Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#117「Solo」Solo (1995)

 #117SoloSolo (Perspective / A&M, 1996)


例年より1週間以上早く、先週に満開を迎えた東京近辺の桜もこの週末には散り始めて、残念ながら入学式のタイミングでは葉桜になってしまっていそうです。しかし一気に春爛漫の様相となってきたここ数日、皆さんも一気に開放的な気分でいい音楽を楽しんでおられることと思います。先週からいよいよMLBも開幕、大谷田中マーくんを初めとした日本人大リーガー達の活躍も連日伝えられ、楽しい季節になってきました。


さて今週の「新旧お宝アルバム!」は、前回のトニーズに引き続いて90年代シリーズのR&B作品盤ということで、あの名プロデューサー・コンビ、ジミー・ジャム&テリー・ルイスに見いだされて、90年代のアメリカに60年代のストリート・ソウル・カルテットが舞い降りて来たかのようなクラシックな作品で当時のR&Bファン達を魅了したニューヨークはソーホーを中心に活動した4人組、ソロのデビュー・アルバム『Solo』(1995)をご紹介します。


Solo Solo


90年代作品を改めて評価してみようシリーズ、第4弾、R&B編その2。


前回トニーズの『House Of Music』をお届けした際に、あのアルバムは90年代のR&Bを代表するアルバムの一枚、と言いましたが、その他に特筆すべき90年代R&Bのアルバムの一つにあのジャネット・ジャクソンの1997年のアルバム『The Velvet Rope』があります。1980年代のアルバム『Control』(1986)以来ジャネットとタッグを組んできたジャム&ルイスとの先進的なサウンドメイキングによるメインストリームR&Bの構築、という作業が一つの頂点を極めた傑作といっていいこのアルバムにも象徴されるように、ジャム&ルイスはもう一人のこの時期のR&Bサウンド・メイカーの雄、テディー・ライリーと並んで80年代後半打ち込み中心のサウンドからR&Bが新たな段階に進んで以降のR&Bシーンの中心的な存在でした


その彼らのそれまでのジャネットヒューマン・リーグらとの仕事の実績を高く評価したA&Mレーベルが彼らとのJVで1991年に設立したのがパースペクティヴ・レーベル。このレーベルは新進気鋭のこれからのブラック・ミュージックを推進していくであろうと思われるタレントの作品発表の場として用意され、主なアーティストにはレーベル設立直後にこのレーベルからデビューしたミント・コンディションがあります。

そして今日ご紹介するソロは、ジャム&ルイスがNYのソーホーの街角で歌っていた彼らを見いだして、このパースペクティヴ・レーベルからデビュー・アルバムをリリースする、という幸運に恵まれたグループです。テナーのダニエル・ストークスダーネル・チャヴィス、ややしゃがれた声ながらパワフルなユーニク・マック、そしてアコースティック・ベースで3人のコーラスに滑らかでオーガニックなグルーヴを加えるロバート・アンダーソンによるアルバムを通してのパフォーマンスは、その当時ラジオから流れてくるどのR&Bチューンとも異なり、90年当時の洗練されたサウンドプロダクションで、60~70年代にR&Bが「ソウル」であり、聴く者の心揺さぶる音楽であったことを強烈に思い出させてくれる、そんな感動を呼び起こしてくれるもの。
そしてこのアルバムは、ジャム&ルイスがエグゼクティブ・プロデューサーとして全体を見ているだけでなく、12曲については自らプロデュースとアレンジを担当、その他の曲もフライト・タイム・プロダクションの面々ががっちりとプロデュースという、正しくジャム&ルイス肝いりのアルバムになっています。


Solo back


アルバム全体の構成は、上記のようにクラシック・ソウル・テイスト満点の素晴らしいフル・レングスの13曲の楽曲(うち8曲はジャム&ルイス作または共作)の合間合間に、往年のソウルの名曲のカバーが、それもストリートの雑踏の音をバックにほとんどはロバートのベースだけをバックにしたアカペラで短時間ずつ演奏されるというもの。これだけでもオールド・スクールのR&B・ソウルファンにはたまらないところだけど、そのカバーしている曲がオープニングの「What A Wonderful World」、4曲目の「Cupid」、9曲目メドレーで「Another Saturday Night / Everybody Loves To Cha Cha Cha」とサム・クックの曲3曲に、13曲目がドリフターズで有名な「Under The Boardwalk」とレトロ/テイスト満点で間違いなく60年代のヴァイブに持って行かれること請け合い。

そしてこのアルバムのカバーのうち唯一フル・レングスなのがラス前18曲目のあのサム・クックの名唱「A Change Is Gonna Come」の素晴らしいパフォーマンス。ユーニクの絞り出すようなボーカルが公民権運動のテーマソングとして特にブラック・コミュニティの思い入れの強いこの曲に万感を吹き込んでいて、アルバムを締めにかかる楽曲としては最高の効果を達成しています



間に歌われるフル・レングスの楽曲もいずれを劣らぬ素晴らしい出来で、「What A Wonderful World」のカバーに続いてスクラッチ・ノイズをあしらって90年代今のストリート・ソング的仕立てをバックに3人のコーラスがやや控えめにグループ「ソロ」の実力表明をしているかのような「Back 2 Da Street」、ジャム&ルイスがすべての楽器を担当して奏でる、当時のジャネットの楽曲に通じるような軽快で洒脱なビートに乗ってダーネルがしなやかに歌う「Blowin' My Mind」あたりはアルバムの冒頭でがっちりリスナーを掴むには充分。




Cupid」にカバーに続いて明らかにスカルズの「Groovin'」を意識したノスタルジックなソウル・バラードで彼らの最大のヒットシングルとなった「Heaven」(最高位42位)、そして何と!あのドラマティックスの「In The Rain」のキメのフレーズを無茶苦茶カッコよくサンプリングしたゴージャスなナンバー「Xxtra」あたりはこのアルバムでは自分の個人的ハイライト。そしてもう一つの個人的ハイライトは「Another Saturday Night~」のカバーメドレーに続いて、力強くもしなやかなグルーヴでマーヴィン・ゲイの「Let's Get It On」をオマージュしているかのようなひたすら気持ちよい「Where Do You Want Me To Put It」。ここでのボーカル(おそらくダニエル?)はテンプスの往年の名ボーカル、惜しくも先日他界したデニス・エドワーズの男臭いソウルフルなボーカルを思わせて、これも涙




90年代らしいサウンドのクワイエット・ストーム的な濃厚なバラード「Keep It Right Here」「I'm Sorry」に続いて「Under The Boardwalk」の短いカバーを経て、アルバムはいよいよ後半に。そしてまた音は一気にクラシック・テイストに戻って、メインメロディもイントロの楽器も間違いなくジャーメイン・ジャクソンの「Daddy's Home」を意識したな!という「In Bed」でますますソウルファンの気持ちは盛り上がります。

ぐっと80年代っぽいサウンドのクワイエット・ストーム曲「(Last Night I Made Love) Like Never Before」から10秒のスキットを経て60年代後半のテンプスフォー・トップスを彷彿させる男っぽいアップテンポのソウル・ナンバー「Holdin' On」、そして冒頭に触れた感動的な「A Change Is Gonna Come」のカバーで事実上アルバムは完結。最後のトラックは「Heaven」のアコースティックな感じのクワイエット・ストーム・リミックスで静かにフェードアウトしていく感じでエンディングを迎えます。(最後に隠しトラックあり)



再三前回から言ってますが、90年代はR&B・ヒップホップを中心としたブラック・ミュージックでは大きなルネッサンス的オールド・スクール・ソウルへのスタイル回帰と、打ち込み中心のサウンドから大きくオーガニックなサウンド・メイキングに舵が切られ、その中で多くの素晴らしい作品や、才能溢れる新しいアーティスト達が輩出したデケイドです

その中でも80年代をうまく乗り切って90年代に更に高いレベルへとサウンド・メイキングの質を上げていったジャム&ルイスの二人が、ジャネットのメインストリームR&B作品とはまた別の切り口で、クラシック・ソウル・ルネッサンスを見事に表現してみせたのがこのソロのデビュー・アルバムだと思います。

Solo Album (back)


ソロはこの後、前回のトニーズ解散後のラファエル・サディークをプロデューサーに迎えて、こちらも素晴らしいセカンド・アルバム『4 Bruthas & A Bass』(1998)をリリースした後、長く消息が聞こえてませんでしたが、2015年にインディーからニューアルバムを出したらしい、という情報が。残念ながらまだ聴けてないですが、多分変わらぬスタイルで、クラシックなソウルを下敷きにした彼らなりのR&Bを聴かせてくれてるのではないかと思ってます。

その新譜を聴くまでは、この彼らの素晴らしいデビューアルバムで、春爛漫のこの季節、音楽の与えてくれる至福を存分に楽しみましょうか。


追伸:今回のブログ執筆にあたってはこのアルバムの発売当時の日本盤の吉岡正晴さんのライナーノーツを参考にさせて頂きました。謹んで御礼申し上げます。


<チャートデータ> 

RIAA(全米レコード産業協会)認定 ゴールド・アルバム(50万枚売上)

ビルボード誌全米アルバム・チャート 最高位52位(1996.3.16付)

同全米R&Bアルバム・チャート 最高位8位(1996.3.16付)

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