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Life Is A Rock - 洋楽こそ我が人生
洋楽全般について、英米ヒット・チャートに登場有無に関係なく、お気に入りの洋楽作品についての独り言やコメントをつれづれに掲載します。「新旧お宝アルバム!」「恒例グラミー賞大予想」など定期コラムが中心です。洋楽 ファンサイト、meantime(www.meantime-jp.com)のスピンオフ企画としてお楽しみ下さい。
【Boonzzy Music】新旧お宝アルバム!#131「Back Roads And Abandoned Motels」The Jayhawks (2018)

 #131Back Roads And Abandoned MotelsThe Jayhawks (Sony Music Entertainment / Legacy, 2018)


先週は日本ではなくアメリカ南東部が巨大ハリケーンに襲われ、ノース・キャロライナ州を中心に洪水や停電などの被害が発生している模様。まるでその前の週の関西地方のように、今も数百万戸がまだ停電中途のこと。犠牲者も発生しているようで、一刻も早い平常状態への復帰を祈るばかりです


一方日本ではここ1~2週間でめっきり過ごしやすい気候になり、着々と秋の気配が深まる毎日。そんな秋にぴったりの哀愁とアップビートな感じをもったメロディ満載の楽曲を毎回聴かせてくれる、ゲイリー・ルイス率いる今やアメリカーナ・ロック・バンドの重鎮となったジェイホークスが今年に入って2年ぶりに出してくれたアルバム『Back Roads And Abandoned Motels』を今日はご紹介します。


Back Roads Abandoned Motels 


90年代以降のいわゆるアメリカーナ・ロック・ルネッサンスの潮流に乗って登場した様々なバンドの中でも、ジェイホークスと言えばウィルコライアン・アダムス率いるウィスキー・タウン、サン・ヴォルトといったバンドと並んで、その後のこのジャンルのアーティスト達に大きな影響を与えてきた1986年創立の今や老舗バンド。今もバンドを引っ張るゲイリー・ルイスと共にバンドを創立したマーク・オルソンの二人が中心になったジェイホークスは1992年の傑作アルバム『Hollywood Town Hall』でこの分野での代表的なアーティストとしての確固たる地位を築きました。続く『Tomorrow The Green Grass』(1995)では新たに女性キーボード&ボーカルのカレン・グロトバーグをメンバーに加え、グランド・ファンクの「Bad Time」のカバーを含む素晴らしい楽曲群を揃え、アーティストとしての頂点を極めることに。

しかしこのアルバムを最後にマークが脱退、それでもロック・エッジの立った楽曲と、デビュー以来の持ち味であるメランコリーでありながら心が温かくなるような楽曲をバランスよく配した『Sound Of Lies』(1997)、『Rainy Day Music』(2003)といった素晴らしいアルバムをコンスタントに発表してきました。


Hollywood Town Hall


2011年の『Mockingbird Time』では久しぶりにマークがバンドに復帰、『Hollywood~』以来のジェイホークスらしい力強いアルバムを聴かせてくれましたが、この後マークは再脱退。一昨年久しぶりにリリースされた『Paging Mr. Proust』(2016)では実験的な楽曲もいくつか試みている分、個人的にはやや散漫な印象があって「ああ、ジェイホークスもこのままフェイドアウトしていくのかなあ」と寂しい気分になっていたところでした。


ところが昨年元キンクスレイ・デイヴィーズが突然リリースした、強いアメリカ音楽へのオマージュを剥き出しにした好アルバム『Americana』のバックを、何とジェイホークスのメンバーが全面的に努めているのを見て大いに驚いたものです

今年に入って出た、その続編とも言うべき『Our Country: Americana Act II』(2018)でもジェイホークスのメンバーが続いてバックを努めていて、一つ気になったのはカレンのボーカルがいつになく前面にフィーチャーされた曲が耳に残ったこと。そのレイのアルバムを聴きながら「ジェイホークスの新譜は出ないのか」とぼんやりと思っていた矢先にリリースされたのが今日ご紹介するこのアルバムです。


今回のこのアルバムは、リーダーのゲイリー・ルイスがこれまでに他のアーティストと共作、提供してきたここ数年の楽曲のセルフカバー10曲と、ゲイリーのペンによる新曲2曲という構成。ジェイホークス・ファンとしてはなかなかそれだけでも「いったいどの曲をやってるのか」と期待が膨らむところ。そして届いた新譜に針を落として聴き始めたところ、流れてくる楽曲の演奏スタイルといい、それぞれのメロディといい、90年代から2000年代にかけて彼らが一番輝いていた時期のジェイホークスのサウンドがよみがえったような、そんな素晴らしい内容だったので、今回ご紹介することにしたというわけです。



まずA面冒頭から、歌い出しが力強いカレンの歌声というのにジェイホークスのレコードでのゲイリーのボーカルに慣れたファンの耳が快い驚きに見舞われるのが「Come Cryin' To Me」。ディキシー・チックスナタリー・メインズのソロアルバム『Mother』(2013)に収録されていた曲で、ゲイリーディキシー・チックス3人の共作のナンバーです。ちょっとメランコリックなメロディがゲイリーっぽさを思わせるこの曲、やはりナタリーのバージョンを意識してカレンのボーカルにしたのかな、と思ってると次はそのディキシー・チックスが2007年のグラミー賞主要3部門を独占した大ヒット作にして彼女らの傑作アルバム『Taking The Long Way』に収録されていた、アコースティックでレイドバックしたリズムに乗った「Everybody Knows」ではゲイリーのボーカルが登場、ほっこり心が温かくなるようなサビでのコーラスは正真正銘のジェイホークス節。これよこれよ、と思わず頬がほころぶところで続くのが、ゲイリージェイコブ・ディランと共作して、HBOのTVドラマ『True Blood』のサントラ(2011)に収録されていた「Gonna Be A Darkness」。長尺のちょっとスロウなテックスメックスっぽいイントロから、ドラムスのティム・オレーガンのボーカルが入って来てこちらもジェイホークス節を聴かせてくれるあたりはさながら目の前で彼らのライヴを観ているかのよう。そして再度ディキシー・チックスTaking The~』収録の「Bitter End」ではこちらも70年代のカントリー・ロック全盛期の頃のイーグルス初期やポコらのスタイルから脈々と伝わる楽曲スタイルの最高形のパフォーマンスを聴かせてくれ、このあたりでもうかなりジェイホークス・ファンとしては大満足な状態です


アコギのストロークで力強く始まる「Backwards Women」はナッシュヴィル出身の若手カントリー・ロック・バンド、ザ・ワイルド・フェザーズのメンバーとの共作。こちらはよりジャムセッションっぽく、でもピアノのバッキングや、ハイノートのボーカルとコーラスの絡みなど、カントリー・ロックのおいしいところは余すことなく盛り込まれたご機嫌なナンバー。

続く「Long Time Ago」は90年代「If You Could Only See」のヒットを飛ばしたバンド、トニックのリーダー、エマーソン・ハートゲイリーとの共作。ここではライアン・アダムスの作風を彷彿させるような、ちょっとトルバドゥール風のスタイルのゆったりした楽曲を聴かせてくれます。



この後も様々なアメリカーナやオルタナ・カントリー系アーティストとの共作ナンバーを、ジェイホークス一流のフレッシュでいてどこか懐かしい、ハイクオリティなカントリー・ロック・スタイルで次々に聴かせてくれるのですが、アルバム最後の2曲は今回ゲイリーが新たに書き下ろした新曲2曲

最初の「Carry You To Safety」はミディアム・テンポの、これまたメランコリックなメロディをメンバーの分厚いコーラスがバックアップ、時折ラウンジ風なリヴァーヴの効いた骨太なギターがオブリガード的に絡むあたりがグッとくる、そんな曲。そしてアルバムラストの「Leaving Detroit」はピアノの弾き語りにアコギと控えめなドラムスだけが絡む、そんな音数を抑えたアレンジで、途中からゲイリーのボーカルに寄り添うように絡んでくるカレンの、そしてメンバーの分厚いコーラスがとても気持ちのよい曲です


Back Roads (back)


前作の『Paging Mr. Proust』で個人的にはややがっかりしてからは、ジェイホークスというと昔の素晴らしかったアルバムを聴き返すことが多かった最近でしたが、久しぶりにパワーローテーションで聴きこめるアルバムを届けてくれたジェイホークスには感謝。このコラムでジェイホークスを取り上げるとすれば『Hollywood Town Hall』か『Tomorrow The Green Grass』、と思っていたのですが、この新作の到着まで待っていてよかったな、と今では素直に喜べることが嬉しい、このアルバムはそんな作品です。

とかくセルフ・カバー集というと、ファン・サービスの内輪向け的な位置づけの作品だったりすることが多いわけですが、このアルバムに限ってはそんなことはなく、フラットに聴いてもゲイリーを中心にバンドのメンバーが力を込めて作ってくれた立派な新作として評価されてしかるべき作品だと思います


いよいよ秋本番も近い今日この頃、昔からジェイホークスを知っている方も、最近レイ・デイヴィーズのアルバムで彼らを知ったという方も、そしてジェイホークスは知らないけど、心に触れる秋っぽいいい音楽を聴きたい、という方も、このアルバムも含めて過去からのジェイホークスのサウンドに改めて触れてみるというのもお勧めです。ゆっくり彼らの素敵な新譜、お楽しみ下さい。


<チャートデータ> 

ビルボード誌全米アメリカーナ・フォーク・アルバム・チャート 最高位8位(2018.7.28付)

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テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

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