時代も含めた自分の作品のアコースティック・バージョンを集めたアルバム『Acoustic Recordings 1998 - 2016』をリリース、これが各音楽誌からも高い評価を受けてます。今回の「City Lights」はそのアルバム収録のホワイト・ストライプス時代の曲。
どちらも強力候補ですし、ジャック・ホワイトは過去グラミーを結構取っているいわゆる「グラミー・ダーリン」の一人なのですが、ここは本命◎ロリ、対抗ジャックと見ます。

×は、近年あのヴィンス・ギルを中心メンバーに迎えたナッシュヴィル・ベースのウェスタン・スイング・アンサンブル、タイム・ジャンパーズのそのヴィンスが書いた、2014年に癌でなくなったグループのバック・ボーカリスト、ドーン・シアーズに捧げた美しいバラードで、彼らの最新アルバムのタイトルナンバーに。


28.最優秀アメリカーナ・アルバム

  True Sadness – The Avett Brothers
 This Is Where I Live – William Bell
  The Cedar Creek Sessions – Kris Kristofferson
◎ The Bird & The Rifle – Lori McKenna
× Kid Sister – The Time Jumpers


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さてさて、過去リヴォン・ヘルム、ボニー・レイット、ロザンヌ・キャッシュ、エミルー・ハリス&ロドニー・クロウェル、メイヴィス・ステイプルズなどベテランの受賞がつとに目立つこの部門、昨年は比較的若いミュージシャンのジェイソン・イズベルが受賞していますが、リストに目を移すと何と2人の懐かしいベテランの名前が

サザン・ソウルの代表的シンガーの一人で、1960年から70年代半ばのレーベル倒産まで地元メンフィスのスタックス・レーベルの看板シンガーの一人だったウィリアム・ベル(トップ40ファンには1977年のHot 100トップ10ヒット「Tryin'  To Love Two」で御馴染み)、そして70年代ジャニス・ジョプリンのNo.1ヒット「Me And Bobby McGee」の作者として、また自らも「Why Me」(1973年最高位16位)の大ヒットや、リタ・クーリッジの元旦那、そして映画『スター誕生』(1976)でのバーブラ・ストライザンドの相手役として知られるシンガーソングライター、クリス・クリストファーソン

しかしここにもがっちりノミネートされているのが、何となく今回のグラミーのキーパーソンの一人と目しているロリ・マッケンナ。で大いに迷うところなんですが、流れを読んで本命◎ロリ、対抗は僕自身が去年初めてメンフィスを訪れて、現地のスタックス博物館で思わず購入したウィリアム・ベルのアルバム(中身も最高です)にしました。
×は前の部門でも穴×を付けていたタイム・ジャンパーズに。


29.最優秀ブルーグラス・アルバム部門

  Original Traditional – Blue Highway
× Burden Bearer – Doyle Lawson & Quicksilver
 The Hazel And Alice Sessions – Laurie Lewis & The Right Hands
  North By South – Claire Lynch
◎ Coming Home – O’Connor Band With Mark O’Connor


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毎回言ってますが(笑)、例年この部門は知らないアーティストの名前がずらりと並ぶので予想に苦労する部門の最右翼(ま、自分の不勉強もあるんですが)。

そんな中で今回目についたのは、ブルーグラス、ジャズ、カントリーそしてクラシックと幅広いジャンルをまたいだ活動で知られ、パンチ・ブラザーズクリス・シーリーとも交流のある、フィドル・プレイヤーのマーク・オコナー率いるオコナー・バンド。彼はこれまでに1992年(第34回)グラミーの最優秀カントリー・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門を『The New Nashville Cats』で受賞、また2001年(第43回)グラミーでは何と最優秀クラシック・クロスオーヴァー・アルバム部門で、あのチェリストのヨーヨー・マとベースのエドガー・マイヤーとコラボしたアルバム『Apalachian Journey』で受賞と過去2回異なる部門でのグラミー受賞経験者。その彼が原点のブルーグラスに立ち返って、奥さんや息子・娘達で構成したファミリー・バンドでリリースしたのがこの『Coming Home』、って何か良さそうじゃないですか(笑)。なのでここでの本命◎は彼に。

対抗は、1997年(第39回)のこの部門を受賞したブルーグラスの巨人、ビル・モンローのトリビュート・アルバム『Ture Life Blues: The Songs Of Bill Monroe』でタイトル・ナンバーを演奏してグラミー受賞している、御歳66歳の大ベテラン女性フィドラー、ローリー・ルイス。彼女がブルーグラス界における女性プレイヤーの先駆者の二人、ヘイゼル・ディケンス(ボーカル、ダブルベース、2011年没)とアリス・ジェラード(ボーカル、バンジョー&ギター)の作品を中心に制作したアルバム『The Hazel And Alice Sessions』が何となくマーク・オコナーに対抗しそう
×は昨年もこの部門にノミネート、これが都合3回目のノミネートになるベテラン・マンドリニストのドイル・ローソンのアルバムに。


ちょっと長めになってしまったアメリカン・ルーツ部門の予想。このあとパート2で、ブルース、フォーク部門を行きます


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