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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
■2011年My Best Albumカウントダウンその7 - #1
My Top 10 Albums of 2011


#1: Hard Bargain - Emmylou Harris (Nonesuch)

EmmylouHarris_HardBargain.jpg今一般的に洋楽を聴いているリスナーで、エミルー・ハリスの曲はおろか、名前さえ知らない人は多いだろう。70年代にいわゆるドゥービーイーグルスザ・バンドなどに親しんだ今定年を過ぎた団塊世代の洋楽ファンも、エミルーといえばザ・バンドの『ラスト・ワルツ』に出演していた、声のきれいな美人のカントリーシンガー、というくらいのイメージしかないかもしれない。でもそういう年配の洋楽ファンでも、エミルーがもともとそのキャリアを、伝説的なカントリー・ロック・アーティストで、メジャーにブレイクすることなく夭折したグラム・パーソンズのパートナーとして70年代初頭にスタートしたことや、低迷を続けた70年代後半から90年代初頭を経て、U2との仕事で有名なプロデューサー、ダニエル・ラノワとの奇跡的なコラボレーション、『Wrecking Ball』(1995)で単なる美声のカントリー・シンガーから、自らエモーション溢れる曲を自作自演しながら、何かに取り憑かれたような(haunting)歌声で自らのミュージシャンとしてのキャリアを再定義した、素晴らしいミュージシャンであることを知る人は決して多くはなかろう。その『Wrecking Ball』以来、エミルーはコンスタントに、『Red Dirt Girl』(2000)、インディーのナンサッチ移籍後の『Stumble Into Grace』(2005)、『All I Intended To Be』(2008)といったクオリティの高いアルバムを発表し続けてきたのだが、前作から3年ぶりの新作になる本作でも、その自らのキャリア再定義後のシンガー・ソングライターとしての資質を充分に発揮した作品とパフォーマンスを届けてくれた。

Emmylou_Harris.jpgもともと自分では曲を書かず、他のミュージシャンの曲を自らの透き通るような美しい歌声で表現する、というアーティスト・スタイルだったエミルーが、キャリアブレイクした『Wrecking Ball』(カナダのマクギャリグル姉妹や、長年の盟友ロドニー・クロウェル、ギリアン・ウェルチスティーヴ・アールなどオルタナ・カントリー・ファンにはたまらない人々のペンによる楽曲で埋め尽くされていた)以降はむしろ自らペンを取った曲でアルバムの大半を埋めるようになり、それによってますます彼女のアーティストとしての表現力が研ぎ澄まされてきた、という傾向はここ特に3作ぐらいは強い。その中でも特に本作はその傾向が強く、タイトル・ナンバーの「Hard Bargain」が知る人ぞ知る叙情派のシンガー・ソングライター、ロン・セクススミス、そしてアルバム・ラストをほの明るく締める「Cross Yourself」がこのアルバムのプロデュースと、全曲のギターを担当するジェイ・ジョイスのペンによる他は全てエミルーのペンによるもの。そしてそれらの作品は、いずれも楽曲として清冽で美しく、歌われる歌詞の内容は鋭く社会の現状や問題を鋭く切り裂くようなものが多くエミルーが『Wrecking Ball』以前自ら曲を書かなかったことが不思議に思えるような、静かな迫力に満ちた作品を当年64歳になるとは思えないほど美しい歌声で聞かせてくれる。アルバム冒頭、力強いリズムセクションで始まる『The Road』は明らかに70年代初頭、グラム・パーソンズとライブ活動をしていた頃のことを思い出しながら書いた曲だろうし、続く『Home Sweet Home』はホームレスの孤独さをテーマにしながら不思議に美しい楽曲がうっとりさせてくれるし、『My Name Is Emmet Till』は黒人差別の中虐殺された14歳の少年の悲しい運命を、ジョニー・キャッシュも顔負けの淡々としたストーリーテラーぶりで、ひたすら美しいメロディに乗せて鋭く語ってくれるなど、一曲一曲聞く毎にひたすら圧倒される出来なのだ。

EmmylouHarris_WreckingBall.jpgそもそもあの『ラスト・ワルツ』に参加していたミュージシャンで、今この2010年代に入って未だにクリエイティブに新作をコンスタントにリリースし続けているのは、彼女以外では御大ディランニール・ヤングくらいであることを考えると、エミルー・ハリスのミュージシャンとしての評価はもっともっと大きなものであってしかるべきなのだけど、残念ながら彼女自身が特に脚光を浴びることに熱心ではなく、また音楽自体もどちらかというと地味な方なのでなかなか表舞台での評価を得ているとは言い難い。それでもこの『Hard Bargain』はビルボード誌アルバムチャートでも最高位18位を記録するなど、彼女のソロとしては最大のヒットアルバムとなったことはファンとして嬉しいことだ(ソロ以外では、ドリー・パートン、リンダ・ロンシュタットとのコラボ作『Trio』(1987)が最高位6位になっている)。そんな彼女の次のプロジェクトは、『Wrecking Ball』以降も要所要所に彼女のアルバムで作品提供やコラボを通じて共演してきた盟友ロドニー・クロウェルとのデュエット・アルバムになるようだ。彼女曰く「ロドニーも私ももうそんなに若くないし、いよいよこの世とお別れの時に、ああロドニーとやっとけば良かった、なーんて思わないように今のうちに一緒に演っておこうと思うのよね」ということで、彼女もロドニーも大いに盛り上がっている様子なのでまたまた素晴らしいアルバムを届けてもらえるものとファンとしては期待大である。とにもかくにも、僕の公私共にチャレンジに満ちた2011年を支えてくれたのはエミルーの透き通るような歌声だったので、このアルバムは僕に取って文句ない年間ナンバーワンアルバムなのです。

ふう、やっと2011年個人年間アルバム・カウントダウン終了。さあ、今度は来週日曜日(日本時間月曜日朝)のグラミー賞授賞式を前に、恒例の各部門予想をアップします。乞うご期待。ではでは。

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